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2012/11/23

皆さん、おはようございます。
本日は牛窓殺人事件ことカヴァレリア・ルスティカーナが終演。
まずは関係者の皆様、そしてお客様、おありがとうございました。

さてさて、常の如く作品を振り返ってみましょう。

まず、普通に考えて、私が扱うことのある作品かと言われれば、
おそらく扱うことはなかったであろう作品です。
特に演出という面においては。
いつも書いているように、政治的な要素が希薄な作品というのは、
指揮だけすることはあっても、指揮も演出も、とはなりません。

例えば、カヴァレリアのこの一連のゴタゴタは、
トゥリッドゥの兵役なしには起こりえません。
(まずはWikiなどで作品のあらすじを確認してください。)
今回の牛窓の設定でいえば、
イラク戦争がなければ起こらなかった話です。
ではこういうメッセージが成立するでしょうか?
「イラク戦争がなければ、こんな悲劇はなかったのに!戦争が悪い!」

この話は、トゥリッドゥのいい加減な性格に直接的な原因がありますが、
その性格はイラク戦争によって作られたものではないし、
自衛隊に所属しているからそんな性格になったわけでもありません。
もともとそういう性格だった人がイラク戦争で、
原作では兵役で長期間留守にしていたから起こってしまった、
まあ、原因が戦争でなく、会社の単身赴任などでも起こり得る話です。
だから、このストーリーを通じて、軍事を責めることは出来ないのです。

結局、この作品の焦点は、男女の恋愛感情のもつれでしかありません。
ここから政治メッセージを発する演出家がいても、
それはもはやこじつけでしかない、と断言して良いでしょう。

とはいえ、魅力的な旋律があり、
演奏するだけで熱くなり、という魅力は備えた作品です。
時折その魅力が、演奏上のデメリットにもなり得るのですが、
みんなが好きになるのはよくわかります。
振っていても、ある種の振り甲斐はあります。(笑)
ガラにもなく、スコアの最終ページに
顔の汗を散らしてしまいました。
これまで、そんな佐渡さんじみたことはなかったのに!

2012/11/23 11:31 | bonchi | No Comments