« | Home | »

2012/11/02

前回、初回ということもありとても大まかに

このコラムの意味というか指向したい方向を書きました。

今回はその「姿勢」ということについて書きたいと思います。

 

2013年9月、僕自身では「自己嫌悪病棟〜case1夜来るもの〜」

以来11年振りとなる個展を福岡にて開催する予定になっています。

まずそれをアタマに置いて書くことにします。

 

僕の立ち位置として基本になっていること

それは「Independent」であること、です。

 

僕自身の個展はもちろん若手のアーティストの卵たちを

集めて開催したアートイベント、そして最近発行した無料配布の

フリーペーパー「夜葉」もそうですが、参加していただいている

作家のみなさんには出品料や参加費その他でお金をいただいたり

観に来てもらえた方々からもお金をいただくということをしていません。

 

もちろん参加作家それぞれ作品制作にかかるお金の負担はあります

クラブなどの場合は契約上、入場料やドリンク代が

必要になる場合もあります。けれどそれはハコ側のもので

僕や参加してくれた作家たちの営利になるものではありません。

 

個展もまた同様に入場無料で、在庫のあるポストカードや

フライヤー全ては紙質や印刷など出来るだけ保管に適したカタチで制作して

無料でお持ち帰りできるようにしています。

それは、なにか感じるものがあったり惹かれる気持ちで

来場してもらえたのだと思うから、ならばできるだけたくさんのものを

持って帰ってもらいたいからです。

 

ギャラリーとの関係で作品に値段を付けることも求められますが

「この人のところならきっと…」と思えたらそのまま差し上げることもあります。

ある意味作家としては失格かもしれません。けれど僕もまた以前に

「古賀君のところなら…」とお譲りしてもらった作品があります。

それがまた今の僕を形作るものになっている….

すべてはそんな想いが繋がり合っているものだと思うのです。

 

またアートイベントでの会場費、作家紹介のリーフレットやフライヤーなどの経費は

僕や傍らでサポートしてくれるメンバーの自腹で制作しています。

何故そんなことをするのか、参加費や広告、スポンサーを取るべきではないか

特にフリーペーパー「夜葉」を制作したときに

よく言われたことは「無料で参加してもいいのですか?」です。

 

出品料や参加費などの名目で参加作家に負担していただいたとしたら

きっと「夜葉」もあれほど難産せずに済んだかもしれません。

またお金が集まることで向上できる部分もあるでしょう

批判の声も聞こえてきますし個人レベルでの限界も感じます…

では何故そうしないのか・・・。

 

理想論、詰めが甘いと多々言われることは承知の上で

お金をかけることやいただくことが全てじゃなくて、

インディペンデントで出来る範囲で精一杯のものを創ることで

暗中模索している作家たちに表現できる場所を提供していけたなら…

 

或いはアートイベント或いはフリーペーパー…

空間にせよ紙媒体にせよそれは僕が用意させてもらった

損得勘定抜きの「場所」で、そこに集ってくれた作家たちは

僕にとっては「参加してもらえた」大切な作家たちだということ。

 

そんな作家たちに僕の出来得る限りで用意できた空間・メディアで

自由に自分の創りたいものを創って展示、掲載してもらえること

またそのことに何かを感じて観に来て、また手に取ってもらえること

参加作家の笑顔や来場者との会話、一夜のイベントで展示準備の高揚感、

朝が近づくにつれて感じるちょっと切ないような気持ち。。。

 

本音を言えば表現の場を創出、提供という偉そうな文言よりも

実はなにより僕自身にとって、参加、来場してもらえた方々に

お金では買えない大きなものを手に入れさせてもらえているのだと

僕は思っています。

 

またそこまで感じることができるのもインディペンデントであるからこそ。

そのことこそが僕の「姿勢」だと思っています。

 

とはいえ、もちろん綺麗事ばかりではありません。

入場料としてお金をいただくクラブイベントはもちろん

フリーペーパーでも、作品を「観て」いただくからには

作家のみなさんには最低限それなりの気持ち、姿勢を求めます。

 

無料で参加できる、そこで何かのきっかけにしたい、名前を売りたい…

何に利用しようと構わないと思うしむしろ大いにその場を利用して欲しい。

と同時に「見せること」についてもまた大いに悩んで試行錯誤してもらいたい。

結果として思い悩む姿があったからこその未来があるはずだから。

 

「夜葉」では多くの参加希望がありたくさんの作家の方に

今回は申し訳ありませんと返答させてもらいました。

自主制作のフリーペーパー一冊だけでも

そんな参加したくて出来なかった作家の方たちがいて

数々の作品を見比べて当落を決めたのは偉い審査員ではなく

他でも無い自分たち…だからこそ「見せる姿勢」には

真摯でありたい、あってほしいと思うのです。

 

そういう意味では僕もまた出来上がったカタチ、

その姿勢はまだまだ甘い…と思っています。

 

幸いにも僕は写真の世界にいて、写真撮る仕事をさせてもらっていて

そして写真で得たお金で写真展やイベントをすることができる…

 

それは賞や売れる儲かるという世界からは遠いかもしれないけれど

それでもなお自主制作、インディペンデントであることの

何物にも代え難い魅力を感じられること…

それはきっと幸せなのかもしれません。

2012/11/02 07:43 | hideki | No Comments