ご覧の画像。たこ焼き(画像では伝わりませんが、焼きたてアツアツ)がレジ袋に入っている
何の変哲もない、ただたこ焼きの入った袋があるだけの画像。そう思われると思います
ところが、この画像には大変大きな悩みが隠されているんです。
かなり以前のコラムにも書きましたが。パックにしても、レジ袋にしても。数十・数百という膨大な種類があり
その中からいくつかを選び、何度も試作を作りながら実際の工程を繰り返し
たこ焼きの大きさとの関係・耐熱性・作業のし易さ・仕入れのし易さ・保存及び管理のし易さ・価格、などなど
値段が高ければ使い易いかというと、決してそうでもなく。それぞれに特色があり、実際使ってみないと解らない事が沢山あるので
いろんな事を考慮し、最終的に『コレだ!』って商品を決め、大量に仕入れる訳なんですが
開業当初から、一旦価格が下がるも。ある時期を境に、仕入れる度に価格が上がり
とても頭の痛くなる時期が何年も続いていたのですが、ここ数年は比較的安定(とはいっても、まだまだ高い)している状態で
安心しながら仕入れをしていたのですが
いつものように業者さんから、これまたいつものように、いつもの商品を受け取り、いつものように使おうとしたら・・・
微妙にパッケージの柄が変わっていて。使ってみると、これまたあきらかに今までと違う感覚
パックを入れてみると、ちょっと窮屈
よくよく見ると、大きさが変わっていた。その違い、僅か10ミリ
業者さんを通して、メーカーに問い合わせをして貰うと『今までの商品はもう作っていなくて、新しい商品に切り替えました』
との事。たかが10ミリとはいえ、その事によって作業に少なからず支障がでるのはマズイ
メーカーからすれば、10ミリ大きさを小さくする事でも。1ケースで数円、もしくは数十円のコスト削減になり
それが、数千・数万ケースとなれば。メーカーとしては膨大な金額のコスト削減になる。
梱包資材というのは、絶えずコスト削減の対象とされ。日々改良&進化を続けている
つねに大量に消費される、缶ジュースやペットボトルの容器などは、0,1グラム、いや、正確にはもっと細かい数値での改良が続けられ。軽量化への努力は並大抵ではなく、その上で強度は今までの水準を維持しなくてはいけない
容器に使う資源を少なくしつつ、強度を維持する。そして、価格も抑える。とても大変な事だと思う、うん
大変な事は解るんです、このご時世ですし。
でもねぇ~、いきなりの変更ですもんね。しかも数千枚も仕入れちゃってるし
すでに作っていないとはいえ、今の資材が使いにくくなっているのは事実なので。またいろんな資材の情報を集め
一つ一つサンプルを取り寄せ。サンプルがない物に関しては実際に仕入れをして、使い勝手を見ないといけない
これから徐々に寒くなり、忙しさもハンパじゃない。
正直、面倒。
でも、ちゃんとやんなきゃいけないんだよね。
これが、たこ焼き関連の専門業者さん一手で資材や食材を仕入れていれば、このような手間は掛からないんだけど
資材だけでも数社、食材に関しても北海道から大阪まで、多数の業者さんから仕入れ
コレはココ、コレに関してはココの業者さんのがいい。と、一つ一つ選んでいる為
もしもその業者さんが規格を変更したり、製造を中止したりすると、大変な事になる。
実は、今までもそういった事が何度もあり。一番堪えたのが、数年掛けてようやく見つけた納得のいく食材があって
しばらく使っていたんだけど、突然業者さんから『最近倒産しちゃったんで、もう仕入れる事はできないんです』って
そこは、ずっと昔ながらの製法でやってて。かなり手間も掛けていたんで効率は悪いし、価格も決して安いとはいえない
やはり、大手メーカーの安い商品には敵わなかったんだと思う
全国各地から何十種類と仕入れ、その中でようやく巡り合えた食材でした。
こだわればこだわる程、そのモノを失った時の絶望感というか
『なんでこんなにイイ物が無くならなきゃいけないんだ・・・』という、悔しさも込み上げてきます
その後、昼間の空いた時間は電話帳を開き、営業後の深夜にはネットを検索。そして、何とかその商品に近いモノを探す事ができました
どうせなら、今まで以上のモノを作りたいと思い。生地をイチから見直し、仕入れ先も改めて見直す事になり、膨大な時間と手間が
そして、開業当時からずっと探し続けているモノもあり。納得のいくたこ焼き作りはまだまだ道半ば
移動販売を初めて約10年
たこ焼きを焼き、販売をしている姿しかお客様は見る事ができないので。”仕事”といえばその場面を思い浮かべると思いますが
実は、販売をしてる姿というのはほんの一場面でしかなく。全く見えない所での仕事の方が、実は重要だったりします
業者を探し、資材と食材をちゃんと仕入れ、粉を作り。その為に使う器材もしっかりと手入れし。伝票などの管理もしっかりとして
出店先を探し、その上でやっとお店を出す事ができ。お客さんと接する事ができるんです
今回、中国がレアアース(希土類)の輸出を規制しましたが。食糧に関しても、この国は輸入に頼らなければ殆どの外食産業が成り立ちません
資材にしても、食材にしても。いつまでも安定して仕入れができる保証はどこにもありません。
こんなに小さい軽自動車のたこ焼き屋なので、ウチが世間に与える影響は全く無いにしても
世界情勢や経済状況には絶えず振り回され、いつ吹き飛ばされてもおかしくない状態で
たった10ミリの事で、あれやこれやで悩んでしまう次第です。
他にもまだまだ解決途中の悩みはありますが、寒さも徐々に増し日々忙しくなってきます
頭を使う事よりも、その時間を少しでもたこ焼きを焼く時間に費やしたいのですが・・・