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2012/08/25

午前3時、ザックを背負い、ヘッドライトを着けて山に入った。

クマの密度が濃いエリアで闇夜に山に登るのはやはり薄気味悪い。

時々、森の中で眠っていたシカが鈴の音に驚いて走り去っていく。

その度に「ドキッ」として反射的に立ち止まり、音のする方向に耳 を向けた。

「闇」は驚くほどに人間の感覚を研ぎ澄ますものだ。

不気味な暗黒の世界が白々と明け始め、闇の向こうにうっすらと 「大地」の

景色が見えてくると、気持ちは一変した。

それは日の出前の束の間の「蒼の世界」。

静寂に包まれた自然の中でこの瞬間を迎えた時、最も自然の神秘を感じる のである。

数分後には山の向こうの空が赤くなり始めた。

息を切らせながら山道を登っていると、突如として目の前にエゾシカ が現れた。

家族だろうか・・・。

赤く染まり始めた空が大地を照らし、ゆっくりとエゾシカの姿を浮かび 上がらせた。

美しい景色の中で佇む彼らの姿がとても印象的で何度かシャッターを 切った。

エゾシカの最も「野生動物らしい姿」だった。

その後・・・、 まもなく昇り始めた太陽は一際感動的なものだった。

2012/08/25 09:19 | yamada | No Comments