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前回の記事では、
主にジャグリングを見るにあたって、「この技が出たら凄い!」的な話を少しだけしまして、
まだネタはあるのですが、
今回は、日本最大のジャグリングの競技会、”JJF(ジャパン・ジャグリング・フェスティバル内のチャンピオンシップ)”において、道具別の観点から見所も伝えられたら、と思います。
●3ボール
3つのボールはいわゆる普通のボールとはカテゴリわけが違います。
通常、「多ければ多いほどジャグリングは凄い」と思われがちなのですが、そうとも限らないのがジャグリングの世界。
伝説となったショーン・マッキニーのジャグリングのスタイルを源流とする
ボディースロー(※前回記事参照)を多用し、とてもアグレッシブに動き続けることができるのも3ボールならではの特徴です。
ここ2~3年突如登場した「村上スタイル」と呼ばれる、3ボールを中心としたスタイルにも要注目です。
ボールとボールの間を別のボールが素早く横切る「シャッフル」や、腕の交差、手の甲でボールをバウンドさせるテクニック
等を駆使し、「開拓しつくされた」と思われていた3ボールの技の世界をグッと押し広げたのが彼、村上君です。
彼を真似するジャグラーも多いのですが、どう「本職」とすみ分けをしてくるのかがポイントとなってくることかと思います。
●それ以上のボール
多くの個数のジャグリングをやることを「ナンバーズ」と言います。
4~5個のボールを僕は「ミドル・ナンバーズ」と呼んでいます。(正式な呼称ではないと思います。ナンバーズと言うには数が少ないので。)
4~5個の場合、観客席にもできる人が多いため、ただ高さを変えたりとか単純な技をやるだけでは駄目で、いかにボディースローやピルエット(※前回記事参照)を絡めて大技に発展させるかが勝負の肝になってくるでしょう。
4~5個のボールをしっかりと操れる人はなかなかいないので、この個数を自在に操るスタイルが出てくるのであれば、観客を盛り上げることは十分可能だと思います。
6個・7個は、ここで技をやればなんでも拍手が貰える個数。技のオリジナリティよりは、「成功させる」ことが重要になる個数です。
例え1回失敗しても、精神的な余裕があるのならば再チャレンジも許されることかと思います。
それ以上の個数は、まだJJFの舞台でやった人はいないのではないかと記憶しています。
●クラブ
クラブは、道具自体はとてもメジャーなのですが、扱うのに難しい道具です。
それゆえ、技の難易度が高くてもyoutube等の動画で海外のジャグラーの凄い技を見てしまっているので、
変に観客が「見慣れて」おり、凄さが伝わりにくい道具であると思っています。
(そこら辺は審査員の技量で何とかしてほしいところではありますが……)
また、オリジナリティを出しにくい道具であり、やる技が全て似たり寄ったりになりがちであると思っています。
ただ、逆にそれがクラブジャグリングの特徴でもあると思うので、
クラブジャグラーは複雑なことを考えず、高難易度の技をガシガシ決めて行くスタイルが潔くて好感を得られるのではないでしょうか。
(勿論、クラブと言う道具でオリジナリティを出すことができるのであればそれに越したことはないのですけれど。)
そういう意味では、前回記事で解説した、ボディースローやピルエット等、
正攻法で難しい!という技には是非とも皆さんで拍手を送ってほしいところです。
●リング
トスジャグリングの中でも、リングは異端な道具です。
ボールは剛体じゃない(ことが多い)し、クラブは完全に対称な形ではありません。
それに引き換え、リングは剛体であり、円というとても対称な形をしています。
それゆえ、ボールやクラブに比べてよりオリジナリティを求められる道具であると思っています。
ただ単純に多い個数を投げるわけではなく、どうこの円形を上手く使うか、どうこの円形を綺麗に見せるか、
というところが着目点であると思います。
勿論、だからと言って多くの個数を投げるのに適していないというわけではありません。
むしろ、リングが一番多くの個数を投げるのに適した道具であるという話もあるくらいです。
ただ、ボディースローがやりにくいなど、投げるだけではありきたりなジャグリングになりがちになってしまいます。
どう他のジャグラーと区別をするのか。そこがポイントとなってくるでしょう。
●ディアボロ
トス系に次いで日本では競技人口が多い(と思われる)のがディアボロです。
独自の大会まで開催されていますし、また、台湾のディアボロトップアスリートたちとの交流も積極的に行われており、
今最も日本のジャグリング界の中で熱いのがディアボロだと言っても過言ではないでしょう。
2005年にIJA(国際ジャグリング大会)で3つのディアボロが回されて日本人が優勝しましたが、
もはや3つのディアボロは誰もが当たり前の用に回す時代になりました。
それゆえ、ディアボロに対する審査員や観客の目は厳しく、高難易度の技をいかに観客に伝えられるか、というところの勝負もあるでしょう。
演技の内容が、どのディアボロ使いも似た雰囲気になりがちなので、
自分独自のディアボロの演技の姿をどう見つけて行くのか、というのが一つのポイントになりそうです。
進化をし続けるディアボロですが、未だに舞台上での4つ以上のディアボロは驚愕の拍手を貰うことができるでしょう。
天井の高さも劇場に依ってはディアボロ使いの気になるところですが、少なくとも今年のJJFのステージは4つのディアボロなら大丈夫でしょう。
それ以上は知らない(笑)
●デビルスティック
はっきりいって、デビルスティックはまったく情報が入ってこず、
今どのような技が流行して、どんな世界になっているのかと言うことがまったくわかりません。
少なくとも、2つのデビルスティックを両手で回す「デュアルプロペラ」という技は既に基本技の領域になっているようで、
それプラスアルファの世界になっていると聞きます。
過去、デビルスティックは、JJF史上において、突然凄いデビル使いがぽっと出てきては好成績をかっさらっていく、
ということの繰り返しです。
ここ暫く表舞台に目立ったデビルスティック使いが出てきていない(僕が知らないだけ?)ことから、
そろそろヤバいデビルスティック使いが出てくるのでは? と期待をしております。
●シガーボックス
僕の専門分野であるシガーボックスも、昨年は決勝の舞台に一人もコマを進めることができていませんでした。
最近の流行りは、「レインボーループ系」「ダイアモンドループ系」という、
技一回だけでは終わらず、数回の技を挟み込む前に行うというかつてのシガーボックスの常識を打ち破った技です。
ただ、ディアボロと同じように、傾向が似ているため「似た雰囲気」になりがちです。
どのように他のシガーボックス使いとの色分けをしていくのかがポイントではないでしょうか。
シガーボックス使いの方には、高いレベルの技を決めるだけではなく、
どういう順番で、どういう立ち振る舞いで演技を行うのかと言うことをもう一度考えていただきたいです。
隙間産業も多い道具だと思うので、オリジナリティで勝負するのもいいと思います。
●その他の道具
ここ最近ではなかなか「その他の道具」が活躍する機会と言うのはなかなかないですが、
ジャグリングの根幹である「失敗するリスクを孕んでいるが、それを成功させるから凄い」ということを上手く表現できているか
どうかがポイントであると思います。
あまり失敗するリスクが無いのであれば、どうジャグラーに納得してもらえる演技をするかです。
なんか、途中から
「どんなパフォーマンスを期待するのか」になっちゃったなぁ(笑)