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2012/05/09

そぉそぉハプニングが起こるわけでもないので、なかなかコラムが書けなくて事務局にゴメイワクをおかけしている。

                        

「第1001回全国マテ貝採り大会」がコッソリ開催されたのでエントリーした。この大会は、JUMC(ジャパン・ウハウハ・マテガイ・コミッション)という日本全国会員約2名の存在するのかしないのか、たぶんしない団体が開催した、マテガイを愛するマテガイの、マテガイのための、マテガイに限りなくメイワクな大会である。

会場は市内のMBP(マテガイ・ベスト・ポイント)である潮干狩り場のS。ここで何日か前にボクは中京テレビの撮影をしてテレビにも映ったんだ。

全国の潮干狩り場のアサリを代表とする貝類にはその貝殻のすべてに「これは漁協のものです盗むな」と書いてあるというので、お金を払わないと採らせてもらえないどころか、潮干狩り場に入ることすら出来ない。飛行場のゲートより厳しいのだ。しかし、監視員のオヤジに「マテガイだけを採る、マテガイ命、3度のメシよりマテガイが好き、持って帰らない、インディアンうそつかない」といったら「んじゃ、よかんべ、入れ」とお許しが出たので、バーローバーロー!と言いつつ、現場へ。

マテガイ(馬刀貝)とは、海に住んでいる貝の仲間で、二枚貝網マテガイ科。10センチほど。見た目変だが、バター焼きなどで食えてウマイ。以上。

GWも終わった平日の潮干狩り場はスッキリしたもんで、波の音とオババの世間話の声しか聞こえない。マテガイとりの手順は以下の通り。

①まずは、そこらの砂をかるくホジル。

②出てきた穴に塩を入れる。

③慌てふためき飛び出してきたマテガイをつまむ。

④なろー!っと奇声をあげて引っこ抜く。

⑤引っこ抜いたマテガイを砂浜に横たえる。

⑥すこし距離をとってそれを眺める。

 

 

マテガイからしたら、巣穴に海よりしょっぱい塩を大量投入されるので、とんだメイワクな話しだ。自分の家の窓からいきなり大量の塩を放り込まれたら高血圧必至である。

塩を入れたら少し待てである。ナイスガイはマテ茶でも飲んで待て。だからマテガイ。いや違う。

塩を放り込まれたマテガイは「ちょ、何してんだよ!しょっぺぇ!ちくしょう!」と言って穴から姿を現す。威勢のいいヤカラであれば体の半分くらいは穴から飛び出してくる。これをつまんでユックリ引っ張る。

初めてこの現場に遭遇すると、人は出てきたマテガイ以上に気が動転して、つまむのをためらってしまう。そうすると、あ、失礼しました、と言ってマテガイは再び土中深く潜って出てこなくなってしまう。思い切って素早く出てきたマテちゃんを捕まえるのがコツだ。

マテのほうも、「待てマテ、話せばわかるマテ!落ち着いて、まずはその手を離すマテ!」と言って土の中でふんばって抜かれまいと抵抗してくるので、「問答無用!!」と言って手を離さず力を入れてゆっくり引っこ抜く。

文章だとそのトキメキが伝わりにくいが、実際やってみるとコーフンするのだよこれが。アサリ採りをやりにきた人でも、マテガイ採りを教えるとみんなコーフンしてマテガイ採りに夢中になり、もっと塩を!こっちにも塩を!っとわめき散らすレベルである。

もっとも、最近はアサリすら採ったことがない人が多いので、アサリでコーフンしている。しかもそれはアサリではなくシオフキガイというアサリに似た貝の時が多くある。シオフキガイは3日くらい砂だししないとジャリジャリで食えないぞ。

引っこ抜かれたマテガイちゃんは砂浜にだらしなく横たわって並べられるが、ふと我に返って貝から足を伸ばしたり縮めたりしてフニフニ動いて砂に帰っていく。この光景がなんとも気味が悪い。ニョキニョキフニフニ動くマテガイの足(みたいな部分)は、動く鼻水、もしくは果てしなくだらしのないチンチンみたいな感じなのよ。いやホントに。

この日は、お日柄も潮も良くて、短時間にホイホイとつまんでは引っこ抜き、30本くらい引っこ抜いて、いい加減そのうち飽きて、マテガイ以外のものは飛び出してこんのか!この野郎!とかいって終了した。

広大な砂浜なので、ここにいったい何本のマテガイがフニフニ動いておるのか、と想像するとなんだか怖くなる。

潮溜まりにはカニやボラの子供の大軍がいて、これからの時期、海がどんどん面白くなってくるのだ。

2012/05/09 09:04 | kobayashi | No Comments