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2012/03/23

この季節、レインボーサポートネットに寄せられる相談の中に、年度末特有の相談があります。

Q:息子の仲の良い同級生にゲイの子がいるのですが、また新年度も同じクラスになってしまうと勉強の妨げになるのではないかと心配しています。学校にお願いして別々のクラスになるようにしてもらうべきでしょうか?

Q:転勤の辞令が出て、恋人と離れ離れになりそうです。転勤の辞令を覆す方法はありませんか?

Q:大学進学で地方から都会に出るのですが、年下の恋人が学校を中退してついてくると言っています。親の同意なしに都会で一緒に暮らせますか?

Q:夫がゲイであることは薄々気付いていましたが、この春に夫が定年退職をするのを機に離婚しようと思います。離婚手続と年金分割について教えて下さい。退職金が出たらすぐに離婚手続をしたいです。

出会いと別れの季節であるこの時期特有の相談が寄せられるようになってくると、相談件数は増加していきます。そして、夏にピークを迎え、秋に収束向かい、冬にはグッと減ります。実に不思議な現象です。

さて、上記の相談にもありますが、親が子供の交友関係の中に、LGBTがいることを知り、過剰に心配するというケースがあります。

子供自身は何も問題なく友人として接しているのに、その親が自分の子供に何らかの悪影響があるのではないかと心配してしまうケースです。

ここでいう悪影響というのは、①自分の子供がLGBTになってしまうのではないか? ②自分の子供がLGBTに誘惑されるのではないか? ③自分の子供がディープなLGBTの世界に興味を持って勉強に身が入らないのではないか? なとです。

「LGBTを否定するつもりはないけれど、自分の子供とは関わらないで欲しい」というのです。

若い世代ほど、LGBT当事者と直接の友達であるという人たちが増えてきました。早い人では、中学時代からLGBTの友達がいたという人もいます。今や、自分の周りにLGBT当事者がいるのが当たり前と言ってもいい時代になりました。

子供が知るLGBT当事者は、友達の1人であって、それはたまたま友達がLGBTだったということに過ぎません。LGBTだから友達になったわけではなくて、逆にLGBTだから友達にならなかったわけでもなくて、セクシャリティ云々ではなく、人間同士の交流の成果として友情を他の友人たちと同様に育んでいるのです。

親にしてみると、LGBTと言えば、テレビ番組に出てくる個性の強い面々のことを1番に想起します。非常に強烈な先入観でLGBTをひとくくりにしてしまっているのです。

親が子供を心配するのは当然ですが、子供の交友関係に不要な介入をしようとすることで、逆に子供の健全な人間関係の構築を疎外してしまうケースもあるのではないでしょうか。過保護な親が増えてきているような気もします。子供の方が柔軟に良い対応をしている場合が多いと思います。

年度末という1年の締めくくりの時期、人生の岐路となるこの季節、様々な人生の選択に悩む人々や、新しい環境へと旅立つために過去を清算しようとする人々などからの相談が寄せられています。

2012/03/23 12:01 | nakahashi | No Comments