« 素敵な炭火 | Home | 短歌はどう読まれるのか »
今回は、中橋とゲイバー経営者のジンさん(仮名・43歳)との対談です。
中「早くも12月になってしまいました。今年1年を振り返っていかがでしたか?」
ジン「早いですね~。あっという間の1年でした。今年は事件がありすぎて、1年で10年老けた気分です(泣)」
中「看板店員さん引き抜き事件に、売上金横領事件に、家賃値上げ事件がありましたね(焦)」
ジン「お店だけでもヘビーな事件に見舞われましたが、個人的にも恋人に振られる事件や、愛猫ハル君交通事故事件もありました」
中「受難の年でしたね。でも、お店に関する事件は解決したので、来年は心機一転頑張って下さい」
ジン「そうですねぇ。お店の経営は大変なので、安心はできないですけど、今年のダメージを回復できるように頑張ります」
中「ゲイバーの経営が大変だと思う理由は何ですか?」
ジン「私の店だけではないと思いますが、商品の単価が安いですし、お客さんが長居してしまうので回転が悪いですし、誰でも気軽に入れる店ではないですし(苦笑)」
中「それでも続けている最大の理由は何ですか?」
ジン「やはり、お客さんが私の店に集うことを楽しみにしていてくれることですかね。心地の良い居場所に思ってくれているお客さんのために続けています」
中「お店として経営努力はしていますか?」
ジン「ありきたりかもしれませんが、広告宣伝などはゲイメディア媒体にかなりしています。常に新しいお客さんの獲得は狙っていますよ」
中「客層としてはどういう人が多いのですか?」
ジン「うちは、○○専といったような、偏った趣味的お店ではありません。何専であっても、気軽に飲んで頂けるようなゲイバーにしているつもりですが、自然と私の年齢とプラスマイナス10歳くらいの人ばかり集まっているような気がします」
中「ところで、ゲイバーには、例えばヘテロセクシャルとか女性が行ってはいけないのですか?」
ジン「それはお店によりますけど。。どなたでも入店OKなお店もありますが、多くの店は『ゲイオンリー』だと思って頂いて結構だと思いますよ」
中「ジンさんはゲイバーの経営者として、多くのスタッフやお客さんを見てきて、最近のゲイ業界のことをどう思いますか?」
ジン「ゲイ業界というか、ゲイバー業界と言った方が良いかもしれませんが、ゲイの人口は増えているような気がするんですよ。でも、ゲイバーに足が向く人の数は減っている。やはり、インターネットのサイトや携帯サイトで出会うことが主流になってきているせいだと思うんです。ゲイバーに出会いを求めて来る人が確実に減っているような気がします。新しい出会いの場としてのゲイバーの存在感は薄くなってきていますね」
中「ゲイバーにはそんな機能があったのですか!?」
ジン「そうですよ。時には、キューピット役だってします。その反面、恋愛トラブルのとばっちりを受けることもありますが…(焦)」
中「まさに社交場なんですね」
ジン「お店によって雰囲気とか全く違うと思うんですが、やはり、新しい出会いを求めているお客さんは多いです。いつ来ても常連ばかりというのは、それはそれで楽しいかもしれませんが、そういう常連さんが固定化する期間というのは一時期だけで、人の関係は常に変化していきます。それを傍から見ているのは面白いですよ」
中「ジンさんは、今回お店を少し田舎に移しましたね」
ジン「はい。前の場所では家賃などの問題がありましたし、何せ通勤が大変だった。そこで、自宅に近い地域にお店を移しました。ゲイバーほとんどない地域ですけどね(焦)」
中「ゲイバーという名目で役所に許可を取るわけではないですからね(笑) 手続的には他の飲食店と変わりません。狙う顧客層の違いまでは書類に記載する必要はないですからね」
ジン「そうでしたね。私は『ゲイバー(男性専用種類提供店)』みたいな種別があるのかと思っていました(笑)」
中「ゲイバーにせよ、ビアンバーにせよ、オープンしては消え、消えてはオープンし、みたいな状況があります。3年もてばスゴイなんて言われているようですが、ジンさんは堅実経営ですね」
ジン「本当に儲かりませんし、仕事はきついですし、拘束時間は長いし、肝臓には悪いし、昼夜逆転するし、自分自身の犠牲は大きいものがあります。でも、自分の体がもつうちは、この仕事が好きなので続けていきたいと思っています」
中「好きな仕事を続けられるっていいですね」
ジン「好きでないと出来ないですよ。本当にハードなんです。喜んでくれるお客さんだけが心の支えですよ、本当に」
中「これからも多くのお客さんに支持されるお店で頑張って下さいね。今日はありがとうございました」
ジン「ありがとうございます。頑張ります」