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2012/01/26

「知らないひととよく長時間しゃべってられるね」
この言葉は、キャバクラ時代によく頂いた質問のひとつです。
聞いてくるのはもちろん女性で、夜の仕事の経験が無い方。あるいは、もともとわたしと
親しくて、いかにわたしがしゃべれないか、を熟知している女友達。

ところで、「キャバ嬢=全員がおしゃべり上手」という思い込みをお持ちの方はいらっ
しゃるでしょうか?
確かに、キャバクラ嬢が一日にお店で会話する初対面の人数は半端ではありません。
本指名のお客様だって必ずお一人で来るとは限らず、ご友人様や接待帰り、なんてすごい
人数で膨れ上がったり、グループでいらっしゃる場合もあります。
(お客様が本指名、その女の子狙いで一人で来ている場合はもちろん除きますが。)
もちろんこれはキャバクラに限らず、クラブ、あるいは風俗店でも「初対面の異性と
いきなり会話する」というシチュエーションは必ず訪れる瞬間です。

で、この会話。
一番楽ちん、かつ便利な方法としてわたしが伝授されたのはただひたすら相手の話を
聞く、というもの。(会話の糸口を探るために)熱心に聞いていれば、(もしくは聞いて
いるふりをすれば、)話し好きのお客様なら喜んで話してくださいますし、極端な話、
こちらの相槌も「すごい!」「そうなんですか?」の2種類で済みます。
若葉マークをつけたいくらいド素人だったわたしはよくこの手法で乗り切ったものです。

ただこの方法だと話しベタなお客様では完全にテーブル上が沈黙、というデメリットも。

となるとやはり女の子の方から話が出来るほうが、上記のテクニックも併用できて
よりスムーズにお客様に楽しんで頂くことが出来るといえます。

この場合、わたしが参考にしたのはとにかくテレビを見る!ということ。
お店によってもカラーが違うので一概には言えませんが、お客様の年齢層に応じた雑誌を
読んだり新聞には必ず毎日眼を通す、という女の子もいました。
とにかく、最初の「はじめまして」の後に沈黙が訪れないよう、何か続けられるように、
もしくはお客様から何らかの問いかけがあった時に対応できるように、メディアの力を
借りて浅くても広い情報を集めておく、というのが有効です。
特に初対面の場では深刻な話をしたくてキャバクラやクラブに遊びにいらっしゃる、と
いう方はほとんどいらっしゃいませんし、すごく美人で座ってるだけでお客様が上機嫌に
なるという女の子のほかは大体この手を活用しているようです。

もちろん、女の子にとってお話の内容によっても得意・不得意はあります。
たとえばわたしはスポーツの話題がほぼ駄目。野球だと球団の名前、主力選手くらいは
覚えていますが今シーズンの成績は?と聞かれると答えられない(そしてずれてる)。
逆にドラマや小説の話題だと好きなだけに聞かれてもほぼだいたい答えられます。
スポーツ好きのお客様にとってはわたしは外れですが、そういうときはスタッフの男性が
さりげなくその手の話題が得意な女の子をつけてくれる、…と思います。

あとは意外に使えるのが男性ファッション誌。
お洒落で昼間はアパレル関係の仕事をしていたという女の子は、お客様のスーツをほぼ
8割の確率でどこのブランドか当てることが出来ていました。これは時計やネクタイ、
鞄など色々ねらいどころがあるらしく、そういうところに凝っているお客さまはのきなみ
その子を指名する、という現象を見たことがあります。
お客様が拘っている部分を見抜くのも、会話の糸口になるんですね。

と、いうわけで冒頭の質問。
よくしゃべっていられるとすれば、それは女の子がねっから話し好きか、努力のたまもの。
逆にいえば努力すればそこそこは話せるようになるんです。
これも、わたしがキャバクラ勤務を通して学んだ大切なことのひとつです。

2012/01/26 12:05 | chica | No Comments