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民主党の議員定数削減案が提示されましたね。
民主、衆院小選挙区「0増5減」の自民案を採用
http://bit.ly/wUYdWm
自民党案を丸呑みしたことも納得いかない部分ですが、
それ以上に
>衆院選比例代表の定数を80削減する方針も確認した。
この部分が問題です。
民主党も自民党も、比例代表選出の国会議員を減らして、
小選挙区選出の国会議員を減らすことは最小限にしようとしています。
以前の記事に書いた通り、僕は小選挙区制度には反対、
将来的にはむしろすべて比例代表で国会議員を選出すべきだと考えています。
今、そこにある格差 -あなたの一票は、何票?-
小選挙区制度の問題を上げればキリがありません。
・大政党に有利(だから民主党も自民党も相乗りする)
・死票が多い
・国会議員が地方の御用聞きになる etc..
詳細に突っ込むと眠たい話になるので←、
今日はゲーム感覚で読める小選挙区制度の欠陥を一つ指摘してみます。
小選挙区制度では、一つの選挙区で当選するのはトップのみ。
つまり投票で得票数の多い一人だけが当選するシステムです。
とてもわかりやすい「多数決」だと言えるでしょう。
わかりやすいだけに、「おっ、多数決なら平等で民主的だな」
と思ってしまいがちですが、ここには大きなワナがあるのです。
例えば、3人が立候補する選挙区だとしましょう。
得票率は、こんな結果になりました。
Aさん:40%
Bさん:30%
Cさん:30%
Aさんが40%の人から支持を得て得票したのだから、
多数の人に支持されている!文句ナシで当選、公平な多数決だ!
…となるのでしょうか。
裏を返せば、60%の人はAさんを支持していないのです。
BさんとCさんに投票した人たち60%の人たちが実は
「Aさんだけはありえん!だったらBかCのがマシ!」
と考えていたとします。
その場合、同じ多数決でも
「不人気な人に投票して、一位から脱落していく」
という方法の「不人気投票」ルールで選挙をすれば、
真っ先に脱落するのはAさんになるのです。
このように単純な多数決とは、本当に多数の意見を代表しているとは限りません。
ルールや切り口によって、結果が変わることすらあるのです。
日常生活でも、こんなことは多々あります。
7人グループでランチをしようとしました。
和食、洋食、中華の選択肢があります。
3人が和食、2人ずつが洋食と中華を支持しました。
洋食と中華を支持する4人は、実は「和食だけはイヤ!」と思っています。
この場合、和食は「みんなの意見」と言えるのでしょうか…?
この多数決の矛盾は、何気に民主主義の根幹に関わる深淵な問題を含んでいます。
これらを理論化したものが「コンドルセのパラドクス」として有名です。
…実はそんな理論や具体例を引っ張り出して民主主義を否定し、
「最良の政治システムは、世襲を排除した寡頭政治だ!」
というのを論じようとしたのが僕の学部時代の卒業論文でした(死)。
あの頃は若かった…(遠い目)。
もとい。
このような矛盾も含む小選挙区制度。
それでも民主党(と自民党)がこれを保守したがるのは、
まず全選挙区に候補者を立てられるような大政党に有利だからです。
「国会議員定数の削減」
という諫言に惑わされ、真意を見誤れば保守政治家たちの思うツボ。
制度の欠陥を見極め、政治の改革が進むまっとうな選挙制度を主張する、
しっかりとした政治家を支持していきたいですね。
それではー。