JunkStageをご覧の皆様、こんにちは。 いつもJunkStageをご訪問いただき、ありがとうございます。
「政治の世界、はじめの一歩」のライター・音喜多駿さんの本コラムにつきまして、現在、更新を停止させていただいております。ご愛読頂いております皆様には大変申し訳ございませんが、再開については協議中のため、決定次第、追ってこちらでお知らせいたします。
(JunkStage編集部)
維新 石原氏「橋下氏と分党で一致」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140528/k10014799551000.html
ご案内の通り、2012年衆院選で旋風を巻き起こした日本維新の会が
結党から1年半を待たずして分党(分裂)する運びとなりました。
離党だろうが分党だろうが一般国民から見たら
果てしなくどうでもいいことだと思うのですが、
今回も双方かもしくは片方が新党を結成する展開になるでしょう。
なぜ他と合流ではなく新党結成かというと、年末のみんなの党分裂のときと同様、
維新の会にも「比例代表」で当選した議員が多くいるからです。
そもそも、代表の石原さんが東京ブロックの比例当選ですよねそういえば。。
比例代表で当選した議員は「政党名」で信託を得て当選していますから、
他の党に移籍することは法律上認められていないわけですが、
・無所属として活動する
・選挙の時にはなかった新党結成に加わる
ことに関しては法的な規制がないため、
こうした「脱法」とも言える行為がまかり通るわけですね。
比例代表議員による新党結成や無所属での活動については、
・当選した議員は政党ではなく、全国民の代表者だから
・当選時になかった争点が出てきた場合に対応する必要がある
・党が分裂した場合、どちらからが議席総取りになるのは民意の反映ではない
などの理由から擁護する学者さんもいらっしゃいます。
ですが、私はこの意見には否定的な立場です。比例代表で当選した議員が
離党する場合は、議員辞職するのが筋だと考えています。
■
この理由を詳細に書いていくとマジで論文が一冊書けてしまうんですけど(苦笑)、
本日は一つに絞って書くと、日本はもう少し政党政治がきちんと
機能するようになるべきだと考えるからです。
「日本の選挙にはカネがかかる」
と言われておりますが、世界を見渡すと選挙でこれほど
お金がかかっている主要国は、日本・韓国・アメリカの3つです。
そしてこの3ケ国の特徴は、選挙が個人重視になっている点です。
これらの国では、とにかく町中に候補個人のポスターがあふれて、
選挙カーから候補者名が連呼されるなんてスタイルで選挙が行われます。
必然、「どれだけお金を使ったか」の勝負にもなります。
無尽蔵にお金がかからないようなルールを作るために、長年の蓄積によって
日本には「べからず集」とも呼ばれる複雑な公職選挙法が出来上がったわけですが、
こんな状態は世界で見れば圧倒的にマイノリティです。
ではこの3ケ国を除くその他の国を見ると、ぜんぜん選挙のやり方が違います。
選挙カーも選挙ポスターもあまり見かけません。誰もやらないので、
当然それに対する規制もありません。国よってはそもそも
「選挙期間」
なんてものが定められていない場合もあります(!)。
なぜ、ここまで違いが生まれるのでしょう??
それはなぜなら欧州を中心とする各国の選挙は、
完全に「政党ベース」で行われるからです。
投票日の3日前に候補者を差し替える、なんてことも起こったりしますが、
選挙結果に影響はほとんどないと言われています。これは有権者が
候補者個人ではなく、政党で投票先を決めているからです。
「とにかく顔を売って、有権者と握手することが大事!」
なんて日本の選挙とは、天と地ほどの隔たりがあるのですね…。
もちろん、こうした政党政治にも欠点はあります。
政党の比例名簿の順位付けや候補者選びには直接民意が反映されませんから、
日本で言えば鳩山由紀夫や菅直人を永遠に落選させられなくなったりします。
それでもなお、個人重視の不毛な消耗戦に終始し、
既得権との癒着も招きやすい日本の政治は政党政治へと
脱皮する必要があると、政治の世界に入ってからますます強く感じています。
■
話を冒頭に戻して、私が比例代表議員の移籍に反対する理由は、その行動が
政党への信頼感を失墜させ、政党政治への道を遠のかせるからに他なりません。
こうしたことがまかり通れば、
「やっぱり、政党や政策よりも人柄だよね」
「政党や政策に関係なく、〇〇さんを応援する!」
という『日本人的な美徳や選択基準』が、
今後もますます強くなっていくことが予想されます。
(そういわれるのは、とても嬉しいことではありますけどね)
「選挙から選挙の間の4年間くらい、きちんとまとまっておけよ!」
というのが圧倒的多数の普通の人の感覚でしょうし、
離党や解党の場合、比例代表議員は必ず議員失職することになれば、
皆さんもう少し真面目に政党の維持に努めるんじゃないでしょうか。。
とにかく、色々な理由をつけても結局は次の選挙のために
政党ロンダリングをしていくような議員が実際にいるのも事実。
以上の主な理由により、私は自党が掲げる比例議員の移籍禁止の
法制化については支持するものでありますし、自分自身も政党政治への
信頼を失墜させないよう、今後も行動していきたいと思います。
おお、やっぱり長くなりました…2000文字。。
それでは、また次回。
国民投票法改正案が衆院で可決
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140509/k10014328871000.html
改正法の施行から4年後に投票年齢を18歳以上に
引き下げること柱とする、国民投票法の改正案が衆院で可決されました。
波乱がなければ参院でも可決され、2018年から18歳に投票権が与えられます。
こちらのニュースを受けて
「選挙で、18歳以上が投票できるようになる!」
と思った方もいらっしゃるようですが、(憲法改正などの)国民投票に
おける「投票権」と、各種選挙における「選挙権」は別物ですので、
これをもって選挙権が18歳以上に引下げられるわけではありません。
ただし、どちらも『参政権』の一部であり、この年齢が異なるのは
法的に整合性が取れませんから、これから公職選挙法における「選挙権」も
引下げに向けての調整が具体的に始まっていくことが予想されます。
憲法改正に至るまでの様々な与野党の思惑はあれど、
若い世代に参政権が拡大していくことを、まずは寿ぐべきだと思います。
そもそも、参政権が20歳以上の国は、もはや世界において完全なマイノリティです。
基本的に参政権はどの国も「成人」に与えられるものですが、
世界187の国地域のうち、実に140以上が18歳以上を「成人」としています。
先進国と言われるOECD各国でも、20歳を成人としているのは日本のみです。
成人を20歳以上としたのは、それほど論理的な根拠がないとも言われています。
強いていえば「キリがいいから」なのでしょうが、確かに各国もかつては
20歳以上を成人としている国が多くありました。
しかしながら、教育水準の向上や1960年代からの学生運動の高まりを受けて、
イギリスやドイツ、イタリアなどで次々と成人の年齢が18歳に引き下げられました。
我が国における学生運動時に、なぜかこうした「成人(=参政権)」の
引下げ議論が起こらなかったことは不思議でもあります。
誰かが都合でも悪かったんでしょうね。既得権層や、古い政治家とか。
安倍政権が、おそらく若年層を取り込めると目論んで第一次政権から推し進める
この改正の機運は、私たち若い世代にとって一隅のチャンスです。
参院での可決、その後の公選法の改正まで、注目し続ける必要があるでしょう。
もちろん、参政権を引き下げたからといってすぐに
政治が変わるわけではありません。若者の低投票率に対する一定の効果が
期待されますが、これだけで劇的な変化が起こることはないでしょう。
せっかく18歳、つまり高校三年生が投票にいけるようになるのですから、
高等教育における政治・民主主義の教え方を再考するべきです。
特に
「政治=なんかヤバイもの、触れちゃいけないもの」
という強烈なイメージを払拭するためには
あらゆる手立てを講じる必要があります。政治の話を学生同士が行うことは、
なんら恥ずべきことでもヤバイことでも本来ないのです。当然ながら。
こういう感じで、楽しく本質的に学べるカリキュラムがあるといいですよね。
どうして、選挙にいかなきゃいけないの? -よいこのみんしゅしゅぎ-
http://otokitashun.com/blog/daily/3109/
今回の改正案をきっかけにオトナの皆さまも、
学生や子供たちと政治について、話し合ってみるのはいかがでしょうか。
それでは、また次回。
政治家になる前から書いているこちらのコラム
「政治の世界、はじめの一歩」。おかげさまでこの4月で、
連載3周年を迎えました!
ちょうどそんな折、名物企画の
「ライターへの手紙。」に取り上げられたこともあり、
ここ3年間の軌跡を振り返ってまとめてみようと思います。
しかし、昔の記事はいま読むと
勢いがあるけど未熟でだいぶ稚拙ですねー(苦笑)。
—
■4/10 東京都知事選挙 -リベンジせよ、若者-
http://www.junkstage.com/syun/?p=10
2011年4月、石原前々都知事が当選した選挙について。
この時から一貫して「若者よ、選挙に行かんか~!」って言ってます。笑
■「子ども手当」の何が問題だったのか?
http://www.junkstage.com/syun/?p=37
こちらも懐かしい、民主党政権時の「子ども手当」について。
財源がないのに現金をバラまき、あらゆる事態を悪化させました。
某自民党議員が、実際に小学生にこの手当を聞いたときの言葉が印象的。
「ちっとも嬉しくないや。もらえるのはお父さんお母さんで、僕たちじゃない。それにそのお金は、将来僕たちが返す借金なんでしょう?ちっとも意味がないじゃないですか」
■若者が経済成長を求めねばならない簡単な理由
http://www.junkstage.com/syun/?p=77
ああ、なんか当時のボク、すごい怒ってる…。
今も怒ってますけど。←
■既得権益者の憂鬱
http://www.junkstage.com/syun/?p=98
「身を切る」って言葉は、政治家の給料を減らすことじゃないんですよね。
私たちもすでに、将来世代に寄生する既得権益者なのです。
■国会議員の給料は本当に高いのか?
http://www.junkstage.com/syun/?p=114
■国会議員の数は多いのか? -NGT(永田町)480-
http://www.junkstage.com/syun/?p=122
連綿と続く、国会議員の給料と数の問題について。
当時の勢いで意見を書き殴ってますね。なかなか面白い。。
現在は党のアジェンダに基づき行動しております、ハイ。
■小泉純一郎はなぜ傑物だったのか
http://www.junkstage.com/syun/?p=153
尊敬する政治家、小泉純一郎氏へのメッセージ。
彼が都知事選挙で出てこざるえなかったのに、
本当に日本政治の不甲斐なさを感じるのですね…ふぅ。。
■「めんどくさい」が未来を滅ぼす
http://www.junkstage.com/syun/?p=158
2011年の個人的最優良記事。
なかなか良いこと言ってるじゃないか、当時の自分。
>今の大人たちが既得権益を吸って問題を先送りしたように、
>我々も「めんどくさい」と言ってすべてを先送りしようとしているのかもしれません。
3年前の自分の言葉、しかと胸に刻んでいきたいと思います。
—
…おお、3年分で10本くらい選ぶつもりが、
なかなか面白くて(おい!)2011年だけでたくさん選んでしまった!!
というわけで、2012年編、2013年編と連載企画にしようと思います。
書くのをさぼってるわけじゃないですよー!!
きちんとしたコラムの合間に挿みます。
何はともあれ、こちらのコラムを3年間愛読して下さった皆さま、
改めまして本当にありがとうございました。都政を中心に書く
ブログとすみ分けて、こちらも引き続き鋭利執筆していきます。
今後とも宜しくお願いいたします!
それでは、また次回。
4月1日からいよいよ消費税が8%に増税されました。
続いて10%への増税も控えており、この際には負担軽減策として
「軽減税率」
が予定されていますが、これが最悪の政策であることは
以前の記事でご説明させていただきました。
【消費増税】「軽減税率」は最悪の選択肢?!
http://www.junkstage.com/syun/?p=478
そして私はこの代替案として「給付つき税額控除」という施策を
提唱させていただいているのですが、本日はこの制度について
現状と課題をお話しさせていただきたいと思います。
「給付つき税額控除」とは、
社会保障給付と税額控除が一体化した仕組みです。
今の先進国には、たくさんの社会保障給付があります。
子育て給付金や医療費の補助、生活保護や年金もこの一種です。
これらには膨大な種類とそれぞれに複雑な給付条件があり、
行政を誇大化させてコストを増やす原因にもなっています。
税金を集めて配る(給付する)ために、また税金を使ったりもしています。
参考:
話題の「子育て世帯臨時特例給付金」、配るのにかかる費用が202億円!
http://otokitashun.com/blog/daily/2937/
このようにさまざまな「給付」、つまりお金を配っている一方で、
国は国民から色々な形で税金を集めています。
所得税や住民税、もちろん消費税エトセトラ、エトセトラ…
給付つき税額控除とはつまり、
すんごく簡単に言うと
「集めて配るくらいなら、最初から返す分は集めなきゃいいんじゃないの?」
「配る対象になる人は、その段階で(税額を査定する時に)給付しましょう」
というものです。
これが実現できれば、行政のコストは著しく減少します。
どこで所得制限を線引きするかという議論はあるものの、
生活保護や貧困世帯への子育て・教育支援などの
社会保障政策も一本化することが可能になるわけです。
まさしく行政の効率化、「小さな政府」に
ピッタリの政策ですが、残念ながら課題も多くあります。
まず、多くの国では(特に我が国では)国民の納税額、
つまりその元になる所得の額を把握できていません。
ほぼ正確な所得が把握できるのは、サラリーマンのみです。
実際、給付つき税額控除を導入しており、国民のほとんどが
自ら確定申告を行うアメリカでは、この控除を受ける人々の
約30%が不正受給(不正控除)であるとも言われています。
しかしながらこうした点は歳入庁などの専門機関の設置や、
現代のIT技術などを駆使すればある程度は正確な所得が
把握できるともいえるでしょう(管理国家だ!という批判は浴びますが)。
もう一つは、この「給付つき税額控除」も実は軽減税率同様、
政策誘導的に利用ができてしまうことです。
単純に所得だけで判断するのではなく、
・子どもや配偶者の有無を加味するのか
・資産性の所得も加味するのか否か
・資産用件を導入するか否か
などなどの条件を考慮していくと、結局政治家たちが
自分たちが利益誘導したい母体への影響を考えてしまい、
制度が複雑化して結局行政コストが下がらない結果に陥りかねません。
実際、先行的に導入されている各国でも控除や給付の条件は
まさに百花繚乱という状態で、
「共通しているのは、名前に『税』がついていることのみ」
とも揶揄されている状態です。
うーん、この制度設計は見れば見るほど複雑で難しい…。
このように多くの課題は残っているものの、
「集めて配るくらいなら、最初から返す分は集めなきゃいいんじゃないの?」
という発想は確実に正しいものだと思いますし、
日本も導入に向けて本格的な議論を加速するべきだと考えます。
少なくとも、「軽減税率」なんてものよりよっぽどマシです。
「小さな政府」の実現にはまだまだ課題が伴いますが、
行政のスリム化がイコール国民の利益となるような仕組みが
上手く機能するよう、今後も政策をブラッシュアップしていきたいと思います。
それでは、また次回。
4月1日からいよいよ消費税が8%に増税されました。
続いて10%への増税も控えており、この際には負担軽減策として
「軽減税率」
が予定されていますが、これが最悪の政策であることは
以前の記事でご説明させていただきました。
【消費増税】「軽減税率」は最悪の選択肢?!
http://www.junkstage.com/syun/?p=478
そして私はこの代替案として「給付つき税額控除」という施策を
提唱させていただいているのですが、本日はこの制度について
現状と課題をお話しさせていただきたいと思います。
「給付つき税額控除」とは、
社会保障給付と税額控除が一体化した仕組みです。
今の先進国には、たくさんの社会保障給付があります。
子育て給付金や医療費の補助、生活保護や年金もこの一種です。
これらには膨大な種類とそれぞれに複雑な給付条件があり、
行政を誇大化させてコストを増やす原因にもなっています。
税金を集めて配る(給付する)ために、また税金を使ったりもしています。
参考:
話題の「子育て世帯臨時特例給付金」、配るのにかかる費用が202億円!
http://otokitashun.com/blog/daily/2937/
このようにさまざまな「給付」、つまりお金を配っている一方で、
国は国民から色々な形で税金を集めています。
所得税や住民税、もちろん消費税エトセトラ、エトセトラ…
給付つき税額控除とはつまり、
すんごく簡単に言うと
「集めて配るくらいなら、最初から返す分は集めなきゃいいんじゃないの?」
「配る対象になる人は、その段階で(税額を査定する時に)給付しましょう」
というものです。
これが実現できれば、行政のコストは著しく減少します。
どこで所得制限を線引きするかという議論はあるものの、
生活保護や貧困世帯への子育て・教育支援などの
社会保障政策も一本化することが可能になるわけです。
まさしく行政の効率化、「小さな政府」に
ピッタリの政策ですが、残念ながら課題も多くあります。
まず、多くの国では(特に我が国では)国民の納税額、
つまりその元になる所得の額を把握できていません。
ほぼ正確な所得が把握できるのは、サラリーマンのみです。
実際、給付つき税額控除を導入しており、国民のほとんどが
自ら確定申告を行うアメリカでは、この控除を受ける人々の
約30%が不正受給(不正控除)であるとも言われています。
しかしながらこうした点は歳入庁などの専門機関の設置や、
現代のIT技術などを駆使すればある程度は正確な所得が
把握できるともいえるでしょう(管理国家だ!という批判は浴びますが)。
もう一つは、この「給付つき税額控除」も実は軽減税率同様、
政策誘導的に利用ができてしまうことです。
単純に所得だけで判断するのではなく、
・子どもや配偶者の有無を加味するのか
・資産性の所得も加味するのか否か
・資産用件を導入するか否か
などなどの条件を考慮していくと、結局政治家たちが
自分たちが利益誘導したい母体への影響を考えてしまい、
制度が複雑化して結局行政コストが下がらない結果に陥りかねません。
実際、先行的に導入されている各国でも控除や給付の条件は
まさに百花繚乱という状態で、
「共通しているのは、名前に『税』がついていることのみ」
とも揶揄されている状態です。
うーん、この制度設計は見れば見るほど複雑で難しい…。
このように多くの課題は残っているものの、
「集めて配るくらいなら、最初から返す分は集めなきゃいいんじゃないの?」
という発想は確実に正しいものだと思いますし、
日本も導入に向けて本格的な議論を加速するべきだと考えます。
少なくとも、「軽減税率」なんてものよりよっぽどマシです。
「小さな政府」の実現にはまだまだ課題が伴いますが、
行政のスリム化がイコール国民の利益となるような仕組みが
上手く機能するよう、今後も政策をブラッシュアップしていきたいと思います。
それでは、また次回。
大阪市長選、投票率23.59% 過去最低を記録
http://www.asahi.com/articles/ASG3R4RP1G3RPTIL00Y.html
3月23日に投開票となった大阪市長選挙は
大方の予想通り(?)の低投票率となりましたが、
ここまで低いというのは個人的には誤算でした…。
ちなみに東京近郊でいうと、3月2日投開票で
ひっそりと行われていた埼玉県議会議員の補欠選挙では
投票率がたったの13.47%でした。
埼玉県議会議員補欠選挙 結果
http://go2senkyo.com/election/12797
補欠選挙とはいえ、ここまで低い数字は初めて見ました。。
もはや10人に1人しか投票に行っていないわけで、それで選ばれた
候補者が市民の代表といっても、違和感が残るばかりです。
それでは、日本の法律では低投票率の選挙が無効になるかと言われれば…
答えはNoです。例え投票率が1%でも、選挙の結果は有効になります。
ただし、「法定得票」という決まりがありまして、
一定以上の得票率を獲得しないと当選できない仕組みですから、
あまりにも低投票かつ票が割れると全員落選で再選挙ということはありえます。
この法定得票は例えば衆議院選挙なら「有効投票総数÷6」となってまして、
投票数が10,000票で候補者が10人、全員が1,000票ずつなんてことになると
再選挙になるわけですね。あまり考えづらい事態ですけれど…。
■
結局のところ、ネット選挙の解禁は投票率の向上に寄与せず、
若者の政治離れは加速する一方で、投票率の低下には歯止めがかかりません。
その事態を嘆く一方、選挙前はあれほど「選挙にいこう!」と
多くの人が訴えるにも関わらず、終わると波が引いたように政治の話題を
出さなくなるのを見ると、「一時の祭り」と敬遠されるのも無理ないかなと思います。
政治家のネット発信も選挙後は9割減るという(9割に減る、ではなく!)
冗談なみたいな状態が発生している現状ですけれど、
地道な努力を続けていくしかないのかもしれません。
「だって、入れたい人がいないんだもん」
という人に対しては、かのチャーチルが残した
この言葉をお伝えしたいとします。
「選挙というのは、信用のおけない人たちの中から、
相対的に良さそうな人を選ぶ忍耐である」
民主主義は最悪のシステムだ…という言葉は多くの人が
耳にしたことがあると思いますが、それに続く言葉はあまり知られていません。
放っておいても良くならない(むしろ悪くなる)仕組みだからこそ、
我々が選挙権を駆使して、少しでもより良い世の中を
後世に残すべく努力をしなければならないのです。
■
ちなみに、余談ですが。
私はこの言葉に感銘を受けてから
「棄権は絶対にやめよう。白票もやめよう!」
と心に誓いました。
白票は無投票よりはマシだけれど、
責任の放棄という意味では変わりません。
そして忘れもしない2012年の衆議院選挙。
わが北区から小選挙で立候補した4名の候補者たちは
・公明党
・未来の党
・共産党
・幸福実現党
この時ほど、頭を抱えて苦悩したことはありません(苦笑)。
でも、真剣に真剣に考えて政策を分析して、「相対的に良さそうな人」
を選ぶ作業は、決して無駄ではなかったと思っています。
…この時、白票が日本でもっとも多かったのが、北区だったそうですがね。。
というわけで皆さま、しばらくは大型選挙がない昨今ですが、
そんな時こそ一つ政治に関心を持ってみませんか?
選挙の時では見れない、本当の政治家の姿がわかるかもしれません。
それでは、また次回。
先日、タクシーに乗って運転手さんと雑談していたときのこと。
「議員さんなんですか?!それじゃあ、とても儲かるでしょう!」
と言われまして、
少し疲れていたこともあって
「そんなこと、全然ありませんよ!怒」
と真面目に言い返してしまいました(ゴメン)。
とにかく、世間の
政治家=お金が儲かる、給料が良い
政治家=お金に汚い、お金目当て
というイメージには根強いものがあります。
確かに公開している通り、都議会議員の報酬は年収1700万弱です。
額面だけ見れば、非常に高額に思えるでしょう。
しかしながら、これはサラリーマンの給与というより、
むしろ「商売の売上」に近いものです。ここから事務所費や人件費など、
経費を引いて残ったものが粗利、実際の収入となります。
しかも、給与所得者扱いなのでほとんどが経費控除できず、
真面目に活動すればするほどお金が減っていくという状態に…。
まあそんなお財布事情はなかなか見えづらいのは仕方ないとして、
政治家が偉くてお金が儲かるというのは、高度経済成長期の
政治家たちの姿から生み出されたイメージなのだと思います。
右肩あがりに人口も税収も増えていた時代は、
豊潤な予算を再配分することが政治と政治家の役割でした。
莫大なお金を差配する政治家に権力が集中するのは当然のことで、
「あの道路建設に予算をつけて、実現します!」
「福利厚生を、もっともっと充実させます!」
なんて大盤振る舞いも、実際に可能でした。
市民には感謝されるし、人気やお金も集まってくる。
確かに政治家は「おいしい職業」だったのかもしれません。
ですが、これからは真逆です。
少子化・高齢化が確実に進み、財政破綻間近なこの国で
政治家たちはこれから
「○○の予算は来年から削減します」
「□□というサービスは、今後は縮小します」
「今までタダだった××は、これから2割負担になります」
と、むしろ予算やサービスを削減していくのがその責務になります。
当然、市民には嫌われるし、人気もお金も集まってくるはずがありません。
それでもこれからは、そんな「嫌われ役」を誰かがやらなければなりません。
今の時代に
「増税はしません、でも福利厚生は充実させます!」
なんて公約をいまだに言っているとしたら、
その政治家は本物の嘘つきか、将来のことを何も考えていないのです。
確かに、本当のことを伝えて選挙に勝つのは至難の技です。
街頭に立っていれば、こんな声が多く寄せられます。
「無駄な公共事業をやめればいい」
「政治家や官僚の給料を下げればいい」
残念ながら日本は、そんなレベルをとうに超えてしまいました。
今まで身の丈に合わない制度を使い続けて、将来の子どもたちに
莫大な借金を残していることを、なんとかご理解いただかなければいけません。
「『ありがとう』と言われたい人は、これから政治家になってはいけない」
とある若手市長さんの言葉です。
本当にそのとおりだと思います。
予算を配分するどころか削減し、その理由を丁寧に説明して、
それでも納得してもらえずに市民には嫌われ、働けば働くほど
所得は減っていって儲からない…
-自分が世間に対して捧げようとするものに比べて、
現実の世の中が、どんなに愚かであり,卑俗であっても、
断じて挫けない人間。どんな事態に直面しても、
「デンノッホ!(それにもかかわらず!)」
と言い切る自信のある人間。
そういう人間だけが政治への「天職」をもつ-
(マックス・ウェーバー「職業としての政治」より)
これから政治の世界を目指そうとする若い人をみかけたら、
皆さん一つ暖かい言葉でもかけてみませんか?
それでは、また次回。
東京都議会議員 / 北区選出
おときた駿
■公式HP
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■Facebook
http://www.facebook.com/otokitashun
■twitter
https://twitter.com/#!/otokita
志村・練馬区長急死
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20140225-OYT8T00074.htm
さき一昨日、練馬の志村豊志郎区長(81)が亡くなりました。
心よりご冥福をお祈りするばかりです。
しかし、このニュースに初めて触れたときに
自分に沸いてきた感情は、悔しさと怒りに似たものでした。
「どうしてこんなことになってしまったのか…!」
志村区長とは式典などで二度ほどご一緒したことがありましたが、
祝辞などを述べるのも難儀なご様子で、席に戻ってくるとフラついて、
隣の私の席に乗っかっるように座ってしまったこともありました。
もちろん、本人の意志もあったと思います。
でもなぜ、この年齢の方が区長を続けなければならなかったのか。
もっと下の世代が頑張って、後を引き継ぐことができなかったのか…。
細川・小泉W元首相コンビが都知事選挙に出張ってきたとき、
彼らを引退させてあげられなかった自分たち世代の不覚を恥じましたが、
追い打ちをかけるようにこんな事態が発生してしまいました。
私はかねてからずっと、体調に不安がある方や任期を
全うできない可能性が高い方は、政治家になるべきではないと思っています。
だって、病気で倒れたり亡くなったりするのって、最大の公約違反じゃないですか。
今回、任期半ばでお亡くなりになった志村区長は
23区最高齢でしたけど、他の区長たちの年齢も並べるとこうなります。
-80代-
練馬区:志村豊志郎(81)
-70代-
北区:花川輿惣太(79)
渋谷区:桑原敏武(79)
江戸川区:多田正見(79)
豊島区:高野之夫(77)
中央区:矢田美英(73)
台東区:吉住弘(73)
荒川区:西川太一郎(72)
大田区:松原忠義(71)
江東区:山崎孝明(71)
-60代-
新宿区:中山弘子(69)
墨田区:山崎昇(69)
千代田区:石川雅己(68)
中野区:田中大輔(68)
品川区:濱野健(67)
葛飾区;青木かつのり(65)
港区:武井雅昭(61)
-50代-
目黒区:青木英二(59)
世田谷区:保坂展人(58)
板橋区:坂本健(55)
足立区:近藤やよい(55)
杉並区:田中良(54)
文京区:成澤廣信(53)
23人合わせて1,556歳、平均年齢は67,7歳です。
(合わせる意味はまったくないけど)
いわゆる「生産年齢(65歳以下)」は8名だけで、
経験が重要とはいえ、いささか高すぎるのではないでしょうか。。
首長の決定はその街の20年後、30年後の姿を決定づけます。
すでに彼らの振舞が、未来に大きな影響を残していくのです。
ならば、未来に責任が持てる世代に期待するのがあるべき姿のはず。
本来であれば、政治家自らが「潮時」を判断して身を引くべきですが、
中野区長に至っては自ら「3期以上の多選は原則禁止する」という条例を
作っておいて、見事にそれを翻して時期中野区長選挙への挑戦を明言しています。
なんだそれ…
[東京・中野区長選・現職が立候補の考え表明]
http://jcc.jp/pc/list/w03_41992864931.html
>区長の任期が連続で3期を超えないよう努めるとする
>多選自粛の条例を制定している東京・中野区で、任期満了に伴い
>6月に投票が行われる区長選挙に、現職の中野区・田中大輔区長が
>4期目を目指して立候補する考えを表明した。
残念ながら(わかっていたけれど)、政治家というのは
自らの引き際を決められない人種のようです。お恥ずかしい話ですが、
こうなればルールを作ることも視野に入れなければなりません。
ちなみに各政党、一応の年齢制限は設けているところが多いです。
公明党以外はほとんど、有名無実化していますけど…。
その公明党ですら最近、年齢制限の引上げを表明しました。
高齢化社会反映? 公明、議員定年66から69歳に引き上げ
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140128/stt14012809080000-n1.htm
>同党は所属議員の多選による政治とのしがらみを避けるため、
>他党に比べ、定年年齢を低く抑えてきたが、急速に進展する
>高齢化の波にはあらがえなかったようだ。
ただし、定年制を議論するのであれば、
年々シビアになる議員の懐事情も勘案しなければなりません。
>同党の定年年齢引き上げの背景には、国、地方とも議員年金が廃止され、
>現行のままでは公的年金支給開始までの間に長期間の
>収入の空白期間が生じてしまうという事情もあった。
賛否はあると思いますが、この練馬区長選挙をきっかけに
政治の若返りが争点になり、様々な議論が起こることを願います。
ではでは、今日はこの辺りで。
東京都議会議員 / 北区選出
おときた駿
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さて、都知事選挙が終わって早一週間が経ちましたが、
ネット上で旋風を巻き起こした家入元候補の
「ぼくらの政策」
http://ieiri.net/policy/
を元に、いま一度
選挙や「民主主義」を考えてみたいと思います。
選挙期間スタート時に「政策」や「公約」を持たず、
SNSを通じた意見を集約して政策を創りだした
前代未聞の家入元候補の「ぼくらの政策」。
選挙においてインターネットの双方向性を
存分に引き出した例として、私自身も大変面白いと思いましたし、
現職議員や政治家からも「パクらせて欲しい」との声が相次いでいます。
ぼくらの政策@久喜
http://ameblo.jp/kishi-n-kuki/
家入一真さんごめんなさい丸パクリします宣言―「ぼくらの板橋」始めました
http://www.huffingtonpost.jp/jouta-nakatsuma/1_15_b_4757664.html
ただ、
「まったく新しい政治の形だ!」
という意見については、ちょっと異議を唱えたい。
家入さんの手法が新しいのは、
・選挙期間中に
・インターネットを通じて
政策を募集・立案を行ったという2点であって、
「有権者の声を聞いて政策立案をする」ということ自体は、
どんな政治家であっても多かれ少なかれやっているのである。
そもそも、全員で議論するのが難しいから、その代表者である
議員(政治家)に声を集めて決めてもらおうというのが間接民主主義であり、
どんな政治家でも誰かしらの声を必ず代弁しています。
(それがたとえ、既得権益やしがらみだらけの業界団体であっても)
そのために政治家たちは、靴をすり減らして地域をまわり、
色々な声や地域の問題を集めて政策に反映させます。
新年会や盆踊りなどに、票のために回っていることは
半分…いや7割くらいはそうだと思うけれど、地元の人から
「ぼくらの政策」を集める行為の一旦であることも、また事実です。
今回、家入さんは若者にわかりやすい
「インターネット」という手法を通じて、政策の声を集めました。
だからこそ政治を知らなかった若者には、目新しく感じたことは確かです。
しかしながら、年配の人たちが「インターネットの中のことはわからない」
というのと同じくらい、若者たちも地域や自分たちの街で行われていること、
そのあらゆる部分に「政治」が絡んでいることを知らないのではないでしょうか。
大雪の日、若者たちがネットで情報交換をしている間に、
地域の消防団の人たちが、消火栓を中心に雪かきしていることを知ってますか?
そこには必ず、何名かの区議・市議さんがいて情報交換をしています。
僕らが都心に遊びにいく週末、地域では餅つきが行われます。
これに準備段階から関わっている議員さんは、またそこでもしっかり
地域の声を集めて、それを次の議会に反映させるべく頑張っています。
結局のところ、お互いがお互い見えないところから
「僕らの声は反映されない」「政治家は、人の話しを聞いてくれない」
言い合っているのが、世代間が断絶した日本政治の悲劇とも言えます。
チープな表現にはなってしまうけれど、
少しでも状況を良くするには「歩み寄り」しかない。
インターネット上で政策を募ったり、若者の声を集約するのも
もちろん大切だし、今回その一歩を踏み出した家入さんと
その周りの活動には今後も一層注目していきたい。
ただ同時に、
いままで若者に見えてこなかった「地域の活動」を可視化することも、
インターネットの大切な役割ではないかと思うのです。
幸運にも泥臭い政治の現場に入った私は、
そこにある別の事実を見つけることができました。
であれば、その両者をつなぐことこそが、
「ネットを駆使した次世代議員」たる自分に
課せられた役割なのではないか…。
なんてことを考える週末です。
皆さまも少しだけ、ネットを離れて
リアルな地域の活動を覗いてみませんか?