« | Home | »

2012/01/09

 
基本俺は器用じゃないし
上手に人に気持ちやなんやを伝えられるわけじゃないから
常になんかしらうまく言えずにいることって
あるんだけれどとりあえず今日のところは
なんで俺が短歌やってるのかって話をしようかと思う。
 
特にここまでいちばんつらい時期になんで
短歌が必要だったのかってことを考えると
言いたいこと、伝えたいこと、誰かに聞いてほしいこと
と、ね、
言えないこと、言いたくないこと、言うべきでないこと
のバランスが短歌という表現形式、5・7・5・7・7という
定型の枠、制限を得ることによってちょうどはじめて言う
ことができた、ってことだと思うの。
 
ここまでは言いたいんだけどこっから先は訊かれたくない
とかさ、いやまあわがままっちゃあわがままなんだけどでも
そういうことってあるやんか。
みんなもそういうことってあるんやと思うし
それぞれがそういう大事にしたい自分なりののヒストリー
みたいなものを背負っているんだよなあ。
ひとりひとりが歩んできた道があるよなあ、ってしみじみと思う。
 
ほいでな、俺の歌だとたとえばそうだな
去年最後に詠んだ歌ってこういうのなの
 
 
ありがとう、おやすみなさい、もういくね たぶんいちばんすきだった人
 
 
で、ふと思ったんだけど俺の歌ってけっこう
「おはよう」とか「おやすみ」とかけっこうな頻度で出てくる頻出ワードなのね。
たとえばこんな歌がある。
 
 
おやすみのあとには残る一人分 君が空虚を埋めていたのだ
 
 
おはよう世界 あなたが昨日照らさなかった街に朝が来ました
 
 
おはようとおやすみなさい僕たちは惰性でしないキスをしている
 

がんばれ、がんばれ、って真夜中をみている人がいますおやすみ
 
  
よい子でもよくない子でもあなたにはぼくがいるからおやすみなさい
 
 
さよならテディさよなら毛布もうずっとおやすみなさい好きだった人
 
 
福音はたぶん僕らの日常のなかに おはよう、おやすみなさい
 
 
 ・
 ・
 ・
 
あらためてここだけ抜き書きしちゃうと
おはようおやすみマニアか
おはようからおやすみまで暮らしをみつめるライオンくんか
って感じがするんだけど
こうやって俺がおはようとかおやすみって言葉や
朝、夜に言葉を交わすという定型的なやりとりに
ここまでこだわらなくちゃならないことには
とうぜん俺なりの理由があって、それは端的に言うと
そんなふうにあたりまえの朝の挨拶があたりまえにできるということ、
目をつぶって起きたら
明日朝が来ていておはようって言えることの有難いほどの
幸福感や裏返しに日常というものの脆さをいやっていうほど
知っているからなんだけどそれがね、その理由っていうのが、
まさに最初に言ったような「これ以上は言いたくないこと」に
踏みこんでいく話になるのね。中途半端でごめんだけど
決して「もったいつけてる」 わけでも「思わせぶり」なわけでもなくて
これ以上は言えないし言いたくないし言うべきでもないって思っているの。
そこは自分のいろんな意味でのブレーキや線引きがあってそれはいわば
自分自身が決壊しないための安全弁であったりするものなのだと思う。
  
でも。でも同時に誰かに少し、ほんの少し、ちょうどいい範囲できいてもらわずには
いられないくらいとてもくるしいきもちがあっていつも僕たちはアンビバレントなんだと思う。
 
でね、ただの散文で書いてる場合肝心かなめの核心部分を
「言いたくありません」では文章としてなりたたないのね。
かといって根掘り葉掘りとそれ以上踏み込んでこられると
答えたくないし、今その場ではそれ以上考えたくないラインというのがあるし
踏み込まれることにおくびょうになって
自分を出すということにどんどんおくびょうになっていくってことあるよね。
あまえたさんかもしれないけれどこういうきもちって
たぶんわかってくれる人が少なからずいると思う。でもなにもすこしも話さずに
誰にも知られず抱え続けられるほどにずっとは強くいられなくってそれで
なにかの「表現」が必要だったしぼくには「手段」が必要だったのだと思う。
 
決壊しない範囲で話せる方法というものが。
自分の内面へのアクセス、そしてそれを外部にアウトプットするための
ちょうどいい(おびやかさない)アプローチというものが。
 
それが俺の場合は短歌だった、ってことだと思う。
 
言いたいことと言えないこと、
ここまでは話したいけどこれ以上は踏み込まれたくないこと、
人にはいろんなことがあるよね。それぞれが自分にとっての
「ちょうどいい手段」をもてればいいなと思う。
 
ここまでのところ、
そしていちばんの極期において
俺には短歌がちょうどよかった。
 
あなたにとっても短歌であるかもしれない。

 
短歌いいよ。けっこうおすすめ。
 
 
キャッチフレーズは
 
短歌ー×短歌ー
 
なんてどうだろうか。
 
 
ん、あれ。
 
TANKER×TANKER
 
のほうが元ネタパクリ色がストレートでいいか。いいなこれ。
 
 …広まらねえかなTANKER×TANKER。
 
 

2012/01/09 07:39 | senami | No Comments