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2011年フリーダイビング10大ニュース、後編は夏以降の出来事です。
シーズンも半ばをすぎると、トピックスも盛りだくさんですので早速行きます!
■平井美鈴、-82m日本新記録で銅メダル獲得@ギリシア(9月22日)
ギリシャ・カラマタで9月15日~25日に開催された、海洋競技の世界大会
AIDA Individual Depth World Championship 2011にて、日本女子のエース
平井美鈴選手が見事、銅メダルを獲得しました!潜った深度はなんと-82m。
彼女自身が塗り替えた、日本新記録でもあります。花形種目であるコンスタント
ウエイト・ウイズ・フィンで、はじめて日本人女子が表彰台に立った感動の瞬間でした。
私もこの大会には選手として参加していました。ちょうど平井選手とはホテルで同室。
競技直前まで私が引いていた風邪を親愛なるコーチでもある彼女にうつしてしまい、
彼女はこの日本記録達成直後にダウンして以後の競技は全キャンセル、という笑えない
オチがありました。というわけで、私の記憶には表彰台の颯爽とした平井選手よりも、
部屋のベッドで猫と一緒に猫のように丸くなって寝込んでいる姿が印象に残っています
けれど。。ともあれ快挙の銅メダルでした!
野田幾子「Apnea Report」
http://apneareport.tumblr.com/post/10557858896/cwt-competition-01
■ラ二ヤード事件@ギリシア世界大会(9月24日)
同じくギリシアの世界大会で起こった出来事。幸いにも大惨事ではなく珍事件として
終わりましたが世界のフリーダイバーの間で話題になりました。フリーダイビングと
安全管理というものについて、大いに考えさせられた一件です。
深度競技では、選手の安全のためにロープと選手の体をつなぐ「ラ二ヤード」という
ケーブルを装着しますが、これが途中で外れてしまうアクシデントが起こりました。
この選手は-80mの深度を越えたところで、自分が水中で独り、どこにも繋がっていない、
ということに気が付いたのです。言葉で説明するとちょっとマニアックになってしまいますが、
見れば一目瞭然の、何とも不思議な映像が残っています。
この大会でジャッジをしていた北濱淳子選手のブログをご覧ください。
「ラニヤード事件ー違うロープに!」
http://freediving.blog.so-net.ne.jp/2011-10-30
■篠宮龍三著「心のスイッチ」(竹書房)発売(10月14日)
プロフリーダイバー、篠宮龍三選手は、-115mの深度の記録を持つ選手です。
100mの深度を越えて潜る選手は、世界でもまだ数人しかいません。
100mとは、凡ダイバーの私にはちょっと別次元の世界。想像するしかないその世界を
垣間見ることができる本が、「心のスイッチ~ジャック・マイヨールを越えた唯一の日本人~」です。フリーダイビングは肉体的な鍛錬はもちろん必要ですが、メンタル面が大きな比重を占めるスポーツ。「心の旅」ともいえる深海の世界へのダイブは、競技そのものを知らない人が読んでも興味深いはずで、生きるために必要な沢山のエッセンスが詰まっています。
ちなみに、私は、ごく初心者のころに篠宮選手の講習を受け、そのマジックのような
指導で初めて-20mの深度に到達しました。その喜びが大会に出てみよう、という
モチベーションになって、今に至っています。「スイッチ」入れられてしまったんですね。
新刊「心のスイッチ」10/14発売(篠宮選手オフィシャルブログ)
http://ryuzo.number-blog.bunshun.jp/archives/51418032.html
■廣瀬花子、スタティック6分32秒日本新記録で銅メダル獲得@イタリア(10月16日)
こちらは10月7日から16日まで、イタリアのリニャーノで行われたプール競技の
世界大会「EUROPE EVOLUTION CUP/WORLD CHAMPIONSHIPS INDOOR 」
プールで潜水の距離や息止めの長さを競いました。この大会で、日本人の
廣瀬花子選手が、息止めで6分32秒という日本新記録で見事銅メダルを獲得しました!
6分というとカップラーメンが2回出来てしまう時間です。そんなに長い間息をしないで
いられる彼女は、野生のイルカの群れが生息する伊豆諸島の御蔵島出身。
天然で可愛いギャルですが、きっと魚かイルカの血が数滴混じっているに違いない
と思っています。私は彼女とは2年前のバハマの世界大会でそれはそれは面白い日々
を過ごしたので、その話もいづれ書きたいと思います。
フリーダイビング世界大会出場、銅メダル獲得!(PADI News)
http://www.padi.co.jp/visitors/news/pn11103.asp
■海も愛も国境を超える!グレッグ&ちか結婚(10月18日)
グレッグはフランス人フリーダイバー。ちかちゃんは日本人フリーダイバー。
この二人が出会ったのは1年半前、遠距離での交際を続け、めでたく今年10月に
結婚に至りました!海を愛する二人に言語の壁は関係なく、周りにいる全員が
祝福したくなるような眩しいラブラブぶりでした。二人の新居は南仏マルセイユ。
フランスはフリーダイビングが盛んな国なので、二人が日仏の架け橋になって
くれるでは、と楽しみです。実はフリーダイバーの同士の国際恋愛は珍し
い話ではないらしく、来年はこのあたり、大いにリサーチしたいところです。
彼ら以外にも今年のフリーダイビング界は結婚ラッシュ。気が付くと住所や
名前が変わっている人があっちにもこっちにも、という状況でしたが、これは
震災効果の一つなのでしょうか?
・・と、めでたい話の一方で。「女子が-60mに近づくと縁遠くなる」という
誠しやかな噂もまた流布しており、現在公式記録-57mの私はその信憑性の
高さに怯えています。どうか、ただの迷信でありますように。。
■ジャック・マイヨール没後10年(12月23日)
映画「グラン・ブルー」のモデルにもなった、伝説のフリーダイバー、ジャック・マイヨール。
1976年に、前人未到の100mの素潜りを成功させ潜水の神とも、ホモ・デルフィナス
とも言われた彼は、ちょうど10年前のクリスマスイブ前夜、自ら天に召されました。
日本好きだった彼と親交を持つフリーダイバーは多く、私にとっては伝説でありながら、
現実の人でもあったのだなあ、と不思議な気持ちになります。実は私もかつて、自分が
フリーダイビングを始めるとは思いもしない時に、一度だけ、彼とは不思議な出会いをしま
した。その話は、いずれまた。
さて、これで10個となってしまいました。
楽しいこと、悲しいこと、辛いこと、嬉しいこと・・・まだまだ書ききれない
色々なことがありましたが、今年一年、事故なく海に潜れたことに感謝しながら
独断と偏見によるフリーダイビング10大ニュースはこのあたりで締めくくりとします。
フリーダイビングや海を巡って、来年もきっと沢山の出来事があるでしょう。
「人魚の武者修行」では、来年からは原則隔週で色々なことをレポートして
いきたいと思います。
それではみなさま、良いお年をお迎えください!