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トンガの鈴木です。9月になり、段々日も長くなってきまして、寒さも和らいでおります。
今度9月11日に開催されるというJunkstage舞台公演、いいですねぇ、一度見てみたいものです。
それで、今回は一つの大きな美術館に見立てた企画ということで、トンガの美術館に関する投稿を考えてみましたが…
トンガには美術館が存在しなかった…orz
もっとも、最初っからそんなのは存在しないだろうと思ってましたが、一応探してみましたが、やはりありませんでした。
というわけで、おしまい!
というわけには行きませんので、何かアート的なものを考えてみると、思い浮かべるのは
「民芸品」
これしか浮かびません…。
私は、現在高校(日本の中学も含む)で教員をしておりますが、こういった民芸品的なトンガンアートというのは、「美術」という授業ではなく「トンガ語」の授業の一環で行われるんですよね。
ヤシの葉で作る帽子、バスケットに始まり、タパと呼ばれる木の皮をなめして作った布(布というより和紙に近い感じ)に、泥や土、マングローブ樹脂、タールといったもので描くもので、トンガの民芸品だけではなく、冠婚葬祭必ず用いられるものです。
トンガで、タパは大きければ大きい方が立派と考えられ、贈り物にする場合や冠婚葬祭の場合、その大きさだけ相手に尊敬を示すものとされています。だから長さ30m位のタパクロスとか(笑)
デザインは基本的にはトンガ伝統の文様がベースになっておりまして、どうやらそれぞれの文様には意味があるみたいですけど、僕には分かりません。
ちなみにタパはトンガだけでなく、オセアニアどこでもみられ、それぞれの国特有のデザインがあります。
タパは大きいものだけではなく、タパを用いた民芸品へとも形を変えます。写真のフレームだったり、コースターだったり、団扇だったり、テーブルクロスなどなど。
そして、授業で扱うものはタオヴァラ。タオヴァラと言うのは、何と表現したらいんでしょう???腰巻としか表現のしようがありませんが、トンガの正装です。
右の人が巻いてるものがタオヴァラで、左の人のすだれみていなものがキエキエと言って、女性の正装で、相手に対する尊敬を示すもの。タオヴァラもトンガ固有なものではなく、オセアニア全域に散らばっているもので、パンダナスという木の葉っぱ(ヤシの葉みたいに長くて丈夫)を海水に漬け、乾燥させたものを編み込んでいくもので、腰巻の他、日常の家庭のマットなどにも使えます。ただ、腰に巻くのはトンガ固有のものです。
パンダナスの葉で編み込むタオヴァラの他、かぎ編みによるものもあります。こちらはレース網の要領で編み込んでいくもの。実はわたくし、中学校の家庭科の授業の経験から、「これなら自分でも作れるんじゃない???」と二つほど自作したものを現在使っております。一つマーケットなどで購入しようとすると、100パアンガ(5000円)前後しますので、自分の懐には厳しいですしね。
キエキエはすだれ付きのベルトというか何というか。これもヤシの実の殻の繊維(たわしの原料ですね。知ってました?)を束ねたものやパンダナスの葉をなめしたものなどを使って編み込んで行くもので、タオヴァラと同様に相手に対する尊敬を示すものです。ですけど、ランク的にはタオヴァラ>キエキエという感じですね。
こういったものを生徒たちは「トンガ語」という授業の一環で行っております。そして、製作した作品はバザーで販売して、学校の収入へと。
その他の民芸品は、ヤシの実を使ったものや、ヤシの葉っぱで作った団扇、貝殻を使った民芸品などなどですかね。基本的にはマーケットで売っております。
では、普通の「美術」という授業はあるのか?
うちの学校ではやっておりまして、まぁ、それなりにスケッチブックなどで、デッサンやらデザインやらやっておりますが、いわゆる「美術館」が存在しないため、職業としての「アーティスト」が成立しないのが現実です。もちろん、商業デザインの仕事をしている人はいますけど、芸術家としては聞いたことありません。
専門学校の一つで美術を開講する学校がありまして、JICAの美術ボランティア隊員さんが担当してますが、一体そこを卒業した生徒はどういう職業につくんでしょうね。
う~ん、どこに着陸していいのか分からなくなってしまいましたが、トンガの芸術は「芸術」というよりも、もっと一般的な日用品に近いものかなぁって気がします。美術館に飾るものではなく、日常で使うもので、あえて飾るものではないんでしょうね。
わたくし個人的にはタオヴァラのデザインに興味あります。シンプルな連続模様の美しさに常にひかれております。そのうちまた自作しましょう。
では、11日の公演の成功を南の島から応援しております。