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ついにチリからオタリアというアシカのような動物がやってきた。
予定日が3回変更になり、ようやくの到着!前日はワクワウしたりドキドキしたりハラハラしたり、不整脈になったり、挙動不審になったり、腕立てしたり、万引きしたり、人の畑のダイコンを猛烈に抜いたり、町内を奇声をあげて5周走り回ったり、心臓が止まったり、まぁ後半は投げやり的適当事項だけど、気が気でなく、いろんなシュチュエーションややってくる子のタイプをいろいろ想定しての段取りや対応や、ようするに妄想ばかりして眠れんかったよ。
チリとは気候が異なるので、涼しい早朝のうちに迎え入れた。痩せたゾウアザラシのメスのような顔の笑顔のステキな動物商の方がワゴン車に乗せて持って来てくれた。
少したってアジの切り身をやると食うではないか!野生の子は環境の変化や人間不信からエサを何週間も食べないこともザラと来ていたので、逆にビックリした。2日目の今日は、ガッツガッツ食べて、もっとよこせよっ!っと言ってくる。ちょっと痩せているけど元気そう。
↑-パパ~!もっとゴハンちょうだいよぅ!おかわり~!!
っと言っている。
文句なしにカワイイ。顔は目がクリクリでおもわず抱きしめて家に拉致したくなるくらいです。カワイイとかいう見かたをするのは本来適切ではないのかもしれないけど、カワイイんだもの。
↑-写真なんていいからさぁ、一緒に遊んでよぉ~!!
っと言っている。
が、気がやたら強い。
むやみに接近すると、グワッ!!っと檻にブチ当たらんばかりに飛び掛かってきて威嚇する。勢いあまって檻の柱に顔をぶつけてもお構いナシだ。
猛獣やんけ。生後1年ちょっとで、知らないところに連れてこられて不安と恐怖だらけだろうに、でも、ちゃんと自分の身は自分で守っている野生の掟に従うところや風格にやたらめったら感動した。
見た目カワイイ、接近しすぎると痛い目に合う。こういうのは人間の女性にもいるなぁ、気をつけねばな、っとアホトレーナーはしみじみ学習した。そういう女性の扱いはワシ苦手やねん。。。優しくて思いやりのある子がいい。。。
もし逆にボクが捕らえられてチリの野性の世界に無理やり連れて行かれたら降伏して泣いて舌を噛み切って死ぬかもしれん。生き抜く覚悟をしたとしても、めいっぱい不審者には抵抗および力の限りの暴力で対抗するだろう。彼女の気持ちはよくわかる。
なので、コワイので、まだ檻の中へは進入せず、檻越しにエサを指先につまんで口元に持っていくと、カウッ!!!っと飛びついてきて指まで食われそう。エサやっていたのに指がなくなったら笑えない。
口はアシカよりもなんだか雑な作りっぽくて子供が描いた絵のような口でキバがスゴイ。映画に出てくる気が狂ったゾンビのような歯をしている。噛まれたらそりゃさぞかし痛ぇだろうなぁ、大変ですネェ、とそこはなんだか人事のように思えた。時々飛んでくるヨダレ的なものが感動的に臭く、顔につくとその日一日のやる気が根こそぎもぎ取られてなくなるのだが、彼女のカワイイ顔を見ると即効で許してしまう。
↑-なに見とんじゃいコラァ!見せモンじゃないでぇ~!!噛み付いたろか!
写真からもわかるように、檻に体を押し付けんばかりに接近してくるので、ビビリつつも檻の下からこちらにハミ出た前脚をつまんでみたら抵抗しないので、脚を軽くつまんでエサをやる、ということをしている。触られたらエサがもらえる、ということを覚えるらしく、2日目の今日は自分から脚を差し出すようになった。どうやらオレより頭がいいらしい。
人が前に来ると檻に体を押し付けて、少し近づくと威嚇的に噛もうとするのか体当たりしようとするのかよくわからん行動をするので、広い部屋なのに最前部の檻から離れず、近すぎて全体写真がなかなか撮れない。
部屋の中へこちらも一緒に入って日中一緒に昼寝をしたり、部屋の掃除をしてあげたいのだが、噛み付かれて血まみれになって名誉の殉職をしてしまいそうなので、まだ2日目だし、勇気もないし、遠慮して檻越しから観察して接している。
ショーにでる新しいスターにしたいので、トレーニングにかなり気を使わねばならない。とくにファーストコンタクトや幼児期のトレーニングはその後を大きく左右するようでものすごく重要。
バカみたいに無知にヘタに接近して噛まれて、噛みグセをつけてしまったり、その他軽率な関わりで問題のある行動や性格になってしまうと、その後の修正が難しく、何十年もそれと付き合わねばならなくなる。
そのため関わる時は、自分のやる行動が相手にとってどうなるのか、相手はどう思うのか、正解なのか間違っているのか、すごく考えながら気を使って接している。行動一つ一つに責任感があってドキドキする。一度失敗したら大変なことになるからね。
普通のヒトから見たら珍しい生物なので、知り合いや他の飼育員や新聞社などが見に来たり、おちょくろうとしたり関わろうとしたりするので、お父ちゃんは気が気でない。ウチの子にヘンなこと教えんといてや!覚えさせんでや!見せんどいてや!っと心で叫んでいる。慣れて性格が落ち着くまでは面会謝絶にしたいくらいだ。
一緒に担当する後輩と2人で情報や行動、観察点をこまめに報告しあって、混乱や事故、あやまちを避け、彼女のリズムにあわせて、ゆっくりジックリ、大切にして、スーパーアイドルに育て上げて人気者にしてあげたい。
↑-スキを見せたらコイツの長靴に噛み付いてやろう、と思っている、のを、上からそっと激写。