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梅雨が明けた。
猛天下の1時半からアシカショーが始まる。弱小貧困水族館は周りを大きな建物で取り囲まれた場所にショーをする場所があるので、なかなか風が通らず、ボヨン、、、っと無風状態の空間で空気がよどんでいる。
通常、こんな昼間の暑い時間、猛暑の中イライラして待っている大勢のお客さんの前にアシカを連れてショーに出るなんていうのは、バカのやることである。
AKB:
A:アシカが
K:完全に
B:ボイコット
プールに入り遠くのほうで、だらしなく浮かんだまま動かなくなり、横目でコッチを見つめている。必死に呼ぶが、帰ってくる気配は全くない。
そりゃそうだろうな、と思う。こんな暑い中、輪投げだのジャンプだの、喜んでやってむしゃむしゃご褒美のアジを食っているヤツは逆にキチガイじゃないのか。。。プールに浮かびこちらを力なく見ているアシカを眺めながら、そんなことを思った。
しかし、我に返り浮いているアシカの向こうを見ると、猛暑の中浮かぶアシカと必死にそれを呼び戻そうとしているバカAを、イライラ視線で見つめる観客が見えた。
この瞬間というのは、いつも暑い時にでるのとは別の汗が体中から大放出する。そして、その後、怖くて二度と観客席を直視することは出来ず、ただただ必死にアシカに帰ってきてよとお願いする。
数分すると、お客さんのイライラ視線も次第に光線となり、イライラ波となり、バカAに猛激突してくる。わしゃぁ泣きたくなるワイ。背中はわけのわからん汗でビッショリで、シャツが背中全体にへばりついている。
(イギョェ~~~ッ!!!とかいって、今このままプールに飛び込んで異常化したら、怒っている客はどんな反応をするだろうか?許してくれるだろうか?そうなったら館長は許さないだろうナァ。今の段階ですでに館長は結構なレベルで許さないだろうナァ。だからまだプールには飛び込んで異常化しないほうがいいなぁ)
などと、もう投げやり的に考える。
「ごめんなさい!どーもアシカがやる気がなくなっちゃったみたいです!アシカも生き物のなので、ロボットではないので、こんなに暑いとさすがにやりたくないみたいです。次にみなさんが来られる時にはしっかりできるようにトレーニングしますので、今回はお許しください!!!」
これが、東京で行われた水族館ナイトでも披露され、有名となり爆笑の渦となった「アシカショーからの謝罪ショー」である。
水族館ナイトの時は、その場が爆笑だったが、実際の場所でリアルに行うと、爆笑は起こらず、場合によっては、ちょっと短気なお客さんからは「バカヤロウ!」「金返せ!」という声もたまに出る。
ショーのお兄さんはその声をマトモに受け、それを怒りに変え、目の前に浮いているアシカを見つめる。ヤツはすでに(悪いことをした)という意識があるので、プールからはさらに上がってこない。
しかたがないのだ。もし自分がアシカでも同じ状態になるだろうナァと思う。自分なら暑さの中のショー決行に反抗してお兄さんに玉砕噛み付きをするかもしれない。こんな暑い中よろこんでショーをする動物の気が知れない。そんな動物完全に頭がイカレテしまっているんではなかろうか。ご褒美にアジなんかいらない。カキ氷が欲しい。クラーが欲しい。
そんなことを思っているとハラワタの煮えくり激怒はなくなってくる。
時間が経って部屋に戻ったアシカと檻越しに向き合って、そうだよな、オマエは暑いとボイコットする。それでいいんだ、それでこそアシカだ、全部オレの言うことなんか聞かんでいいんだわ、オマエはオマエの思うとおりにしなさい、オレのドレイになんかなるなよ。と話す。
ショーをせずに、ショーに匹敵するかそれ以上の彼らのスバラシさを伝えられる魅力ある展示方法がないものか、最近そればかり考えている。