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「ドイツ歌曲」、あるいは「ドイツ・リート」という言葉をご存知?
声楽、ドイツ歌曲をやってると言うと、「あ、オペラ?」とよく言われる。
私も面倒臭いので、
「そう、オペラみたいなやつ」と答える。
確かに発声方法はオペラと似ているが、ドイツ歌曲はオペラの一種ではない。
ドイツのオペラの一曲でもない。
オペラは芝居のように物語があって、それを音楽と踊りで表現していく。
ドイツ歌曲は物語ではなく、一つ一つの詩と音楽からなる。
伴奏はオーケストラもあるが、ほとんどの場合はピアノ。
しかも、伴奏というよりはピアノそのものにも音楽性があり、
ピアノが歌と一緒になって音楽となったり、歌と同等に意味がある場合も少なくない。
カラオケみたいに歌が終わったらヒューとか言ってはいけないのだ(当たり前か!?)(笑)
で、どんな人が作曲してるかというと、シューベルトや、メンデルスゾーン、
シューマン、リヒャルトシュトラウス等。
シューベルトの『魔王』、『野ばら』などは学校の授業で聴いたことがある人も多いかもしれない。
これもドイツ歌曲。
授業で先生はドイツ歌曲って言葉使ったかしら?
『魔王』なんて本当に面白い。
小さな息子が熱を出し、魔王を幻覚で見る。父親は医者へ連れて行こうと馬車で急ぐが、間に合わず子供は息絶える、という内容。
ピアノの出だしはひずめの音を表し、歌い手は物語の
「語り手」「子供」「父親」「魔王」と4人を歌い分けていく。
まるで凝縮されたサスペンスのよう!!!
シューベルトなんて貧乏で短命だったのに、600以上もの歌曲を書いているんだから、もっともっと注目されないと可哀相よね。
せっかくなので、もう一曲シューベルトを紹介。
『糸をつむぐグレートヒェン』
シューベルト17歳の若さで書いた歌曲。
詩の題材はゲーテの「ファウスト」、ファウストへの思いをグレートヒェンが切なく、時には狂うように歌う曲。繰り返されるピアノは糸車を表している。
こんな曲が17歳で書けるなんて、あまりにも天才すぎる!!!
また別の機会にオススメの曲についても書いてみたい。
まずは前述の2曲を、物語を読むように楽しんでみてほしい。