つづきです。
思い切って内見してみた売買物件。
築浅だけあって、なかなか良さそうです。
ここは、不動産屋さんの元(売主さんの代行店)が「あ」さん、先(買主さん(=根)の代行店)が「い」さんと仮にしておきます。
「い」さんは、歯科医院関係でもお世話になっている旧知の会社です。
い「先生、とにかくローンを組む準備をしましょう!」
根「大丈夫でしょうか?事業資金の借り入れも結構あって心配です」
い「大丈夫だと思います。今度担当者を連れてきます」
「まずはモーゲージバンクAでやってみて、その後、割合審査が甘いB銀行とかもありますよ。」
「とにかく最初の1歩を踏み出しましょう」
凄いノリで、こちらがビックリしました。
しかし私は泣く子も黙る自営業。銀行的に最悪の属性です。
私が担当者だったら、こんな内情の男には絶対に鹿島線
すごく不安になったのを覚えています。
春先のことです。
医院に、Aの担当の方が見えました。
何回か面談をしました。
まず、現在の借り入れを知りたいということで、全部申告しました。
(ここから先は非常にセンシティブな情報を含みますのでフェイクをたくさん入れます)
借金をすると、個信(個人信用情報)に履歴が残ります。
また、返済が滞ると個信の、おもにCICに履歴が残ります。
個信に乗っているものも、乗っていないものも、全部申告しました。
リボ払いの結構大きいのもありましたが、ネットで調べた所、「返済負担率」が大事だとのことで、「標準コース」から、月の返済額を圧縮できる「長期コース」に、ごていねいに審査前に変更しました。
今にして思えばこれが大きなマイナスポイントでした。
返済負担率が下がるものの、総額が増えてしまいます。
この辺は結構いろいろ言われました。
後言われたのが、免許証の末尾の番号です。
あなたの免許書番号の末尾は何番ですか?
私は番号が大きすぎて、助川自動車工業から軽トラを借りられませんでしたwww
いろいろお気楽に再発行しながら過ごしてきたせいか、かなり大きな番号です。
だいたい何年ごろにどこで何をして無くしたか、というのを、引っ越しとか部活の遠征とか国際学会で無くしたとか、思いつくイベントを照らし合わせて5回分を箇条書きにして作成していきます。
もうひとつ、これが痛恨のミスだったのかもしれませんが、こんなことがありました。
A銀行から、うちは申告書は2期で見ますが、昨年と一昨年で見るか、今年と昨年で見るか、どうしましょうか、と質問がありました。
住宅ローン申請の申告書は通常3期なのですが、ここは甘いので2期で見てくれるとのことです。
たまたま今年分(昨年1月から12月までの分)の申告書がまだ税理士から届いていなかったので、昨年と一昨年で見ることにしました。
これが致命的なミスでした。
じつは、一昨年の分は税務調査が入ったせいで、修正申告を出していました。
これが、融資にとっては非常にまずかったようです。
担当者からすぐ電話が来て、納税証明書と申告書の金額が何百万も違うけど、コレについて打ち合わせをしたいと言ってきました。
また医院に見えたときにいろいろ話し合いをしましたが、本部の方がいろいろ言って来て、この辺を何とか納得させないとという段階です、みたいな話になり、いろいろ打ち合わせをして、よろしくお願いします、みたいな感じになりました。
要は、なぜ納税額が申告書と異なったのか、なぜ修正申告に応じたのか、などを、本当の理由を書かずに、税理士との認識の相違とか、税務当局との認識の相違のような文言で作文をすることになったわけです。
それから一週間後に、携帯にお電話をいただきました。
結果は、否認でした。
その携帯は、外にいるときに歩道の上で取ったのですが、聞いた瞬間に腰の力が抜けるのを感じたのを今でもはっきりと思い出します。
思い返してみたら、落ちて当然だろうみたいな内容だったんですが、とにかく腰の力は抜けました。
どうしよう、妻になんて言おうか…
仕方ない、B銀行で出すしかない。
ここに落ちたら、自殺しよう。もういいや、俺の人生なんて。。
このときほど、自営業である自分を呪ったことはありませんでした。
審査待ちの間に、たまに妻に聞かれたときに、(どうも審査が長引いてるようで)なんてごまかしているときには、生きた心地がしませんでした。
◆
今回は、前回の失敗を参考に、いくつか作戦を立てました。
まずは、個信(CICと全銀)を自分で取り寄せました。
【個信を自分で取り寄せる分には銀行からは見えない】
前回はこれに気がつかなかったばっかりに・・・おっとここから先は書きません。
見た所、ショッピングリボは載ってませんでした(キャッシングは載ってました)。
でもこれについては、B銀行の担当者に、残高ゼロの証明書をカード会社に書面で出してもらえと言われ、結局ゼロにすることにしました。
住宅ローンのときにはよくあることなんだそうです、とB銀行の担当者。
キャッシングゼロはすぐに出ましたが、ショッピングは、リボと1回それぞれで出せないので、1回払いの分もゼロにしてから書類の提出になりましたので、非常に手間がかかりました。
そこに手持ち資金をかなり突っ込んでしまいました。
一番恐れていたのは、通帳コピーの提出です。
そこには、メインバンクではないけど大変お世話になっている銀行さんとのやり取りもいっぱい乗っています。
そこを見られると、おっとゲフンゲフン・・・
でも大変お世話になっている銀行さんの方にお話を伺うと、通帳コピーは、借り換えの時にはメインの通帳の返済実績を見せろと言われるけど、新規の時は基本的にそういうのは聞いたことがないから大丈夫だと思う、との話でした。
実際そのような狼藉は怒らずに、私はホッとしました。
ある日、電話が携帯に来ました。Bの担当者からでした。
一応承認になったので、あとは売買契約と金消契約をして、引渡ですね、とのことでした。
すでに1カ月たっていて、4月の中旬でした。
ああ、毎日生きた心地がしない日が続きましたが、ようやくけりがつくことになりました。
これで、追い出されて路頭に迷わなくて済みます。
◆
さらにそこからが売買、金消、引渡で1カ月近くかかります。
ネットを見ると、その期間内に、カードローンやキャッシングなど、個信に傷がつくようなことをすると、融資の実行停止、みたいなことが盛んにネットで出てきます。実行当日に個信を参照する、みたいな話も何とか知恵袋とか教えて何とかのようなところにはちらほら見受けられます。
そんなのを見るだけ心臓に悪いというものです。。
売買契約でかなりの額の手付を要求されました。
これは手付を払った後に売主が売買を拒否したときは、手付を返却して、さらに同額の手付けを買主に払うという、いわゆる「手付倍返し」の手付けです。もちろん買主の私が途中で購入をやめたら没収です。
最初100万と言われましたが、さすがに値切らせてもらいました。
それでもキャッシュフローが壊滅的になりそうだったので、親族に一時的にすがりました(実行後にすぐ返しました)。
引渡の時には、「い」さんの事務所で行いました
もう5月末です。
その場で登記の書き換えを行い、融資実行、即振り込まれたのを全員で確認という流れでした。
売主さんにとにかくお礼を言われたのにはびっくりしました。
今日からこの家は私の物です。
しかし、だからといってすぐ住めるわけではありません。
やらなければいけないことはたくさんあります。
(つづく)