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それは、少々体調が悪くても毎朝起きる、という
会社員であった私ならば当たり前の、規則正しい生活の始まりを意味した。
実家からだと通院に時間がかかりすぎるため、
家のことをすべてこなす自信はなかったが、已む無く都内の自宅へと戻った。
国立がんセンターでは乳がんの放射線治療に予約制を取り入れていない。
午前中までに受付を済ませ、ひたすら待つのだ。
当然、朝早く行けば比較的すいているのだが、電車はひどく混んでいる。
その頃の私は、駅の階段を上がるだけでも息が切れるほどで、
通勤ラッシュに耐えられるだけの体力はなかった。
10時過ぎに家を出て、病院へ向かった。
痛くもかゆくもない治療だが、ひとつ面倒なことがあった。
毎回毎回、上半身裸にならなければいけないこと。
普通の人だったら、さして面倒なこととは思わないだろうけれど、
ウィッグを着用している私にしてみると、着替えは実に面倒だった。
いちいちウィッグも外して、脱ぎ着しなければならなかったからだ。
おまけに真冬、たくさん着こんでいた私は、術後で右腕が上がりにくいこともあり、
たった3分間横になるだけのために、汗をかきながら着替えたものだった。
会計が多少混雑していても、だいたいお昼頃には病院を出ることができた。
その後にランチをして帰るのが唯一の楽しみだった。
毎日同じ時間帯の治療のため、待合室で仲良くなった方と食べに行ったり、
友人を築地や銀座に誘ったりもした。
こうして気分転換をしながら毎日の治療を続けていった。
・・・次は、放射線治療の副作用~その後をお伝えします・・・
都合により休載しておりましたが、このたび再開させていただくことになりました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。