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2011/06/08

「DO  IT!!!」
人の感覚的なセンサーって本当に大事だと思う。ピンとくることがあったり、あれっと思うこと。これは瞬間的に感じてあとで、いやいやそんなことはない、と頭で整理し直す。だけれども結局後になって気がつけば「そんなことあった」の場合がほとんど。
直感とはまた違うものなのかもしれないけれど、違和感を感じたり、逆にぴたっと感を感じたり。そういう感覚的なセンサーって大事だと思うんです。なにせあたるので・・・そしてこのセンサーっていうのは常に研ぎ澄ませていないと鈍ってしまう。だから人間の都合のいいように必要な時だけつかって必要ない時には使わないってことがなかなかできません。使わなくなっただけでものすごく錆びてしまうから。そういう意味でアスリートみたいな感覚を一般の僕みたいな人間も持っていなきゃいけないって思う。

でもこのセンサーって非常に厄介なんです。たまにセンサーを研ぎ澄ませていると常識を超えた結論に達してしまったりする、そうすると周囲の理解を得られなかったりもする。バランスをだからとろうとするのだけれど、うまくいかない。人間って保障が好きじゃないですか。だからうまいことやろうとやるんだけどそれがうまくいかない。でも必要な時だけ使うわけにはいかないナマ物だからバランスもうまくとれない。

例えば僕の現場で言うと、よく監督さんで自分が撮りたいカット以外のカットをとろうとする人がいる。喫茶店の男女の会話のシーンだとして、本当は男の顔のアップと女の顔のアップだけでいいのに、2人込みのツーショットを一応撮っておこうとか。でも結局使わない。使う使わないの議論だけならいいのだけれど,たいていそういうカットを撮影するために自分が本当に必要なカットをとるための時間を犠牲にしたり、集中力が分散したり悪いおまけがいっぱいついてくる。で、結局本当に必要だった顔のアップの絵が本当にほしかったものになってない、とか。

いくら理屈をこねてもいざ感じ取ってクリエーション「想像」のもつその中である程度やるってのりしろみたいなものがないといけないと思う。
台本上にテーブルの上にコーヒーカップ、と書いてあったらコーヒーカップだけ準備する、そういうことではいけない。大げさな例えだがそこを伝えるのが今回苦労した点。海外でやってきたからなおさら思うことなのだけれど、システム化して一覧表みたいのを作るのは日本人スタッフは得意。だけれどその表に書いてない物は一切準備しないんです。だから対応できない。そういえばザッケローニ監督率いる日本チームもそんなシステム議論があったようなきがします。これはいろんな場面で言えることだと思う。原発もそんなことで騒いでいて、システム外の対応が全然できない。批判しているわけではなく、僕なりに自分が今後どういうモノづくりをするべきかを考察しているのです。
結局は「自分が何をするか」が大事なわけですから。

役者も「このセリフはこれこれこういう理由でいうんですか?」とか聞いてくる。「相手にこういわれたからこう反応するんですよね?」とか。もちろん役者は監督の気持なんか分からなし、監督も役者上がりでなければ役者の気持なんか分からない。だからそんなナンセンスなことを聞いてしまうんだろうけれど。だけど結論から言うと、こういうこと聞かれると白ける。クリエーターとして。だって答えがあるものを作ってないんだから。「僕はこう感じたんでちょっとこうやってみます」って言われれば何が出てくるんだろう?ってなる。「どうなるか分からないけどやってみたい」ってそれがないと本当に裸にはなれない。それに結局はお客さんがみて感じる物にしなきゃいけないわけだから、
あなたが(役者)がどう思って、なにを背景に演技をしましたって言ったって見ているお客さんが感じないとだめ。お客さんが分かる、でもダメ。感じないとダメ。この違いは小さいようで実はすごく大きい。それも瞬時に理解しなきゃいけないよね、役者なら。
だからとにかく枠からはみ出しまくった物をいつか創りたい。そう思っています。

でもある意味では今回の作品も自分の予想を超えたものにはなっている、枠を超えようとしたがシステムにはまっている、あかぬけない感じ。これが今の社会性を表していることも事実だから、そういう意味では今を忠実に描けていると思う。

これから編集に入るのだけれど、主人公の涼子、景子、亜津子はどこまでいけたのかな?つないでいく中でより一層彼女たちの変化が見えてくるかもしれません。

タイトル通り「DO IT、JUST DO IT!」これを震災以降自分に言い聞かせ撮り続けた。カメラマンにも役者にも制作にも言い続けた。僕は無知で世の中のほとんどの事を知らない、だけで一つだけ分かっていることがある、それは自分がやりたいことがちっぽけで無意味、無価値なものであると思うことがあっても、やった後に絶対にわかる、それをやることには意味があったって。全力でやればいい。
そしてそれは自分が思っている以上に世界を変えているって。

2011/06/08 11:48 | hayamizu | No Comments