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私にとっての入院生活は、三食昼寝付き、とでも言えようか、
朝起きて検温の後に回診があり、朝食、
その後はリハビリがあるくらいで、昼食まで時間を持て余した。
右腕があまり動かないので、身体を動かすこと自体が億劫になり、
動くと言っても院内を散歩するくらいだった。
そこで私が散歩中に見つけたのは、美容室。
がんセンターだけに、ここの美容室はウィッグの作製や調整、
といった具合にさまざまなメニューが書かれていたのだが、
私はそこにこんな文字を見つけた。
『ヘッドスパ』
これだ!!
普段、美容室でたまにお願いはしていたが、
髪が抜け、ウィッグにしてからは、普通の美容室からは遠ざかっていた。
考えてみれば、ウイッグの調整以外には半年も美容室に行っていなかった。
(その間ウィッグ5コくらい購入してはいたが…)
髪はないけれど、逆にない方が気持ち良いのでは?
勇気を出して、美容室に入った。
すると、思った以上に気持ちがよく、リラックスできた。
退院する前にもう一度やりたいなぁと話すと、
フェイシャルエステもあると教えてくれた。
後日、早速それも受けに行った。
他にやることと言えば、DVDを見たり、本を読んだり。
DVDは「これは元気が出る!笑える!」といった作品を友人たちが選んでくれ
それを持ち込んでヘッドホンをして見入った。
本に至っては、当時まだ連載中だった45巻を超えるマンガを
母にスーツケースに入れて毎日少しずつ持ってきてもらい、
ひたすらそれを読み続けた。
回診に来るたびに、机に置いてある巻数が増えていくので、
「もうここまで読んだの?」と言われるほど。
「もう読み終わっちゃうから、それまでに退院させてほしい!」と冗談で返した。
午後になると母は毎日来て、着替えなどを用意してくれ、
食べたいもの等を買ってきてくれた。
友人や夫もお見舞いに来てくれたが、やはり皆が帰ると淋しくなった。
たった何日間かではあるが、病院の外の話を聞くとうらやましく感じ、
早く退院して、元通りの生活がしたかった。
病院の消灯は21時と、早い。
眠れるはずもないので、ベッドサイドの灯りで本を読んだりもするのだが、
昼間は気にならないのに、胸や、脇の手術の痕が傷むような気がするし、
(実際、痛み止めを服用しており、それが夜だけ切れることはナイ)
なにより、眠くないのにベッドに横になっているのがつらかった。
家で寝ているのとはまた違う感覚、「病人なんだ」というような気がしてならなかった。
・・・次は、入院中の出会い〜その後をお伝えします・・・