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2010/06/16

私の入院していた16階は、ほぼ乳がん患者のみのフロア、
当たり前のことではあるのだが、病名は同じでも様々な患者が入院していた。
年齢にしても私くらいの患者もいれば、80歳を超える方もいたし、
10回以上も入退院を繰り返している方もいた。

そして、これはなんとも不思議なことなのだが、病状が進行してしまっている患者さんの方が、
なんだかよくわからないが、偉い、みたいな、すごい、みたいな空気がそこにはあった。

様々な会話をしたが、抗がん剤治療を術後のこれから控えている患者さんから、
それとはどんなものかと聞かれれば、自分の知る限りのこと、どうなったか等を伝え、
手術が私よりも三日早かった方からは、三日後にはこのくらいのことはできるようになる、
というように、生の声を聞くことが出来た。

入院生活も何日かしてくると、比較的年齢の近い何名かの方と仲良くなり、
食事の時間にはベッドではなく、一緒に食堂に運んで食べるようにもなった。
今現在、退院後も連絡を取り合い、治療や検査で一緒になるときにはランチをしたりする仲だ。
住んでいるところも違えば、生活環境も違ったが、
同じ病気と言うことで、様々な悩みを話し合ったりした。
ただ、話している中でひとつ、決定的に違うことがあった。
それは子供のこと。
もうお子さんがいる方が多かった。

半年前に結婚したばかりの私には、子供はいない。

プロポーズを受け、結婚を考えた時に、将来のこと・子供のことを考えたことがあった。
子供を授かることができたらいいなと、私は思っていた。

しかし、抗がん剤治療から子宮を守るため、
また、乳がんの餌となってしまう女性ホルモンを抑えることを目的とし、
毎月、下腹部へ注射することによって生理を止めていた。
さらに退院後には、放射線治療と平行して始めるホルモン治療が5年続くことが判っていた為、
仮に注射を終えて、生理が正常に戻ったとしても、
そのホルモン治療中は妊娠はNOと主治医から言われていた。
この治療をすると決めた時にその説明はあり、どんなに早くても5年先かあ、と思っていた。
その時は、なんだかものすごく先のような気がしていたが、
つらい治療の中でそんなことはすっかり頭の中から消えていた。
けれど、こうしてお子さんの話を聞くと、正直、うらやましいなと思った。

乳がんにならなかったら・・・

ならなかったとしても、授かるかどうかなんて分からないのに、
このときの私は、自己嫌悪に陥り、夫に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

・・・次は、退院に向けて〜その後をお伝えします・・・

2010/06/16 12:53 | megumi | No Comments