セックスレスに悩む夫婦が増えているという話は、時々耳にしますが、それは、男女の問題だけではないようです。

レズビアンやゲイのカップルでも同様に、セックスレスで真剣に悩む人たちが多くいます。

今回は、中橋と、レズビアンのサラさん（仮名・２８歳）の対談です。

中「サラさんは、セックスレスで悩むカップルのカウンセリングを専門に行っているということですが、問い合わせは多いのですか？」

サラ「専門というか、私はもともとカウンセラーの資格を持っているので、それを生かして、恋愛や結婚といった人間関係に特化したカウンセリングを始めたんですね。そうしたら、セックスレスに悩むカップルの相談がいくつかあって、その相談者の方が、私を専門家として広めてくれたおかげで、気が付くと、セックスレスカウンセラーみたいになっていました（笑）」

中「サラさんは、ＬＧＢＴに特化したカウンセラーではないのですね？」

サラ「はい。セクシャリティーは問いません。ただ、私自身がレズビアンなので、そのことを知っている相談者は、その相談者自身のセクシャリティーを問わず、セックスレスのことを相談しやすかったようです。ノンケ（異性愛者の事）の人にとっては、私は、レズビアンだから性に中立的な立場でコメントをしてくれるように見えているのでしょうし、ＬＧＢＴの人にとっては、同志みたいな感覚なのかもしれませんね」

中「なるほど。様々なセクシャリティーの方々に支持されているのですね。すごいですね」

サラ「セックスレスの問題は、セクシャリティーを問わず存在します。１対１のカップルの問題ですから、それが異性であれ、同性であれ、『人間対人間』の問題なんですよ」

中「セックスレスの対処法というと、何だかこう、ちょっとＨな雰囲気と言いますか…、その～、やはり付き合い始めの頃のような刺激を得られるような方法論を考えていくわけですか？」

サラ「う～ん、多分、中橋さんが考えているようなことではないでしょうね（焦）　刺激が少なくなるのは仕方がないことです。それを無理やり作り出すようなやり方は、根本的な解決にはならないと思います。そこら辺を取り違えて、いわゆる『フェチズム』みたいな方面に進むことを推奨する専門家もいるようですが、私はその方法はダメだと思います」

中「すいません。邪推してしまいましたね（焦）　サラさんが考える根本的なセックスレスの対処法とはどのようなものなのですか？」

サラ「まず、なぜ、セックスレスになったのかという、根本的なところを、各相談者から引き出す作業が必要です。単に、付き合い初めのころのような刺激がなくなり、新鮮さが失われてマンネリ化してしまったことによるセックスレスならば、動物的な衝動から愛情確認のための安心感や一体感を得るための心で感じるセックスに変えていく作業をしてもらうことになります。これは、２人の様々な環境やカップルとしての歴史をカウンセリングで明らかにしていきながら、それぞれに合った対処法を提案しています。最も厄介なのは、セックス自体が何らかの理由でトラウマになってしまったような例です。この場合は、そのトラウマを克服するという大きなハードルをクリアーすることをまず最初に考えなければなりません。このトラウマを背負ってしまっているケースが多いんです」

中「奥が深いですね。そして、ケースバイケースの対応が必要なんですね」

サラ「そうです。カップルによって、対処法は異なります。だから、個別のカウンセリングが大切なんです」

中「ＬＧＢＴの場合、ヘテロセクシャル（異性愛者）と比べて、何か特別な傾向とかありますか？」

サラ「ＬＧＢＴの場合、セックスレスに陥った場合には別れてしまうケースが多いと思うんですね。少なくとも私の周りでは、セックスレスに陥った時には既に別れているか、お互いに浮気を公認しているような付き合い方をしているカップルがほとんどです。にもかかわらず、真剣に悩んで、カウンセリングを受けようとする相談者は、本当に相手の事を愛しているし、ピュアな心の持ち主だと思うのです。そういう相談者のことは、全力で解決してあげたい！と思いますね」

中「好きだからこそ悩むんでしょうね」

サラ「そうですね。ちなみに、相談者はセクシャリティー問わず、女性の方が圧倒的に多いですよ」

中「そうなんですか」

サラ「セックスレスの悩みは、子作りのセックスの悩みという場合よりも、お互いの愛情確認のセックスの悩みという場合が多いです。そういう意味では、本当にセクシャリティーに無関係な問題ですね」

中「セックスレスの問題は、セクシャリティーには無関係なんですね」

サラ「そうです。そして、根本的には、人と人とのコミュニケーションの問題でもあるのです。相手への想いを形にする作業でもあります。年齢や性別、セクシャリティーとは無関係に、全てのカップル共通の大きな課題だと思います」

中「何だか、不謹慎な発言をしてしまった自分が恥ずかしくなってきました。大真面目に、セックスレスの問題は、全てのカップルにとって、関係の根幹にかかわる重大問題なわけですね」

サラ「そうです。でも、お互いに愛情があればクリアーできる問題でもあります。少しでも私がお力になれればと思います」

中「今後の更なるご活躍を祈っています。今回はありがとうございました」

サラ「こちらこそ。ありがとうございました」