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涼しくなって参りましたトンガより。
今日、トンガの英字web新聞を眺めておりましたら、
Public Holiday for Tupou College Anniversary
という見出しがデカデカと表示されていました。
「トゥポウ高校創立記念のための国民の休日」とでも訳せましょうか?
A special public holiday will be held in Tonga on Wednesday, 22 June to mark the 150th Anniversary of Tupou College.
Cabinet approved Wednesday, 22 June to be declared a special one-off public holiday in recognition of the secondary school’s anniversary, the Prime Minister’s Office announced today.
Tupou College is an all boys’ boarding school, the first secondary school to be established in Tonga run by the Free Wesleyan Church of Tonga.
The anniversary celebration is expected to be held from June 18-24, in Tongatapu.
というのが本文でして、ザッと訳します。
トゥポウ高校の創立150週年にあたり、6月22日、トンガで国民の休日が特別に設けられることになった。
国会はこの高校の創立記念を認め、特別に国民の休日にすることを承認することを総理府が表明しました。
トゥポウ高校はフリーウエスリアン教会が運営する全寮制の男子校で、トンガで最初に設立された高校。
6月18日-24日にかけて、創立記念行事が行われることが予想される。
という感じです。
凄いですね、トンガ。高校の創立記念が国民の休日になってしまうとは…。
とはいうものの、高校の創立150周年って凄くありません?西暦1866年、日本だと慶応2年、江戸時代ですよ?
このトゥポウ高校は以前は日本語教育にも力を入れておりまして、また、この学校出身の多くのラグビー選手が日本で活躍しています。ウィキペディアでは「トゥポ高校」と表記していますが、正しくは「トゥポウ高校」です。そして、高校と表記していますが実際には中学1年から高校4年まで(7年制で最後の2年は試験に合格した人のみ)ですので、人によっては中学時代トンガで過ごしたにもかかわらず、トゥポウ高校出身となっている人もいます。
- ホラニ 龍コリニアシ、ホラニ龍シオアペラトゥー (兄弟。兄のコリニアシは日本代表)
- ノフォムリ・タウモエフォラウ(ホラニ兄弟の伯父、元日本代表)
- タウファ統悦 、タウファ・タフィアイバハ優 (兄弟。兄の統悦は元日本代表)
- パエア・ミフィポセチ(サンウルブスで活躍中、元7人制ラグビー日本代表)
などなど。個人的にコリニアシは、トンガの高校時代ラグビーをやってたのでなく、ブラスバンド部でトロンボーンを演奏していたという異色の経歴で、個人的に親近感があります。上記の人達は代表経験などありメンバーですが、それ以外にも沢山。(個人的な日本のラガーマンの知り合いはトゥポウ高校の人が多いかも)埼玉の正智深谷高等学校と提携していた時期もあったそうで(今もそうなのかは不明)そこの高校出身、もしくは埼玉工業大学でラグビーをしていたラガーマンは基本的にトゥポウ高校出身と思ってみてもいいと思われます。大東文化大学系列はトンガ高校、通称アテレ出身の人が多いようです。
さて、その年(1866年)はどんなことが起きているかをWikipediaで調べてみると
- 薩長同盟成立
- 普墺戦争
- アメリカ南北戦争終結
- 第二次長州征伐 などなど
世界史と日本史の古い記憶からかろうじてヒットするものを抜き出してみました。
こんな時代にトンガでは高校が始まったんですね。
そして、そのあたりのトンガの歴史はと言うと?
- 1616年、最初のオランダ人探検家がトンガに到着。
- 1773、74、77年、探検家ジェームス・クックがトンガを3度訪問。この時の歓待ぶりに「フレンドリーアイランド」とトンガを呼び、それが今まで残っている。でも、実は最初の上陸の際、ジェームス・クックをはじめ探検隊を皆殺しにしてしまおう!と企んでいた…という話も聞いたことがありますが、(関係ないですけど、ソロモン人はソロモン諸島のことを「ハッピーアイランド」と呼んでます)
- 1822年、メソジスト派の宣教師が到着。
- 1845年、タウファハウによりポリネシア人による王国として統一。メソジスト教会にて洗礼を受け改宗。ジョージ・トゥポウと名乗る。
- 1866年、トゥポウ高校設立(←ここ)
- 1875年、使節のシャーリー・ベーカーの助けで、彼は法典を整備し、トンガを立憲君主国として宣言
- 1900年、友好条約の下でイギリスの保護領となる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/トンガ ←詳しくはこちらを参照
とこんな感じ。
西洋人たちが来るまで、文字を持たなかったトンガなので、西洋人と接触し、キリスト教化された直後に、既に高校教育制度を取り入れたわけです。
そんなわけで、トンガは歴史の割に、意外と長い教育の歴史があり、発展途上国でありながら、識字率ほぼ100%という驚異的な数値を叩き出し、人口に対する博士号取得者数が世界一とも言われる教育熱心な国になっております。(因みに僕が前にいたソロモン諸島は識字率30%と言われてました。自分の名前すら書けない人も多かった)また、トゥポウ高校の他、僕が以前教員をしていた2つの学校も、100年以上の歴史を持っています。
あ、歴史の割にと言うのは近年の話であって、考古学的なレベルで言うと、サモア、フィジー、トンガ、タヒチ…とオセアニア広域に広がったラピタ人の文明「ラピタ文明」のほぼ発祥の地(諸説ある)とも言われ、歴史がないわけではありません。
とは言うものの、国レベルで行ってしまうトンガ…。
その週、もの凄く重要な案件があり、予定が詰まっていたんですが、国民の休日になってしまった以上、予定を大きく変更しなければ、いろいろと間に合わなくなって、いろいろ支障をきたしてしまう…。せめて金曜日やハッピーマンデーにしてくれれば…。よりによってど真ん中の水曜日とは…orz。やってくれます…。
という訳で、この時期にトンガを訪れてみようと企画されている方、飛行機のチケット入手は結構困難になります。お気をつけ下さい。