「テレビ出演のチャンス」の続きです。
この当時、インターネットが大分普及しまして、ホームページを持つことなどが珍しくなくなってきました。
日本各地にも、大学のサークルや社会人のサークルなど、ジャグリングをするサークルの数が増えてきたのもこの頃です。
当然と言えば当然なのですが、サークルがホームページをもっていると、
「練習会に参加させていただきます」という連絡を取りやすいですし、ジャグラー人口が増えてきたのもこの頃ではないかと思います。
ただ、インターネットの回線はまだ細く、画像ならばあまり苦労せずとも表示できるようになってきたのですが、
動画をアップロードしたりダウンロードしたりというのは、かなり時間のかかる作業でした。
ジャグリングの技を検索しようとしても動画で用意されているところはほとんどなく、掲示板などで技の質問が来ても、
文字で説明するより、「実際に見た方が早い」と、何度言ったことか(笑)
ジャグリングショップでも、ジャグリングの教則ビデオを取り扱っており、これもまた重宝するジャグラーが多かったのではないかと思います。
(ただ、ジャグリングの技は静止画で見た方が理解できるというケースもあります。
まずは、ボールなどの道具が空中でどう動いているのかというのを理論とともに覚え、
脳で理解する、ということも重要だと思いますから。)
さて、この頃、教則ビデオのほかに、
特定の「ジャグラーのビデオ」というのも取り扱われていました。
以前このブログでも取り上げた、アンソニー・ガトーや、ジェイソン・ガーフィールドといった、超絶技巧派ジャグラーのビデオや、あるいは、ぎっしりとアイディアやオリジナリティの詰まったビデオなど。
教則ビデオが必要な期間というのは、初心者~中級者の一歩手前くらいまでであって、そのレベルまで達してしまったジャグラーというのは、参考にするものがなく、こういったビデオや、ジャグリングの大会のビデオを参考にして、自分ができそうだと思った技を会得していたわけです。
さて、以前の記事でも書きました通り、
この時期、大阪にはレベルの高いジャグラーが多数集まっており、その中からリスボン上田さん、ジャグラーあじわいここあ君、ジャグラーメトラさん、そして、僕の先輩であるジャグラーToshiさん、そして、僕の5人で「日本人初めてのビデオを作ろう!!」ということになり、
ビデオカメラをもってあちこち走りまわり、当時できた最高峰の技の数々を入れました。
今でいうビデオの編集ソフトのような便利なものなんてありませんから、
ビデオは2台のビデオデッキを使ってシーンごと切りぬいて、録画して……気が遠くなる作業。(僕がやったわけじゃないんですが……笑)
なんとか完成までこぎつけ、僕の運営しているホームページで販売。その名も「ビデオ・エクリプス」。 日食や月食を意味する”eclipse”という言葉を使いましたが、これは、メンバー(主に僕)が大食いなことに由来しています。
このビデオは、身内だけとはいえ、40本程度売れまして、ちょっとしたお小遣いになったものです。
今となってはちょっと恥ずかしくて見られないかな、とも思いますが(笑)
ちゃんと、企画から制作、販売まで自分たちだけの力でやったというのは、誇ってもいいんじゃないのかなぁと思っています。
ところで、最近は、こういった形でビデオやDVDが販売されるということは無くなってきました。
インターネットの普及に伴い、ジャグラーが自分の技を紹介したい時は、ビデオやDVDというメディアを使うよりは、
youtubeやニコニコ動画などを使用して公開した方が、多くの人の目にとまり、また、感想もその場で書き込みをしてもらえるからです。
また、編集をしたり、公開をするのにも手がかからなくなってきましたからね。
そもそも、こういったビデオを出す目的というのが、ビデオを出して儲けようとしているのではなく、より多くの人に見てもらい、「すげぇ」と言ってもらいたいからではないかと思っています。
未だに教則ビデオやDVD、大会のビデオやDVDの需要はあるので、ジャグリングショップでそういうビデオは販売されているのですが、「特定のジャグラーを見せる」ビデオやDVDというのは廃れてきたように感じます。
因みに、メンバーの5人。僕とあじわいここあの2人はジャグリングのイベントの依頼にも行ったりしていますが、ジャグリングの仕事以外の本業を持っています。メトラさんは、最近連絡が取れないのですが、しばらく前はテレビ出演などもしているプロのジャグラーでした。(この記事を見ているようでしたら、是非とも連絡が欲しい……) リスボン上田さんと、ジャグラーToshiさんは、バリバリのプロジャグラーとして活躍中です。