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2015/08/26

今、プロのメジャー大会で優勝可能な日本人といえば、
テニスの錦織圭選手とゴルフでいえば松山英樹選手です。

その松山英樹選手の言葉が気になりましたので、
スポーツ心理学の観点から考えてみたいと思います。

今年はマスターズで5位、全米と全英はともに18位、
そして先日行われた全米プロでは今季最も悪い37位でした。
3日目の15番でトリプルボギーをたたいて
今回も優勝とは成りませんでした。

トリプルボギーが問題なのではなく、
「3打目のバンカーショットで『寄せたい』と言う気持ちが強すぎましたね。」
というコメントを見る限り、
ノンフローを感じざるを得ない思考に、まだ未熟さがあるように思えます。
あくまでも私の勝手なコメントなのですが・・・。

後で振り返って気づけたのは流石だと思いますが、
その場で気づけなければフローに導くライフスキルが高いとはいえません。

もちろん、普通の選手よりも格段にライフスキルは高いとは思いますが、
このようなメジャーというレベルの高い舞台になれば、
1つの思考が命取りになるのです。

さらに
「その時点でトップとは5打差くらいだったので、
ボギーにすると厳しいという思いがあった。
ここをしのげば16,17番でバーディーを取れれば、
スコアが再び二桁にのるし、
そうすれば最終日にチャンスがあるかなと考えていた。」
とコメントしています。

まず“トップとの差が5打差”だと比較していることで、
心は非常にとらわれます。
もちろん、トップとの差で“やるべきこと”を
明確にするのは大事なことなのですが、
とらわれのリスクが倍増します。
相手のことはコントルールできないからです。

さらに“ボギーにすると厳しい”と述べていますが、
結果エントリーの思考でプレッシャーを誘発してしまうことになります。

そして“ここをしのげば”という発言は不快対策思考と呼び、
外側に脳が向いていて自分の心にノンフローの嵐が吹くことになるのです。

そして、“16,17番でバーディーが取れれば”とか
“最終日にチャンスがあるかな”というのは思考が未来に飛んでいます。

未来というのは不安定で不確実なので、
そこに思考が行くとやはりノンフローになるのです。

今ここ、自分の思考で戦い続けないと心の乱れが生じてしまい、
そのことによって良いパフォーマンスができなくなるのです。

通常の試合なら松山選手もこのような思考にはならないのでしょうが、
メジャーといういつもとは違った舞台になると、
こういった認知脳の暴走が起こってしまうのです。

わたしはどんなときもフローな心の状態をもたらすために、
ゴルフスイングと同じかそれ以上に
思考の練習をしていく必要があると思っています。
それがライフスキルなのです。

メジャーの壁といいますが、そもそも壁はどこにも存在していません。
こうした人間の脳が壁を創り出し、自分の力を阻害していくことになるのです。

心をマネジメントする思考の練習をすることは、
どんな人にもどんなレベルであっても必要なことなのです。

2015/08/26 04:53 | tsuji | No Comments