皆さん、おはようございます。
今日は10月16日のアヴェンヌオペラ公演、
「ドン・ジョヴァンニ」の構想についてお話し致しましょう。
まず今回は、前回2013年2月のほわっと公演とは違い、
ウィーン版にて上演することをお断りしておきます。
よって、オッターヴィオの2幕アリアがなくなり、
1幕にアリアが追加されます。
加えて、ドンナ・エルヴィーラに2幕アリアが、
その前にゼッリーナとレポレッロのデュエットが追加になります。
その他、レチタティーヴォが差し替えられたり、
レポレッロのアリアがレチタティーヴォに変わったりします。
さて、今回のメインテーマは、
排他的集団への当てこすりです。
主にイメージしていただくのは、
イスラム国などの原理主義過激派です。
これは、何教か、ということが問題なのではありません。
どんな風に信仰実践しているのか、が問題となります。
問題視するのは、異教徒を敵視して殺戮しても良い、
という実践の仕方です。
これを、新天地に行ってやっていたのが、キリスト教です。
そんなわけで、1幕冒頭のドンナ・アンナ以外、
女性はヒジャブと言われるスカーフを
頭にかぶってもらいます。
同様に、そのコミュニティに属する男性、
ドン・オッターヴィオとマゼットには、
かなり男尊女卑傾向があり、
オッターヴィオにはモラハラ傾向が、
マゼットにはDV傾向があります。
中でもオッターヴィオにはかなりの野心があり、
機会が訪れれば、味方でさえも切り捨てる冷酷さがあります。
ドンナ・アンナの価値は、娘婿になっていれば
指導者の後継者になれる、というところにあります。
そして、騎士長が早く亡くなれば、
より早く指導者の地位が手に入るのです。
もちろん、一夫一婦主義などではないので、
他の女性にも手を出しています。
そこへドン・ジョヴァンニを追いかけてきたアンナの姿が。
そして、騎士長にドン・ジョヴァンニが重傷を負わせた。
これらの状況を判断するなり、手当すれば間に合う騎士長に
自らとどめを刺して殺し、
「ドン・ジョヴァンニによる」騎士長殺害事件を演出し、
アンナをがんじがらめにして服従させようとし、
ドン・ジョヴァンニを杭に縛り付けて刺し殺し、
自ら地位を確定させていく。
そんなオッターヴィオを作ります。
ちなみに、今回は騎士長とマゼットを、
二役でキャスティングしていますが、
マゼットは騎士長の隠し子として演出しています。
風貌がよく似ているため、
何かの時には騎士長の影武者にもなるのです。
最後のシーンで騎士長の亡霊として出てくるのは、
もちろんマゼットその人です。
さて、今回はナレーションを用いません。
字幕でカットしたレチタティーヴォを補いますが、
その内容は神、ヤハウェ、アッラーという目線で書きます。
一神教に対する冒涜と言われても仕方ないのですが、
いわば、預言書を私が創作しているような感じです。
読み方によっては、コーランのように見えるかも。
こうして書き出してみると、
ドン・ジョヴァンニってやっぱり幅広いというか、
懐の深いオペラですね。
どんなふうにでも出来る。(笑)
そして最後はピエタで〆ます。
なお、キャストはこんな感じです。
ドン・ジョヴァンニ 大西信太郎
レポレッロ 中野文哉
ドンナ・アンナ 松浦小夏
ドン・オッターヴィオ 島袋羊太
ドンナ・エルヴィーラ 水野昌代
ゼッリーナ 西田安希
マゼット&騎士長 米田良一郎