« | Home | »

2015/05/20

1432129545753

もう半月以上も経ちましたが、先日、日舞の稽古場公演が無事に終了しました。

諸事情で、稽古場が建て替えられることになり、今の稽古場で最後の公演でした。

普通、日本舞踊のお稽古場では、大きな劇場を借りてのお浚い会が定期的に行なわれるものですが、役者の勉強の一環として通っているお弟子さんがほとんどである我が稽古場では、経済的事情もあって、それがありません。

けれど、いくら踊りをお稽古しても、人に見てもらわなければ成長は出来ない、お客の目こそが芸を育てる。

そんな考えのもとで、普段お稽古をしているスペースに簡易的な客席を作り、入口に幕をつったり、衝立をうまく利用して舞台袖として使用したりと工夫を重ね、30人お客が入ったらぎゅうぎゅう詰めになる様な小さなスペースで、年2回ペースで、実に17回も公演を重ねてきました。

ちょうど、この日舞の稽古場公演の本番が、次のお芝居の公演の稽古期間と重なったため、日舞と芝居のダブル稽古状態になって、体力的にも結構きつかったです。

お芝居の稽古中、あから様に疲れた表情をしていた僕に、演出家はこう言いました。

「日舞の方は発表会なんだから、そんなに頑張らなくてもいいじゃないの。」

それに対して僕は感情的に反論してしまいました。

「発表会じゃなくて、ちゃんとした公演なんです!」

言ってから思ったのですが、それでは、発表会と公演の違いは何なのだろうか?

発表会というのは、お稽古したことの成果をお友達に見てもらって自分の成長に繋げる場。

公演というのは、来てくれたお客様に対して、プロの意識を持って、チケット代をいただいた対価として、お客様に伝えるもののあることが必須なのかもしれません。

確かに、この稽古場公演は、自分達が成長させていただくために行なうものであります。

しかしながら、毎回色んなテーマに沿って演目を集め、分かり易い解説なども考えながら、敷居の高い劇場に足を運ばなければ見られない印象のある日本舞踊の魅力を、身近な距離で楽しんでいただくことを目標に挑んでいます。

根底にあるものは、日本舞踊の魅力を知ってほしいという純粋な想い。

小さな稽古場で、小道具もほとんど手作り、衣装も持ち合わせで行なうからこそ、決して発表会ではなく、伝えるべきものがある公演なのだと、自信を持って伝えることが出来ます。

2015/05/20 11:41 | sakai | No Comments