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世の中がGWを迎える中、僕はトラクターに乗って急ピッチで雪解け後の田んぼを耕し
ていた。
トラクターは毎日早朝から日没後までフル稼働で、エンジン全開による爆音と熱と振動
で体の感覚がおかしくなりそうだった。
先日、仕事を終えて夜空に浮かび上がった満月を眺めていると、なにやら遠くに「獣」
のシルエットが見えた。
どこからともなく2頭のキツネが駆け足でやってきて、夕闇の耕した田んぼの中で
じぁれ合っていた。
この田舎ではごく日常的な光景も、僕の目にはとても新鮮に映り、最後まで興味深く
観察した。
僕は毎年春の一時期だけ知り合いの米作農家を手伝っている。
もちろん「仕事」ではあるのだが、どちらかといえばこれは僕の趣味に近い。
なにより春の農作業は気持ちが良いのだ。
田んぼのあぜではフキノトウが一斉に芽吹き、時折北へ向かうハクチョウやガンの群れ
が頭上を通過してゆく。スコップで土を掘り起こしていると、まだ冬眠から覚めやら
ぬカエルまで起こしてしまい、そんな時は静かに土の中に埋め戻したりする。
今シーズンも例年同様に様々な発見を楽しみながら農作業を進めてきたのだが、実は
今年は本格的な田植えを前にしてここを離れることになっていた。
例によって「旅」に出るのだ。
農家のご主人さんの意向によってギリギリまでトラクターに乗っていた為、出発の前日
になって慌てて準備を始めた。
今回は荷物が多い為、撮影機材の種類は最小限に抑えなければいけないのだが、内容は
第一線で活躍している重量級のものばかりになってしまった。
本来は少しでも軽量化を図りたいところだが、やはりここは妥協できないのだ。
明日、いよいよ出発となる。
「田植え作業」に後ろ髪を引かれながら、旅モードへ気持ちを切り替えてゆく。
今回はどんな素晴らしい光景を見ることができるのか、そして新しい作品創造への期待
を胸に「旅立ちの時」を待つ。