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皆さん、おはようございます。
チラシのデザインがあがってきました。
ということで、改めて宣伝です。
実はこのチラシのデザイン、
私からのオーダーがかなり入っています。
というか、正直期待以上の出来です。
まず、オペラ劇場とか、シャンデリアとか、
そういう絢爛豪華に見える要素を
一切排除してもらうことをお願いしました。
これは形というより配色の問題として、
マフィアやヤクザの服装のデザイン、
例えば白のスーツに黒のシャツ、
赤とか金は、チーフや時計、アクセサリーなど、
ワンポイント的にあるものの、
支配的なのは白と黒、
というようなイメージをお伝えしました。
そもそも、椿姫の主人公といえばヴィオレッタで、
つまりは女性の話のはずなんですが、
期待以上と申し上げたのは実際の仕上がりで、
ここには女性を感じさせるものが何も描かれていません。
あるのは男性と思しき黒い影の中に書かれた、
キャッチフレーズの一文だけです。
私は女性を出すな、というオーダーはしていません。
もし私が、ごく一般的な解釈で上演するつもりであれば、
このチラシはおそらく最低の出来、
デザイナーに突き返して怒鳴り込み、
次から一切頼まない、というレベルの仕事です。
ところがどっこい、
実際にはこれほど私の意図を汲み尽くしたデザインは、
ちょっとそこいらにあるものではありません。
私が直接的に描きたいものは、
マルグリットをあんな風に扱った男の社会です。
そして、そのマルグリットを作り出した、
デュマ・フィスへの共感です。
これは自分がそんなことをしてから知ったのですが、
デュマ・フィスは自分がマルグリットのモデル、
マリー・デュプレシに書き送った皮肉交じりの手紙を、
椿姫の中で、アルマンからマルグリットへの手紙として、
少し膨らませてはいますが、ほぼそのまま使っています。
実は私は同じことをしてしまった経験があります。
今回の椿姫を組み立てる上で資料を読み漁っていて、
そのことを知った時には愕然ともしましたが、
それ以上に、ひょっとしたらデュマ・フィスは俺の前世か?
などと思うほどに親近感を覚えました。
もっとも、実際の上演では、
私の親近感などよりは、起こっていることの悲惨さ、
繰り広げられる世界の酷さの方が、
お客さんには伝わるであろうと思われます。
しかし、それこそがこのチラシで予告していることです。
チラシは、私が考えていた以上に告げています。
恐ろしい世界の話なのだ、と。
椿姫の根底の部分に触れたい方は、
是非お越し下さい。
2015年5月15日 午後6時45分からプレトーク、
そして19時上演スタートです。
デュマ・フィス「椿姫」
ヴェルディ「ラ・トラヴィアータ」より
ヴィオレッタ・ヴァレリー(マルグリット・ゴーチエ) 水津葵香子
アルフレード・ジェルモン 前田満
ジョルジョ・ジェルモン 山咲響
フローラ・ベルヴォア 松浦小夏
ガストン子爵 神矢匡
ドゥフォール男爵 大西信太郎
ドビニー侯爵 米田良一郎
グランヴィル医師 坂上洋一
アンニーナ 山口慧
ジュゼッペ 中川智樹
使者 中野文哉
合唱 山口慧 福岡さくら 中川智樹 中野文哉
ピアノ 小林聡子
ヴァイオリン 竹田早希
指揮・演出 梵智惇声
制作 サロン・ドゥ・アヴェンヌ
19時開演 18時45分よりプレトーク。