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2015/03/31
高台から沖合を望む。
海を隔てて見えるのはユルリ島。
無人島であるが、希少な海鳥達の繁殖地として北海道の天然記念物
に指定されている。
本土からはわずか数㎞。本当に目の前に見えるが、残念ながら
島全体が保護されている為に上陸することはできない。
ここは根室市郊外の海岸。
周囲には北海道東部特有の草原が限りなく広がっていた。
海岸から続くなだらかな丘陵地帯にはエゾシカの群れがゆっくりと
移動しているのが見えた。
彼らの足取りにはどこか厳しい冬を乗り越えたことによる安心感が
感じられる。
ある時、広い草原に座り込んだエゾシカと出会い、少しずつ接近
を試みた。
警戒されないようにしゃがみこんで時間を掛けて一歩、また一歩・・・。
結局、3mまでにじり寄ったが王者は立ち上がる気配もなく、巨大な
角をアピールするようにどっしりと構えてこちらを見据えていた。
間近でみる巨体に少々圧倒されながらも、彼らの様子に集中しすぎて
おかしな殺気が出ないように、時々視線を遠くに向けてリラックスを
心掛ける。
周囲にいた数頭の若いオスジカも一定の距離を置いている。
どうやら彼らも一目置いているようだ。
刺激しないように少しの間撮影を続けていると、意外にも王者は
暖かい日差しの元でウトウトと居眠りを始めた。
こちらもすっかりとリラックス状態となり、その様子を撮り終えて、
驚かさないようにまたゆっくりと後退してその場を離れた。
自然と一体になって野生動物と対峙できた瞬間は本当に嬉しい。
早春の風に乗って流れてくる潮の香りがなんとも心地良かった。
2015/03/31 01:34 | yamada | No Comments