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2015/02/26
ここ数日は高気圧に覆われ、2月だというのに気温がプラスに転じていた。
厳冬の景色を求めてやってきた北海道東部であるが、連日の高い気温によって
なかなか凍てついた氷の世界に出会うことができない。
今日も夜明け前から外で待機するが、未明の気温は氷点下6度。
いつものように手足がしびれるほどの極寒の感覚はない。
例年なら一番冷える時期にこの穏やか空気が少し物足りなかった。
まだ闇の中の撮影ポイントに立ち、太陽が昇るのを待った。
午前6時。
水平線が白み始めたかと思うと、あっという間にダークブルーの空が
オレンジ色に変わってゆく。
大地に光が差すと決まってどこからともなくやってくる者がいる。
彼らは目の前の一本の老木の上に止まったかと思うとすぐに天に
向かって鋭いくちばしを開いた。
そのけたたましい声は夜明けの静寂を破り、一日の始まりを告げるように
大地に響き渡る。
「野生」を象徴するようなオジロワシの甲高い声と今自分の目の前にある
この景色。
草原の中にたった一本の木が立っているだけなのに、一日の中である瞬間、
本当に素晴らしい光景を見せてくれる。
この景色、どうかいつまでも残されていてほしい。
2015/02/26 08:45 | yamada | No Comments