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突然ですが、指先を見てみてください。
男性なら、爪は短く整っていますか? 女性なら、伸ばした爪の中が汚れていませんか?
わたしがキャバの仕事に入って、一番最初に注意されたのはメイクの仕方でした。夜の仕事は少しでも華やかにしておくのが鉄則。ちょっとした非日常気分をお客様に味わっていただくための特別なメイクの練習をしろと、お店のオーナーにはよく叱られました。
そして二つ目が、爪だったんです。
手元は本人の意識以上に目立つので、そこをいかにきれいにしておくか。でもただ綺麗なだけではだめで、きちんと清潔さを感じられるようにメンテナンスしておかなければならないと先輩方にも言われたものです。
清潔であることと清潔感があることは似ているけれど違います。
一見清潔感に溢れている白いまな板が実は目に見えない雑菌の繁殖場所だったりするのと同じに、真っ白のきれいなニットがクリーニング0回、ってことはよくあることです。
要するに汚いものは目につきますが、目立たないからこそ清潔感が感じられるということなのだと思う。白いシャツが、汚れやすいからこそ清潔なイメージがあるのも同様です。
肌もそうです。しみひとつない、毛穴のないつるんとした肌が美しいのは清潔に見えるから。
実際には(よほどお風呂嫌いとかは別にして)人間の肌にだって細菌はいたりするようなので、完全に清潔な状態はありえません。
でも、“清潔そう”に見えることは得なのです。
清潔、清楚、清廉……と清いという字を使った熟語のイメージは軒並みいいことからも、清くある状態がいかに望ましいかが透けて見えます。
逆に、汚れている状態は嫌われます。汚物、汚泥などの言葉を考えれば一目瞭然。
わたしたちは、たぶん、きれいな状態がとても好きなのです。
以前、友人のひとりがモテる男性の要素として「いつも新しい服を着ている」という点を挙げたのを聞いたことがあります。安くてもいい、新しい服を着ていることが大事なのだそう。使用感のない服も清潔感につながりますから、清くあるという状態を彼女も重視しているのだなあと思いながら納得しました。
たとえば爪を、実際に清潔な状態で保ち続けるのは難しい。外気にさらされ、水に触れて見えない汚れがある手の先端にあって、爪だけ清潔なんて絶対にありえません。
でも、清潔感は維持できます。
爪を短く切る、汚れたらすぐに洗う、これだけで清潔そうなイメージは保てる。
人に好かれるための要素はあるでしょうが、清潔さを嫌いな人はいないと思う。
清潔であることより手軽だからこそ、自分でも気を付けていきたいと思います。