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2015/01/25

皆さん、おはようございます。

どの作品でも、原作とその舞台化、映像化とでは
いわゆる差というものが出来てしまいます。
椿姫など、舞台化、オペラ化の段階で、
必要な毒素が抜け落ちてしまいましたし、
近年でいえば、ハリー・ポッターが、
映画化による、2、3時間の時間枠ゆえに、
切り詰められ、切り詰めるための設定変更が施され、
明らかに原作より落ちる作品に仕上がってしまいました。

今、これとは逆パターンの傾向を感じる作品が
日曜日午後9時からTBS系で放送されています。
その名は「流星ワゴン」。

先週初回の放送があり、初回SPで2時間でしたが、
その後原作を読んでみると、
初回分に該当するところが、
原作本の半分にまで達していました。
あんなドラマですから、10回くらいはあるのでしょうが、
本の残り半分で残り9回とかを乗り切らねばなりません。
それに、前半分でさえ、原作にないエピソードを付け加えての、
初回SP2時間枠でした。

つまり、ハリー・ポッターとは逆に、
原作を丁寧に描くことが出来るにとどまらず、
さらに膨らませて、作品の心を伝えることも出来る時間枠なのです。

原作とテレビとの結論に大差なければの話ですが、
これは初手からお伝えしておいた方がいいかもしれません。
これを読んでいる、私の演出論に接することのある人たちには・・・。
私と切り口を共有していただくために、です。

お伝えしたいこと、というのは、
実は最終的に現実はほとんど変わりません。
主人公はリストラされ、息子は中学受験に失敗して荒れ、
妻との間は崩壊状態、という現実はそのままの結末です。
初回に、そのことが伏線として示唆されています。
最初に行った過去で、替えたはずの企画案、
次に行った過去では、何も替えられていませんでした。

そう、この話は、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ではないのです。
原因をいじって結果を変えるのではなく、
原因を知り、悔いのない対処をして、
同じ出発点以降の判断をより良いものに変える、
という話なのです。

違うのは、なぜそうなったか、を知っているということ。
その知識を得た上で、未来を築いていくのです。
つまり、このドラマはSFではなく、
どちらかといえばスピリチュアルに属するでしょう。
あくまでも、心の問題を扱っているように感じます。

このことを、ドラマ制作者は見ているうちに理解できるように
番組制作していると思うのですが、
私はあえてこれを先に言うことで、
本来とは少し違った見方をしてもらって、
制作者の期待値以上の何かを掴んでいただければ、と思っています。
それは、私の演出行為とも繋がると思われるから、です。

2015/01/25 06:33 | bonchi | No Comments