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今回のコラムは、普段、演劇公演の制作を行う方などが、日本舞踊や三味線などのお浚い会(お弟子さん達の発表会的な公演)の受付を頼まれることがあったときなどに参考にしていただければと思います。
昨年、浄瑠璃のお浚い会に出演させていただきましたが、出演すると同時に、受付チーフの様な役割も果たしました。
会全体は8時間以上にも及ぶ長丁場で、自分が出演しているのは15分程度ということもあり、体感としては、出演をしに行ったというよりも、受付をしに行った合間で出演をしたかの様ですらありました。
こういった会での受付において、演劇公演の受付と大きく異なることは、大別すると2つあるかな…と思います。
(1)上演がスタートしてから後も、随時お客様の出入りがある。
(2)ご祝儀とお引き出物のやり取りがある。
(1)に関してですが、演劇などの公演であれば、いったん開演してしまえば、若干名の遅れ客の誘導はあるものの、受付の仕事はほとんど終わったも同然です。
終演もしくは途中休憩までは、ゆっくりと半券やお金を数える以外、特に仕事はないかと思います。
演劇公演では、一度開演した後の受付業務は、飲食店に例えれば、ランチタイムのピークが去った後の、アイドルタイムの仕事の様なものです。
しかし、古典のお浚い会においては、お客様の多くが、自分の知り合いの出演する時間帯(チラシに、おおよその時間の目安が書いてあることもあります。)を狙って来場し、その前後の演目などを観賞して帰って行きます。
そのために、開演した後でも、常にお客様の出入りがあるため、なかなか気が抜けません。
客席への出入りのみならず、楽屋への出入りも常時あるために、その誘導も必要となります。
演劇公演ではまず考えられないことですが、本番前の出演者に楽屋での面会を希望するお客様もいます。
(2)は結婚式とよく似ているかもしれません。
会の形式にもよりますので、一概に全てがそうとも言えないのですが、お客様は出演者から“ご招待”を受けて来場し、“ご祝儀”として包む金額が、実質的な入場料金になることがあります。
そして、“ご祝儀”をお持ちいただいたお客様に、出演者が
“お引き出物”を準備しておくところなども、まさに結婚式の様です。
そのために、受付において、チケット代金のやりとりが皆無ということもあります。
その代わり、お祝いを受付で預かったときに、確実にそれを当人に渡すことと、お客様には間違いなくその人が用意したお引き出物を渡すということには、かなり気を遣います。
各出演者ごとに、完全に受付が分かれて用意されていることや、そういったやりとりは原則、楽屋で本人相手に行っていただく様なこともあります。
先日僕が受付を行ったお浚い会では、助っ人として、小劇場演劇の制作や受付業務にかなり馴れた方をお呼びしたのですが、やはり古典独特のやり方に苦戦された様子です。
でも、実質的に働く時間が長時間に及ぶため、1日の仕事でだいぶ要領を掴んでいただけた様です。
フリーで制作や受付などの仕事を行っている方など、一度古典の会の受付を経験すると、お仕事の幅が増えるかもしれませんね。
次回は、「お客様は神様です」(雑感)をテーマにしたコラムをお届けします。