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2014/11/29

2002年の暮れ、今から12年前、僕の親友が病死した。26歳の若さだった。

学年は僕のいっこ先輩なのだが、彼は全く威張るようなところがなく、物静かで、優しくて、僕と同じ人見知りで、親しく話すようになるまで時間がかかったが、後に同じ大学に通うようになったこともあり、仲良くなった。
いつも一緒の親友という感じではなかったが、いつ会っても、時間が空いても、彼はそれを感じさせない何かを持っており、その佇まいは霧のようだった。
「やあ。福井君。」と声をかけてくれた。

彼の絵は繊細で、その描写は微妙な温度の変化や時間の経過まで感じさせる密度を持ち、皆の注目を集めた。
鬼才だ。
流行りなどには全く興味を示さないが、好きな物事に対しては常軌を逸した集中を見せ、
絵画の他に文学と音楽を愛し、抜群のワードセンスを持っていた。

才能のようなものを持つ人が亡くなったとき、惜しい人を亡くしたという言い方があるが、
惜しいかどうかなんてどうでもいい。

彼と一緒に遊んだり、話したりすることが、もうない ことが悲しいだけだ。
彼は、何かお気に入りを見つけ、それを人に言うとき、
「・・・・って、いいよね。」とだけ言う。

僕はその言い方がなんとも好きだった。

2014/11/29 01:20 | fukui | No Comments