« ここがスゴイよ日本人 | Home | ■インドの空港が難しすぎる »
皆さん、おはようございます。
いつもあれほど楽譜の版にこだわり、
源泉資料が云々、と喚いているくせに、
椿姫に限って演出内容のことばかりで、
そちらの方面のことに一切触れていないことを
不思議に思われる人も多いかと思います。
ということで、今回はそのお話を。
ヴェルディのオペラには、
批判校訂版が存在します。
リコルディとシカゴ大学出版の共同出版です。
赤い表紙のものなので、見分けは容易につきます。
旧版、新版と区別したり、
新版をシカゴ版などと言ったりもします。
椿姫こと、ラ・トラヴィアータにも、
このシカゴ版が存在しています。
2巻組になっており、本体には現行版本編が、
もう1巻には、初演版の復元が掲載されています。
こちらには批判校訂報告も載せているため、
何か疑問があれば、解決できたりもします。
どんなオペラであれ、
それはヴェルディの作品でも他の作品については、
新版がどんどん現場に投入されているようですが、
なぜかトラヴィアータに関しては、
みんなしつこく旧版を使い続けているようです。
新版を参照すれば、旧版での疑問も解消できることがあるのに。
もちろん私は新版を使いますし、
ヴェルディのファーストアイデアを尊重したいので、
初演版の復元を使います。
で、旧版と新版の違いなんですが、
フルスコアにすると、ヴェルディのオペラというのは、
1作品につき、万単位の異同があるんだそうです。
ヴォーカルの面でいえば、
スラーがどこからどこまで掛かっているか、というのは、
私にとっては死活問題です。
どういうフレージングを想定したら良いか、
ということが違っているわけですから。
こんな状態なのに、
もともと自筆譜はリコルディが所有していたんだそうで。
怠慢に過ぎるのか・・・それとも悪質なのか・・・。
というわけで、上記の音楽上の理由の他にも、
新版の楽譜には小節数が振られていることもあり、
演奏には新版の楽譜を使います。
私の椿姫に参加される方々には、
新版の楽譜をご購入いただきたいと思います。
アイデアを書き込んだり、ピアニストに渡したりするために、
演奏用楽譜を作成致しますから、
それを実費負担で購入していただくことも可能ですが、
新版の普及促進のためにも、
楽譜屋さんでご購入いただきたいと思います。
もっとも、金銭的な理由で購入は難しい方も
いらっしゃるかとは思いますので、
そういう方についてはご相談に乗りましょう。
しかし、出来るだけご購入下さい。
貴重な財産となりますし、今後は主流になる時期も来るでしょう。
決して損はしません。
ちなみに、Amazonでは少し安いかもしれません。
http://www.amazon.co.jp/dp/8875926743?tag=maftracking56639-22&linkCode=ure&creative=6339