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2014/11/07

先日、大きな劇場での浄瑠璃の会に出演しました。

稽古場近くの公共ホールなどではちょくちょくお浚い会が行われるのですが、 歌舞伎や文楽の公演も行われる様な、立派で、なおかつ格式の高い劇場での会は、自分の名取披露以来、5年ぶりでした。

会に出ると決めたとき、ぶっちゃけ第一に考えなければならなかったことは、その参加費用を工面することでした。

よく、古典芸能的な習い事のイメージとして、「凄くお金がかかりそう。」と言われます。

実際はピンキリで、日常の稽古代は、他の習い事とそれほど変わらないところが多いかと思います。

しかし、大きな会に出ることを決めれば、やはりそれなりにお金はかかるものです。

それは当然のことです。

大学の演劇サークルが小劇場で公演を行うにしても、一番お金がかかって悩まされるのは、場所代、小屋代です。

格式が高く、設備も立派な劇場ともなれば、それに合わせて小屋代が高くなるのは当然のこと。

まして、会の運営には、音響さんに照明さん、大道具さんや劇場専属のロビー係さんなど、かなりの人数のスタッフさんのプロフェッショナルな働きがかかせません。

それだけの人達に動いていただくことにも、当然お金は発生します。

ですから、会の日程が決まってからは、スマホの家計簿アプリも活用して、本番までに毎月いくら貯蓄しなければならないものか、常に気にかけながらの生活でした。

「なんでそこまでして出る必要があるの?」

と聞かれることも少なくありませんが、その答えはもしかしたら、なぜ結婚式を行うのかという質問への答えに、共通したところがあるかもしれません。

結婚式を挙げるためには、お金も労力もかかりますが、それを行い、自分達のことを祝ってくれる人達が一同に会することによって、自分の人生が、いかに沢山の人に支えられて、自分が人々の輪の中にいることを強く認識出来ることと思います。

そのことで、実りある人生を歩んで行けることと思います。

古典芸能での、自分が属する流派の会に出るということは、縁があって、古くから引き継がれている芸能を一緒に受け継ぐことになった一門の絆を、互いに確認し合い、決して自分は一人で学んでいるわけではないと気付くことに繋がるのではないかと思います。

やはり、それに出ると出ないとでは、自らの稽古への取り組み姿勢が変わってくる様に感じます。

次回は、「Choice」(ブライダル)をテーマにしたコラムをお届けします。

2014/11/07 11:08 | sakai | No Comments