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2014/10/30

先日冬物の洋服を買いにいったのですが、もはや何を選んでいいのかすら分からなくなってきました。ショッピングモールでしたので品数は圧倒的にあり、ブランドもギャル向けから大人なハイブランドまでたくさんあるのですが、だからこそ選べない。

服を買う、という行為はわたしのように若さを商品化できるほど若くもなく、かといって主婦やキャリアOLとも違うしマダムでもない…という存在にとっては時々すごく難しいことなのでした。

理由は簡単で、かつて「イケていた時代」、あるいはそう自分が思えていた時代の服を選んでしまいがちだからです。

よく聞くことですが,“痛い”と称されがちな女性の特徴として古い化粧法、ファッションをしているというものがあります。たとえば異様に細い眉とか、歳を顧みないミニスカートとかがそれにあたるんじゃないかと思うんですが、わたしにとってその危険性が高いのは現役時代に服を選ぶ最大の基準だった同伴で使えるか否かというポイントでした。
具体的にいうならば、露出高めのお嬢ファッションとかOLファッション。スーツ姿のお客様と並んで歩いても違和感がなくて、寿司屋のカウンターでもうかなくて、でも明らかに「堅気」ではないミニスカやノースリーブの服は本当に同伴で重宝したものです。

でも今、その必要はなくなって、服選びは本当に自由になりました。
別にスタッズ付のレギンスを履こうが、サイケな柄のニットを着ようがOK。
もちろん、仕事先でひんしゅくを買うような服は結局買ったところで着ないのでしょうが、問題はわたしがそういう同伴服を嫌いではなかったということなのです。
自分の体の線を強調し、男性に見てもらうための服が、たぶん結局は好きだったのです。

20歳そこそこのころ、自分で言うのもなんですがそれらの服が似合っていた。
男性にも一番モテたし、お客様にも恵まれた。毎日が楽しくて必死で生きていることそれ自体の充実感がはんぱなかった。
その時代にずっといたくて、でも今はそうではなくなってきていることも知っているので、その種の服を試着しては「おまえどこへ行くんだ!」と自分で自分に問いかけなければならなくなるこの切なさよ…orz

ファッションも含め、装いとは自分の自己満足という喜びのほかに世間の皆様に対するマナーという面もあるような気がするわたしにとっては、今は着たい服を着ることによってそのマナーが破られる気がする反面、自由の侵害のようにも感じています。
選ばれるための服を、もう選ばれる必要のない自分が着る。
女を売る仕事を辞めたわたしが、女であることを誇示する服を着る。
それはもはやちょっとしたコスプレなんじゃないかなあ、なんて苦く思ったりする秋でした。

2014/10/30 07:17 | chica | No Comments