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2014/08/07

皆さん、おはようございます。

これから数回にわたって、2つの作品について
語ってみたいと考えております。
8日にはコジだろうが!というお叱りはあるかもしれませんが、
それだけオペラに意識が向いている、ということで
ご勘弁願えたらと思います。

まず、一つのオペラの構想が少し前に
具体的なイメージを形成するに至りました。
それは、カルメンです。
おそらく、皆さんがお持ちのカルメンの印象を
真っ逆さまにしてしまうようなカルメンを
作り上げたいと思っています。

お断りしておきますが、これからお話しする2作、
いつどこで上演する、ということが決まっているのではありません。
適切な場所で、適切なキャスティングで、いずれ、
というのが私の望みです。

その2作について、演出構想のことも踏まえ、
仮に「風俗嬢オペラ2部作」と総称したいと思います。
正確には少し印象の違う部分もあるのですが、
これは、それらのオペラの主人公が持っているものと、
私が描き出したいと思っている「風俗嬢」についての事柄とに、
共通する部分があるために、そう称しているだけのことです。

また、最初にお断りしておきたいのは、
私自身は世にあまた存在する「風俗嬢」に対して、
差別意識は持っていない、ということです。
もちろん、自分がその業界で働いた経験はないので、
知識に偏りがあるがための間違ったイメージ、印象、
というのはあるかもしれませんが、
悪意はないので、そこはご容赦下さい。
そういうのがあれば、紳士的に教えて下されば幸いです。

さて、カルメンについて、どういうイメージで作りたいかというと、
まずキャスティングなんですが、
一般的にカルメンに相応しいと思われる人材や演技法は
これを排除したいと思っています。
どちらかといえば、常ならミカエラでもやっていそうな、
ただし、ある種の色気は出せる人が理想です。
加えて、孤独感や寂しさを発し得る人がよろしい。
そして、ここは大事なのですが、
結構普通の女の子っぽい、ということ。

声の点でいえば、ハイソプラノではないソプラノが
最も適切かな、という印象を持っています。
メゾソプラノならば、ハイメゾがいいでしょう。
とにかく音声の点でやってほしくないことといえば、
低音で野太い声を出されたくない、
高音で張り上げてほしくない、
といったところ。
ノーマルなトーンで、シャンソンか何かを歌うが如く、
声を張らずに品よく歌ってほしいわけです。
つまり、余裕の範囲で歌える人材といえば、
ハイソプラノではないソプラノかハイメゾです。

ただ、品よくといっても、
ジプシーという、被差別階級には違いないので、
貴族のような品格を求めるわけではありません。
牙が見えているような野性はいらない、という話です。

最初の孤独さを表すシーンが、ハバネラです。
カルメンが登場した時、コーラスはすでにカップルを作っていて、
・・これは、すでになじみ客と風俗嬢のカップルです・・
しかし、男たちは密かにカルメンとも遊びたいと思っていて、
すでに組んでいる嬢を抱いているその後ろ手に、
カルメンに貢ぐ花を持ってきています。
多くは赤いバラだけれど、中に黄色い花を持っている男も。
もう空いた客はいない状態で寂しく歌うカルメンが、
選び取るのは彼女の好きな黄色い花。
ふと見ればそこには女を買っていないホセが・・・。

そこから話を展開させていき、
同じくスペインのスペインらしい場所にいながら、
実はスペインに占領されているだけで、独立を願う
バスク地方の人間(昔の在日朝鮮人のようなもの)のホセが、
未成熟な束縛型のDV男で、長くは続かず破局、
社会の底辺での、救いようのない別れ話・・そして殺人に、
という、問題提起の作品にしたいと考えています。

では、次回はこのような作品と解釈する、
私の背景についてお話ししたいと思います。

2014/08/07 03:05 | bonchi | No Comments