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2014/07/11

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7月というのに、

曇り空の森は涼しく、

先程から森の中のベランダには、

美味しいごちそうが,

次から次へと運ばれてきます、

全員が揃うと乾杯、

一年ぶりに森での再会です。

 

私は皆に背を向け、

炭火の火力を調整しながら、

グリルで肉の焼き加減を見ていると、

私の背中の後ろの方では、

まるで小説を読んでいるかのような会話、

 

壮絶だった離婚騒動、

そんなつもりは無かったのにいまだに続く浮気進行形、

介護の惨憺たる日常、

私はとてもこのグリルの焼ける肉から目を離して、

皆の方に振り向く事が出来ません、

 

それでも森の中の肌寒いベランダでは、

炭火で焼いたお肉が美味しいと言いながら、

皆気持ち良さそうに、

自分の人生の破り捨てたい部分、

そんな話に花が咲きまくっております。

 

今回はママ友のサンディエゴから,

一時帰国に合わせて、

皆で温泉&バベキューという企画、

私は完全にホスト役に徹しております、

人生は楽しくすばらしいはずなのに、

誰もが長い人生の途中で迷い道に迷い込み、

悩み、涙して、

そして友達と、

この森の中のベランダで、

まるで小説を読むかのように、

人生の一部を話し始め、

友情を深めあっています、

 

悲しい事はどんな人にも突然現れ,

谷底に突き落とし、

クローゼットの中に綴じ込めたまま、

何も言わず立ち去り、

 

恋愛は青春の一部なんかじゃなく、

こんな歳になっても、

自分を夢心地に誘う媚薬である事を知り、

 

嫉妬とモラルの狭間、

こんなにも、

切なく、

心地よく、

生きてる事の喜びを、

再び感じさせてくれます、

 

いつしか森の夜に小雨が降り出し、

ママ友たちは場所を室内に移し、

夜が終わろうとしている事も気にせず、

人生の破り捨てたい部分を、

まるで紙でも破るように、

ビリビリにして、

話し続けています、

 

森の中の夜は眠る事も無く、

ママたちの会話に、

いつまでもつきあっています。

2014/07/11 07:46 | watanabe | No Comments