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白い壁に描いてある青虫はどこに行くの、
テーブルの上にある折り紙は誰が折るの、
トーマスのマグカップは誰が使うの、
床に散らばった積み木の家は誰が壊したの、
庭の向日葵は誰が植えたの、
庭の向日葵は誰の為に咲くの、
私はソファーに横になり、
夢の中、
にぎやかだった食卓、
あなたたちの声が響いていたバスルーム、
トイレのドアを開けたままうんちしていたあなたたちはどこ、
眠い目をこすりながら読み聞かせをしていたはずの私、
今でも私の手の中にはあなたたちの小さな下着が、
今日の3時のおやつは誰が食べるの、
私はソファーに横になり、
夢の中、
あなたたちが目覚めるまで起きててあげる、
私は24時間寝なくてもかまわない、
食べるものが何にも無くてもかまわない、
お風呂に入らなくてもかまわない、
化粧なんかしなくてもかまわない、
例え靴がすり減ってもどこまでも歩ける、
電気が無くても不満なんか言わない、
水道が壊れてても私は耐えられる、
家が流されてももう悲しまない、
夜に月が出なくてもかまわない、
月のどんな願いも聞いてあげる、
私はソファーに横になり、
夢の中、
私はソファーに横になり、
あなたたちの匂いに包まれて、
懐かしい潮の香りが流れて、
私は海の風の中にあなたたちの姿を探すの、
あなたたちに会いたくて、
私はソファーに横になり、
夢の中、
白いレースのカーテンの向こう側で、
あなたたちが遊んでいる、
誰もあなたたちを傷つけようとはしていなかった、
遠い昔の私が叫んでいる、
あなたたちを愛している、
陽の光に照らされて、
今、あなたたちがキラキラ輝いてる、
昨日と同じようにキラキラ輝いてる、
まるで向日葵のようにあなたたちがキラキラ輝いている、
私には眩し過ぎるあなたたち、
誰かが白いカーテンを揺らすの、
海からの風が、
私はソファーに横になり、
夢の中、
私には何もする事が出来なかった、
白いレースのカーテンは揺れ、
白いレースのカーテンの向こう側の風景が変わっていく、
白いレースのカーテンは静かに、
夢の中、
昨日の中、
明日の中、
幸福はどこに行ったの、
私はソファーに横になり、
夢見るように目を閉じて、
まぶたの向こう側に、
キラキラ輝くあなたたちを探し続けるの、
夢でなかったら、
泣けるのに。