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2014/04/30

最近はあまり言われなくなった、というか、おかげさまで演奏を聴いて「訴えかけるものがあった、情熱が伝わった」と言っていただけることも多くなりましたが、昔は「うまいと思うけど伝わらない、もっと心がある演奏をしたら」と言われて悩んだものです。

心がこもってないって何よ、こんなに一生懸命やってるのに!皆に聴いてもらいたい、私の思いを伝えたいのに!

この当時は必死だったんです。一回一回のライブが、自分のこれからに繋がる、一回一回のチャンスを無駄にできない。そうすると聴いてほしい、これだけのことができると分かって欲しい、という気持ちがこもり過ぎて、音に力が入って、受け止める側が疲れてしまう。はいはい、わかりました、となってしまう。

ある時、もういいや、と開き直ったんです。自分のありのままを出して、それで認められなければ、しょうがない。好みが合わなかっただけ。ありのままを受け止めてもらえるまで気楽にやればいいんだ…。心が無になりました。音の前に、ただただ無心にその時出したい音が出てくるよう自分の心と向き合い、空間と向き合い、集中する。
そうしたら、「何かが伝わってくる演奏ですね」と言われることが多くなりました。

心がこもっていないと感じられる演奏は、実は心がこもり過ぎていたんだな、と思いました。

たとえ自分の素直な心であっても、曲への思い入れであっても時には邪魔になるのです。曲への個人的な、勝手な思い入れは、たとえ自分の曲だったとしてもその想いが邪魔になることもある…。音楽に向き合うのは本当に難しいです。油断してはいけないんだな、と思いながら日々演奏しています。

2014/04/30 07:08 | toyama | No Comments