« 振り付け? | Home | HP、そして、“自分探しの旅” »
こんにちは。根本齒科室の根本です。
前回は慌しく尻切れトンボになってしまったことをお詫びします。
正直に申します。
前々回(1/30)、前回(2/28)と、じつはきわめて厳しい心理状況の中での執筆でした。
冗談っぽくNews U.S.の真似をしたりして軽い感じで書いていましたが、憔悴しきった心中はとてもそれどころではありませんでした。
今もまだ、ほとんど全くといっていいほど心の整理がついていません。
ここにそのことの顛末をテキストで起こすことすら、憚られます。
ですので、間接的ですが、今回の院内新聞(Vol.17)にその顛末を記しました。
当院公式HPへの外部リンクになりますが、ぜひお察し下さい。
こちらからお入りください。2014年4月号になります。
哀しみと乱雑さ・脱力に取り紛れ、歯と関係なさそうなことを書いてしまいます。
最近テレビなどでも注目されているようですが、糖質制限ダイエットについてです。
私が最初にこの単語を認識したのは、葬儀、法要のときの弟の様子です。
見ると、精進落としなどでもあまり食べていません。聞くと「糖質制限」をしている、と言っていました。
その時は、「フーン」くらいでしたが、あまり関心もなく、こんなおいしいごちそう食べないなんてもったいない、くらいにしか思っていませんでした。
その後、母の代わりに、柏や取手、土浦などで仏壇をいろいろ探して見て回っているときに、ふと本屋で立ち寄ったときに見つけたのが、この本です。(この2冊、同じ本です)
こちらの10万部突破のほうです。
「夏井睦(なついまこと)」という名前にピンときて、とりあえず手に取ってみました。
夏井睦先生といえば、有名な形成外科医でもあります。先生のことは、もう12年くらい前に「体育会系ピアノ馬鹿」というマニアックなピアノサイトを運営されていたころからのファンでした。
そのときに、ピアノサイトの中で「湿潤療法」「消毒とガーゼをしない」ということを平行して訴えており、さすがは外科医だなぁ、と感心しながら読んでいたものです。
しばらくのちに「新しい創傷治療」という名前で、治療の部分をまとめたホームページも立ち上げました。現在はそちらが主のようです。
(そう、懐かしい名前だ。夏井先生お元気だと思ったら、ダイエットか)
(・・・あ、これが弟がやっていると言っていた、糖質制限の本か)
仏壇、弟、夏井先生・・・何となくこの連想を考えていたら、もしかしたら父がヒントをくれて、たまたま●●書店に立ち寄らせたのかもしれない、なんて、時期が時期だけに思えてなりません。早速一部購入しました。
読んで、これは面白い!と思い、周囲の知人にもプレゼントしようと思ってアマゾンで購入したら、もう20万部突破になっていました。
部数の伸びが一瞬!すごいですねwwwさすが夏井先生。
そして、ホームページの方も久しぶりに閲覧してみました。
相変わらずの素朴なレイアウトですが、内容の充実ぶりに改めて驚嘆いたしました。
◆糖質制限の誤解
この本を読んで初めて、鵜呑みにしていた誤解が解けたことが多々あります。
それに気が付いただけでも、とても収穫がありました。
◇タンパク質・脂肪は消化が速い。
◇炭水化物は消化が遅い
ここが、私が一番驚いたところです。その筋の医師には常識のようですが、炭水化物は4時間近く胃の中で粘るのに対し、肉や魚などは数分から数十分ですみやかに消火される、というのは最初は「ウソだぁ、反対だろう」と思ったものです。
そうすると深酒のあと〆の雑炊を注文したりすると、胃の中で4時間くらい雑炊が残り、強烈な翌朝のむかつきの原因になるとのことです。
実際自分で多めの焼酎とタンパク質系のつまみで実験してみましたが、本当に次の日の朝、ケロッと起きられました。
これに味を占めて、ちょっとやりすぎてしまったので、最近は少なめにしています。
また、昼食後に眠くなるのは当たり前だと思っていたのですが、本当に眠くならなくなりました。
あのけだるい疲労感は、血糖値が上がった後に下がって、低血糖状態していたんですね。
△炭水化物をとらないと、眠くならない
△炭水化物をとらないと、2日酔いしない
この2つは、早々に実感することができました。
そして、以前のようにきつい空腹感が襲ってこないのと、食に対する執着が少し薄れてきたような気もします。
夏井先生も言っていたのですが、血糖値が大きく変わらないので、空腹感が起こらないのでは、ということのようです。
◇炭水化物が分解されたブドウ糖は、そのまま中性脂肪になる
◇インスリンは、ブドウ糖を脂肪に変える。
最初は、消化されてブドウ糖になったものは、ほとんどがすみやかにエネルギーになるものだとばかり思っていました。
しかし、そうではなく、ほとんど中性脂肪になっていたんですね。
だからアメリカ人が肥満の人が多いのは、そういうことです。
膵臓やインスリンが強い?!ので、どんどん中性脂肪になって糖尿病にならない、いや、なれない。
なれないから、際限なく太る。
逆に日本人は膵臓やインスリンが弱い?!ので、食べ過ぎるとすぐに糖尿病になる。
モンゴロイドの方が白人黒人よりも、飢餓には弱いのかもしれません。
◇人間の筋肉は普段は脂肪を直接燃焼して動いている
これです。
うっかりしてしまいました。
運動はブドウ糖で行われていると思ったら、そうではないようですね。
一部の激しい無酸素運動などはブドウ糖を利用しているようですが。
いろいろ目からうろこの点がありましたが、私の中ではとくに上記の点が固定観念と真逆であり、強いインパクトがありました。
◆糖質制限と歯科
本書内では、軽くですが、糖質制限が、むし歯や歯周病予防になると書いてありました。
これはある程度説明ができそうです。
◇むし歯
糖質というと、炭水化物の他にも、ショ糖があります。
お口の中のむし歯菌は、ショ糖を取り込んで分解して酸を発生させます。
この酸で歯を溶かして、むし歯になるわけです。
さらにショ糖が多いと、むし歯菌も元気になり、分裂してたくさん増殖します。
しかし、栄養になるショ糖がないと、むし歯菌は飢えてしまいます。
貧栄養化によるむし歯菌の増殖抑制は理にかなっています。
◇歯周病
問題は歯周病菌です。いくつかの種類が知られていますが、初発は一般的に縁上歯石と呼ばれる、目に見える歯石が付き始めることで始まります。
そして歯石は、歯周病菌がカルシウムを取り込んで一緒に固まったものです。カルシウムイオンは、おもに唾液から供給されます。
ですから、唾液腺の出口(舌下部、上顎大臼歯頬側)付近は歯石が付着しやすい部位です。
もし、いくつかの歯周病菌の取り込む「エサ」のメインが「糖質」つまりショ糖?!とかデンプンなどであるならば、それらをたくさん取ることで、むし歯菌のみならず、いくつかの歯周病菌も活発に分裂して増殖することになります。
ただ、ちらちらと検索したところでは、おもに血液とか免疫とかタンパク質をメインの「エサ」としているものが多いようです。
ということは、歯石の付着や歯周病菌の菌数抑制の点から考えれば、糖質制限と歯周病予防については、はっきりした関係が見えてこない感じがします。もちろんそれだけで断言するわけではありませんが。
むし歯はプラークが出す酸によるものなので、中性・弱塩基性などの口腔環境が重要ですが、歯周病はプラークそのものの硬化で引き起こされるものなので、直接プラーク数を少なく保つこと「プラークコントロール」をどこまで厳密にできるかが非常に重要なカギになってきます。
◇歯周病が治った?
糖質制限食をとると、歯肉の炎症が治まったり、場合によっては歯肉が復活したりして、「歯周病が治った」という実感を持たれる方が多いようです。
ここで「歯周病」をどのように定義するかで、全く話は変わってきてしまいますが、ひとまずここで言う「治った」は、免疫力とプラークの毒性のバランスで説明できると思います。
歯周病菌に限らず、細菌の細胞表面には、LPS(リポ多糖)という、人体に刺激性のある有毒分子がびっちり並んでいます。ですから、歯みがきがおろそかだったり形が複雑だったりポケット内だったりして、種々雑多なプラークが慢性的にたまっている場所は、つねに歯肉は強い刺激を受けて、炎症を起こしている状態になっています。
ところが、糖質制限食の結果、プラークの総数が減少すると、慢性的にたまっている種々雑多なプラークも減少していきます。そこの局所では、今まで多くの細菌に対応するために、多くの免疫細胞が分泌されて、結果として真っ赤に炎症を起こしていたのが、少ない細菌に対応するには少ない免疫細胞でよいことになり、結果として炎症が消退したり、歯肉が増殖したり引き締まったりする方向に動きます。
これは「歯周病」を非石灰化プラークの刺激による炎症と定義した場合には、ある程度筋が通った説明になると思います。
「歯周病」を歯石の刺激による炎症と定義した場合には、成立しないことになります。ついた歯石は糖質制限しても取れないからです。
◇糖質制限は予防中心主義
もちろん糖質制限は糖尿病の予防やダイエットなど、全身的なことのために行うものですが、糖質制限を推奨する歯科医の先生も本書には何名か登場されます。
一貫しておっしゃっていることが、悪くなってから治療するのではなく、悪くならない工夫が大事だ、ということです。だから、糖質制限による歯科的な副次効果に非常に敏感です。最近は少しづつですが、治療しないことを商売のタネにした歯科医院も定着しつつあるようです。
大雑把ですが、こんな感じです。
まだ始めて10日くらいしかたっていないので、ほとんど実感できていませんが、2日酔いしないのと食後に眠くならないのは本当におどろきました。おかげでここのところ、面白がってドライの缶チューハイを飲みすぎ、普段の倍くらいの酒量になったりしてしまいました。
本日は休肝日とします。
そして、数か月後を楽しみに、何とか継続していきたいと思います。
父がくれたヒントかもしれないですしね。
【今回のまとめ】
糖質制限は歯科的にも内科的にも予防中心主義であり、また多くの食の誤解を解いてくれた
(おまけ)
今回も短めですみません。
やっとの思いで書きました。
じつは、今回の父の件の時期に前後して、それ以外にもここでは言えませんがいろいろ大きなものを失いました。
たまたまですが重なりまして、茫然自失のあまり、執着心とか半分くらいどうでもよくなってしまった感じがしました。
その中には、生に対するものもあります。
釈迦も、生老病死の苦を教えましたが、この世ではしょせん出会っても別れてしまう。
それは、人も物も土地もです。
だったら、今世に執着しても寂しいばかりだから、早くあちらにいってみんなに再会したい
みたいなことをちょこっとですが真剣に想像してしまいました。
もちろん今すぐ、という訳ではありませんが。痛いのや苦しいのはイヤですし。
例えて言えば「●●と●●と・・(略)・・が片付いたら、もういっか」的な発想です。
でも、そこまで思ってしまっても、なお自分の中の執着心的なものは強いですね。
とくに、自分を守りたい的な、奴。
これはどうしようもないですね。理屈では。
そんな時は、外から内(自分の内面)を見てばかりでは堂々めぐりなので、いったん内から外に、周囲を見て確認した上で内側の自分を再確認するしかないのかもしれません。
「健康である」「飢餓ではない」「安全な環境である」「温暖で快適である」「苦痛がない」「交通や買い物の便が良い」「他人と大きなトラブルがない」
etc
いろいろあるとおもいますが、いくつかベーシックな所から再確認して
自分は恵まれている
自分は生かされている
という風に、確認された小さな幸運の積み重ねに感謝の念を持ち直して、あまり多くを求めないようにする。
そこからですかね、執着心を少しづつ捨てていくのは。
分かりません。