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2014/03/21

その土曜日、7時58分
【Before the devil knows you’re dead】2007年

2度目の転職が落ち着いた頃。
でも劇場で観たわけではなく3年後の2010年にDVDで観る。

ヒトのちょっとした欲望は、自分の中で持ち続けるなら
社会的にも、建前上人道的な意味でも罪になりようがない。

けれどそれを実現すべくその境を超えた途端、
複数の人の欲と命が絡み、大抵はその欲は良くない結果となり、
後悔し、開き直り、狂い、罪を認め、許しを乞い、消えていく。

そういうものが極端に、客観的に描かれ、観た時の衝撃はものすごかった。

もうひとつの好きな要素は
主演のフィリップ・シーモア・ホフマン【Philip Seymour Hoffman】。

脇役的にいろんな映画に出ていていたけれど
2005年のカーポーティ【Capote】を映画館で観て、名前を覚えた。

つい最近亡くなったことを聞き、
彼の映画と言えば、と思ったのが、この映画。

シーモア演じる兄のアンディ【Andy】と
イーサン・ホーク【Ethan Hawke】演じるその弟ハンク【Hank】。
それぞれの理由からお金が必要なふたり。

『絶対誰にも迷惑がかからない強盗』と言うアンディの計画、
そんなうまいことなどある訳がなく、すべり落ちていくふたり。

境を超えたアンディの、そこに行きつくまでが絶妙なシナリオで描かれ
後半のキーとなる父親が時折交差し、サスペンス調にストーリーが進行する。

改めて見直すと、邦題とは全く異なる、原題の深い意味を知る。

映画の冒頭に現れるタイトルに続く序章。

MAY YOU BE IN HEAVEN HALF AN HOUR
早く天国に着きますように

そしてタイトル。

BEFORE THE DEVIL
KNOWS YOU’RE DEAD
死んだのが 悪魔に知られる前に

主語は“YOU”、自分が願っていることではない。

調べると、アイリッシュの言葉 “May you be in heaven a full half-hour
before the devil knows you’re dead” に由来しているとか。

早く、と言っているけれど、逃げ切れる猶予は30分しかなく、
それは人生の罪を地獄の閻魔様に申し開きできる時間、ということかしら。

やましいことがなければ逃げる必要もない。
少しでも自責の念があればその30分が、長くも短くもなる。

映画の結末につながるこの言葉、ぜひ機会があれば観て欲しい

2014/03/21 06:42 | masaki | No Comments