« イスラム教徒の婚約式 | Home | ラブホテルについて語ります »
こんばんは、酒井孝祥です。
音響デザイナーの柏さんが、ブライダルの音響についてコラムを掲載されていたので、今回はそれに便乗して、ブライダルの司会と音響にまつわる話です。
さて、だいぶ前、配膳サービスの仕事をしていたときの話ですが、たまたま自分が専属で入っていた結婚式場の人手が足りていて、遠方の結婚式場に派遣されたとき、珍しい光景を目にしました。
司会者や、お客様の目に触れることの多いサービススタッフを除く結婚式場のスタッフは、大概は、黒や紺などのシンプルなスーツで身を包んでいます。
その日目にした光景というのは、会場スタンバイ中に、列席者にいてもおかしくない様な、小洒落たスーツに身を包んだ女性が、ミキサーを操作しながら、音響やマイクのチェックを行っているというものでした。
なぜ音響スタッフさんがこんな格好をしているんだろう…?
そんな疑問を持ちながらもなんとなくその様子を見ていると、なんと、音響さんが原稿を読むリハーサルを始めました。
そう、その方は、音響と司会を兼任で行っていたのです。
その姿は、公開生放送を行うラジオDJの様で格好良かったです。
しかし、その様なスタイルは稀なケースで、酒井も、自ら音響機器を専門的に扱う様なことは出来ません。
そうなると、司会者にとって、音響さんと上手くコミュニケーションを取ることは重要なポイントとなります。
いつも一緒に仕事をしている音響さんならともかく、単発で入る会場などで初めて一緒に仕事をするような人が相手だったら、どのタイミングでキューを出すかなど、予め打ち合わせをしておく必要があります。
そのことに限らず、宴席の進行において、こちらがイメージしていることと音響さんがイメージしていることに相違があった場合、下手すれば、「なんでそこで音が止まるの?」というところで無音になったり、音響さんに合図を出したいタイミングなのに、「なんでこっちを見ていてくれないの?」ということにもなりかねます。
結婚披露宴は、様々な職種のプロフェッショナルが一同に会して行う、新郎新婦が主役のパフォーマンスの様なものというのが僕の持論です。
そのなかでも、司会と音響は、タッグを組んでお客様の耳に入る刺激を作り出す仕事をするのですから、その呼吸が合っていない披露宴は、それぞれの楽器がバラバラに演奏されるコンサートの様なものかもしれません。
司会者にとっては、まるで自分がミキサーを操っているかの様に曲が流れれば、音響さんにとっては、まるで自分のかけたCDのなかに予め録音されていたかの様に司会者のコメントが入れば、ゲストの皆様には最高のシンフォニーをお届け出来ることでしょう。
次回は、「初心に戻っても…」(古典芸能)をテーマにしたコラムをお届けします。