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こんばんは。タイトルでクリックしてくださった方にまずお詫びですが、「綺麗になるためのハウツー」的な内容は一切ございません! あくまでも「なりたい」という願望の話です。
キャバ嬢だったころ、わたしはものすごく綺麗になりたかったです。
きれい、という言葉の漠然としたイメージは銀座のお姉さま方でした。水商売だけどケバくなく、髪がつやつやさらさらで、背が高くて顔がちっちゃくて、卑しいところがひとつもない、そういうお姉さんになりたかった。
具体的にそういうイメージを持ったのは、同伴で連れて行ってもらった銀座のショットバーで、まさにそういう方を見かけたから。気品ある猫みたいな美しい座り姿の佇まい、隣にいるのはナイスミドル、でカウンターには(多分)マティーニ。
漏れ聞こえる会話からお水のお姉さまと判っても本当に美しい、むしろ納得感のあるカップルで、映画の中のワンシーンみたいな光景でした。
が、それを見ているわたしは自他共に認めるファニーフェイス、低身長、しかも小太り。指名はぼちぼち頂いているものの別に売れっ子でもない、ただの豚。……同じ女として生を受けながらこの激しすぎる差はなんなんだろう、飛べない豚はただの豚だ…などと自問自答しつつ、甘ったるいカルアミルクとかをちびちび飲んでいたのでした。
そのお姉さんに近づくためには整形しかない!と奮起し、とりあえずお金を貯めようと思いました。でも、全身作りかえるとなると100万、200万ではとても足りない。
ていうかどこをどう変えたらいいのかもよく分からず、カウンセリングに行っては踏み切れずに留まる日々が続き、同時進行でファッションも迷走。似合うと言われたのはロリ系の服だけどそれじゃますますあのお姉さんから遠ざかるわけで、しかも職業的に男受けしないといけないので露出はするわミニは履くわタイトな服を着てみるわ高いヒールで転ぶわ、我ながらあの頃本当に 体当たりでよくやっていたと思います(笑)
キャバ嬢に限らず、女の子はたぶん多かれ少なかれ「きれいになりたい」という欲望と戦った経験があるだろうし、もしくは現在戦闘中である人もいると思います。
メイクやネイルやファッションまで、そういう「なりたい」願望を助けてくれるアイテムはたくさんあるし、実際それらの力でわたしだって多少はマシになってきていると思います(というか思いたい)。
しかし、豚はやっぱり豚なのです。身長はヒールで誤魔化してもせいぜい10cm が限界、髪は癖っ毛だし痩せたら胸まで減ったという残念加減。醜いアヒルの子もそもそも最初から白鳥として生まれたわけで、アヒルではなかったわけですし。
水商売を経験して、男の人の視線をお金という目に見える形で頂く職業を経て、わたしはだいぶ自分の容姿を客観的にみられるようになりました。下の下ではなく、中の下。その程度の客観性とそれでももっと「きれいになりたい」欲との付き合いは、仕事をあがった今でも未だに継続しています。
どうしたらきれいになれるのか。あの人のように美しい女になれるのか。
鏡に向かう時、いつも思いだすあの綺麗な横顔を、今日も思い出しながら化粧していた朝でした。