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2014/01/30

皆さん、おはようございます。

えー、当該ドラマを、見ていない人間の言うこと、
という前提でお付き合い下さい。

このドラマには色んな意見があります。

まず、「放送を即刻中止しろ」というものから、
「まあいいじゃん」、
「とにかく最後まで見てみよう」なんていうのまで。

即刻中止は問答無用すぎるのでここでは無視することとして、
少し気になる意見も出ています。
私が一番気になるのは、
「似た境遇の子供へのいじめを誘発する」というもの、
そして、その逆に制作サイドが言っている、
「そういう結論のドラマではないから最後まで見てくれ」というもの。

前者は結論としては中止を求めるものなのですが、
それを言う人たちに向かって言いたいことがあります。
「子供って、そこまで愚かなのか?」と。
私に言わせれば、お前の欲望を子供に転嫁するな、
なんてツッコミになってしまうのですが、
中にはそんなアホな子供も少なからずいる、
ということでひとまず了解するとします。

すると、「そういう結論じゃないから最後まで」という意見に、
今度はこのように突っ込まねばならなくなるのです。
「どんなに素晴らしい結論であれ、子供はそれを見る前にいじめる」
アホの子供の擁護をしてやるようで胸糞悪い話なのですが、
そこのところが、一話完結の勧善懲悪ドラマを好む、
日本国民の性質というやつです。

水戸黄門を筆頭に、それらの時代劇は一話完結型で、
その中で悪者がどれほど酷い差別行為をしていようと、
彼らは1時間と経たぬ間に悪を暴かれ、報いを受けるのです。
つまり、そんなことをしてはいけない、という教訓が、
差別行為から数十分で画面に映されるわけです。
行為と結果を、ワンセットで提示されるので、
差別が誘発される余地がありません。

ちなみに、私が演出した魔笛でも、
例えば黒人モノスタトスに対する強烈な差別描写をしています。
平気で登場人物に「黒ん坊」呼ばわりをさせ、
しかも、差別していた側の人間が、最後の場面で、
モノスタトスを刺殺する、という芝居をして幕を閉じます。

これは、2つの理由でクレームを生みません。
まずは、3時間以内で終わる作品であり、結論が提示されること。
そして、その結論自体はさらに酷いものであるのに、
逆にそこまで酷いと、いくらなんでもそれを良しと思ってないだろう、
別に思惑があるだろう、という風に観客は思ってくれるので、
よほど感情的になってしまった人以外は、
私に対してクレームを言ってくることになりません。

話をドラマに戻しますが、
最後に一つ。
一話分だけ見て取り沙汰する人って、
やっぱり頭がよろしいとは言えないのでは、と思います。
木を見て森を見ずではお話になりません。
子供が見て、ということを心配するならば、
一緒に視聴して、ああいう人間になってはいけないよ、
そう諭すくらいの気構えを持っていただきたいものです。

2014/01/30 12:05 | bonchi | No Comments