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2014/01/09

こんにちは。根本齒科室の根本です。

遅くなりましたが、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

靖国の方は、昨年末の帰省前に、少し立ち寄って参拝したものです。
安倍さんが参拝したら案外高評価だったようで、せっかくなのでお邪魔したのですが、年末の夕刻ということもあり、割合すいていました。
小学校のとき以来で、久しぶりだったのですが、細長い敷地と参道、厳かな雰囲気が印象的でした。

実際の初詣はこちら行ってきました。

ウチらのホーム伊豆一ノ宮、三嶋大社です。三嶋大社といえば、「鹿」「ハト」「鯉」です。

しかし、三嶋大社は、混雑を避けるために2日目の午後にしたにもかかわらず、例年にない人出で、参りました。。
去年の元旦の昼よりも整理員の数が多いのですから、すごいもんです。
(後で見たところでは、靖国の方の初詣は例年の8倍の人出、神社はどこも大混雑だったそうで・・)
進まない行列進まない鉄道は、いつになってもウザイものです。

そう、有楽町の火災で新幹線が止まった件ですが、たまたま弟は1日早く、私は1日遅く出発して、幸運にも避けることができました。

ところで、私は朝にシャワーを浴びる派です。
洗髪の時間がけっこうもどかしいのですが、最近新技を開発しました。

◆ 歯ブラシ~後で書きます。

◆ シャンプー

私は朝シャワーを浴びます。順番は、だいたい頭⇒体⇒顔⇒髭そり、の順番です。
普通シャンプーは、適量を先ず手のひらにとって頭髪に塗り込み、そのあと一生懸命指で揉み洗いしますね。それが終わるとすすぎます。

このもみ洗いで2分くらいかかります。すすぎで1分くらいかかります。

ところが、この時間を一気に短縮できるのが、この『プラーミア クリアスパフォーム(ミルボン)』です。

使用し始めたきっかけは、担当の美容師さんのすすめがあったことです。
独自に編み出した使用法ですが、手のひらに(一般的な男性なら)ピンポンボール大の泡を取り、軽く地肌に触れるように塗り込みます。
すると、垂れてこないので、そのまま何分でも放置することができます。目もしみません。
その間に体を洗ってしまい、ボディーソープを流すときに、「頭から」流してしまうのです。
そうすると、トータル3分程度の節約になります。寝坊したときなどに重宝しています。
男子の朝の1分1秒は、非常に貴重なのです・・

製品本来の意義や使用法とは全く異なりますが、ふとした弾みに応用法を「開発」しました。
何でも、炭酸の封入技術が企業秘密らしく、最低むこう1年は他社から類似商品が出ないだろうと、美容師さんも言っていました。
(ただ、毎日コレではなくて、普段はしっかり地肌をマッサージするシャンプーのほうがいいと思いますが)

◆ 治療部位の形態

治療のことも書いておかないといけません。

治療で難儀するのは、もちろん時間がかかるパターンのときです。
それはたいていの場合、『道具が入りにくい場所』と同じ意味です。

道具が入りにくいということは、同様に、いやそれ以上に、歯ブラシが入りにくいことを意味します。まとめると

  むし歯や歯周病になりやすい ← 道具が入りにくい → 治療しにくい

まあ、当然といえば当然なのですが。
だからこそ、自分の弱点はちょっと意識したり努力したりして、カバーしておかなければいけないのですが・・

◇ 口腔前庭とSPEE(スピー)の彎曲

具体的に、治療の道具が入りにくいパターンですが、

 口腔前庭が浅い~口角から歯が遠い
 SPEE(スピー)が強い~奥が見えにくい

この2パターンが代表的です。

口腔前庭とは、簡単に言うと頬袋のヘリの部分のことです。
この図は、左右の面で切ったCTの断面ですが、これで言うところの、水色や黄色の線がいわゆる頬袋だと思ってください。
黄色のほうが内壁のヘリが短く、頬袋が狭くみえます。

このヘリが短いことを「口腔前庭が浅い」と表現します。
ここが浅いと、じつは口角が伸びにくく、「口角から奥歯が遠い」状態になりがちです。

実際に治療時にドリルなど道具を口に入れてみると「遠い」ので、我々には一目瞭然です。

ただ、自分自身では気がつきにくいと思いますので、「遠め」の人にはその旨指摘して、歯ブラシを少し長めに持つなどして、十分に奥歯も気をつけるようにアドバイスしています。

SPEEというのは、初めて聞く人も多いのではないでしょうか。
簡単に言うと、人間の歯ならびのバランスが崩れていく過程において、横から見た感じで、青線のような平行に近い状態から、赤線のような下にたれた彎曲に移行しやすい傾向があります。

その歯列に現れている兆候(=彎曲)のことをSPEEと呼びます。

平行なのがいいとか、ごくごくゆるいカーブ(半径10センチ程度)がいいとか諸説ありますが、この写真のようにグッと曲がっているのが良いという説はもちろんありません。

一般的には、この赤線のように強く彎曲していると、上顎では、直線的な歯列に比べて、後ろ2本くらいが「その手前の歯」の陰に隠れて極端に汚れやすくなり、下顎では、内側の奥歯の生え際が極端に汚れやすくなります。

このことも、該当する患者様にはアドバイス申し上げています。

また、一般に歯はなるべく削らないほうがいいのですし、私も極力そのように心がけていますが、このSPEEの彎曲の解消(赤線⇒青線化)のを目的とする場合だけは積極的に削ったり、ときには便宜抜髄も止むなし、とするしかないと考えています。

◆ 治療道具

しかしうちも保険医療機関であり広く薄く保険料をいただいている以上、広く薄く治療の『効率』を求める面があるのも当然であります。

往々にして歯科の治療は、自然の摂理に反する状況を作り出すことが大事だったりします。

たとえば、接着するときは歯面を乾燥させないといけないのですが、唾液が多いのは健康の証だったりします。
また、口を大きく開けっぱなしというのも、治療では当たり前ですが、哺乳類の動物としての性質からも、顎関節の構造からも、まったく非合理的な姿勢であり、かつ無防備な状態でもあります。

一事が万事この調子です。

◇ 5倍速(電気モーター)ハンドピース

「キュイ~ン」歯医者といえば何と言ってもこの音でしょう。
ところが最近は、この音がしないドリルがあるのです。

歯を削るドリルが「キュイ~ン」と鳴るのは、空気圧で羽根車を回して回転させているからです。タービンとか、ターボとか呼ばれるモノ全般と同じ原理です。

1分間に30万回転くらいします。ドリルの直径2ミリ、円周6ミリ(←ゆとり)とすると、
30万×6÷1000÷60≒30[m/s] 時速108キロ!!
速いですねぇ~

音のしない方のドリルは、電気モーターで回しているので、どちらかというと「ウイ~ン」でしょうか。1分間に『最大で』4万回転くらいします。だいたいケタ1~2つくらい遅いです。
そのかわり、羽根車とは比べ物にならないくらいのトルクが出ます。そうすると

 手が楽
 細かい形に削りやすい
 除去が早い・バーを傷めにくい

などの点でだいぶ有利です。

「除去」というのは、金属製の修復物を外していく操作です。金属(ドリル)で金属(製の修復物)を削っていくのでかなり切削力が必要で、振動・騒音も大きくなりがちです。

◇ ハイブリッドセラミック・コンポジットレジン

最近は割りと一般的になってきました。
小~中規模の充填物については、以前のように型を取って次回装着するのではなく、その場で特殊なペーストに紫外線を当てて、固めて詰めてしまいます。すると

 1回で終わる

ので患者様は楽です。
ただ、紫外線を当てて固めるときに、少し縮む性質があります。ですので、一気に詰めて一気に固めようとすると、隙間ができやすいのです。
ですから、「積層充填」といって、少しづつ何回かに分けて充填して、隙間ができないようにします。

◇ セクショナルマトリックス

歯と歯の接点は、円筒面や円錐面のような、断面で直線が作れるような形態ではありません。
断面に直線が現れない、3次元的な球面構造です。

そこで、既製品ですが、先ほどのペーストを充填するときに自動的に球面になるようにする仕切り版を使用すると、きれいな球面が作成できます。

じつはこの接点回復操作は、ハイブリッドセラミック・コンポジットレジンの充填操作の中でもっともテクニックセンシティブな部分のひとつでもあります。

◇ 3Mスコッチボンドユニバーサルアドヒーシブ

先ほどのようにむし歯をつめるときは、詰める内面の表面を専用の処理剤で処理する必要があります。
処理剤には、ここのメーカーのを使っています。


耳栓は、関係ありません・・・はい。

この黄色の液体を塗って紫外線を当ててからペーストを充填すると歯面に緊密かつ強固に接着します。
しかし、裏面なども含めて均一にムラなく塗るのが難しく、かなりデリケートな操作です。簡単そうで難しい操作の代表例です。

最近、最後にこいつの尖端を押し曲げると手際よく均一に塗りやすいことを発見しました。
フリーエナメルやアンダーカット(下広がりのカーブ)の裏などの塗布に非常に重宝します。

◇ ロングネック

この2本のドリル(長・短)の写真を見てください。
どうでしょうか?一見、長いほうが、とり回しが悪く使いにくそうな気がしませんか?

ところが、真逆なのです。取り回しが抜群によい。むしろ短いほうが、付け根やハンドピース部分の頭が
歯に干渉して面倒です。
長い方が、懐にゆとりがある感じで、使いやすいことが多いのです。


このとおりです。

最初は私も長いから使いにくいのかと思っていましたたが、むしろ普通の治療の場合でも、長い方が使いやすいことがほとんどです。
(乳幼児や、極端に口の小さい人などの特殊な場合は別)

 口腔前庭が深い(=口角から臼歯部が遠い)人
 低いむし歯の位置にある人

などがいわゆる、治療しにくい口の形の代表例だと先に書きましたが、これらにとくに効果的です。

◆ 埋伏抜歯

親知らずの抜歯については、少し項を分けます。
親知らずの中でも、下の親知らずで、横になって埋まっているものは水平埋伏智歯と呼ばれます。
そのままでは出てこないので、まず頭(歯冠)と足(歯根)を分断して、その上で頭を除去してから足をこじって出します。
そのときに使うドリルで一般的なもので、ゼックリア(バー)というものがあります。

◇ 長いゼックリア
◇ 5倍速

ちなみにここに写っているドリルの機械は、上で書いた「5倍速(電気モーター)ハンドピース」です。

上記のロングネックと同じ理屈で、奥の方の切削操作が確実で分割が楽です。
たとえば、こんな歯を分割して抜く場合を考えてみます。ななめなので簡単そうですが・・

これ、長い方のバーがないと、確実に詰みます(orドはまり)。。

一般的には、

 内側の分割が直線状に進むか
 下側の切削が確実に行えるか

でだいぶ分割のスピードが変わってきます。
舌側のカット面がが近心によってくると、なかなか分割が進みません。

ゼックリアは折れやすいといって好まない向きもありますが、写真を見てわかるように5倍速ハンドピースを併用しています。
回転が10分の1以下なので、バーが跳ねて折れるリスクが格段に減少する面も5倍速の利点です。

◇ WT-3

一般的に抜歯で使うテコ(へーベル)は、写真の上のように、くぼみが湾曲の外側にあります。
直線状の道具もありますが、深い所に埋まった根などの場合は、これだけではうまく力が加わらないことも、ままあります。

このWT-3(YDM)は、くぼみが湾曲の『内』側にあります。

これが抜歯のときに何かと重宝。ただし万能というわけでもないです。
大学では「イケナイ」と教わったが、舌側に引っ掛けると割と簡単に抜けてくることも多い・・・のが私なりの現状だったりします。。
そんな、いざという時に便利な一品です。

◆歯ならびと歯みがき

今までは私側のお話を中心に話してきました。
一般の方が、普段歯みがきをすることを考えて見ます。

世の中には、いろいろな歯並びの人がいます。
皆様の予想や期待?!をよそに、最初に言ってしまいますが、手だけで自分の歯をまんべんなくみがくのは、絶望的に無理があります。論より証拠に

無理ですね。
この形の場合は、もう「できる範囲で」という話になります。
ケースバイケースですが、邪魔な場合は内側の歯を抜歯してしまうこともあります。

可能ですが、見てわかるとおり、歯の生え際の凹んでいるところに汚れや歯石の沈着が多く見られます。
下の前歯の裏側はもともとつきやすい場所なのですが、凹み部分により多いので、歯のみがきにくさとの関連が強く疑われます。

 

可能ですが、裏側から見て凹んでいるところが少しくすんでいるでしょう。ここにむし歯があります。
じつはこれは小さそうでしたが意外と深かったです。
左右の反対側にはなかったので、やはり歯のみがきにくさとの関連が強く疑われます。

たとえば、3番目の人がプロの指摘を受けずにそのまま歯を放置したら、たぶん数年後に朽ち果てていたでしょう。

小さな声で本当のことを言うと、このような場合には、長い目で考えると、矯正がベストなのです。保険が利かないので面倒な話に思えますが、圧倒的に歯ブラシがしやすくなり、当然ながら、圧倒的に歯の寿命が伸びるからです。

◆治療・定期健診

歯ブラシや道具が入りにくいところがあるのは、『時短』の面からも大きなマイナスです。
日頃から自分の歯ならびやかみ合わせの特徴を把握しておいて、またプロにもその辺をしっかり見てもらっておいて、メンテナンスをするのと、自己流(無手勝流?!)でいくのでは雲泥の差です。

★成人の場合は、下顎臼歯部舌側が大半。残りは上顎臼歯部隅角部でしたね。

そういうところに、普段からしっかり道具を入れる癖をつけておかないと、結構面倒です。
急にやると違和感が強かったり、「オエッ」となったりしてしまいます。
で、「や~めた」となるのが、一般的な傾向ですwww

しかし、そのままお口の中が「脆弱」な状態のままだと、たとえば治療回数でも1回で終わるところが2回になったり、治療時間が15分が30分になったり、と、いいことはありません。
この、違和感が出たり「オエッ」となりやすい部分の代表格である

◇ 舌根部

舌咽神経~自律神経(不随意神経)が支配しています。内臓と同じで、意志に反して勝手に動きます。

しかし、こういう神経の挙動は、顕在意識よりも、潜在意識の影響を強く受ける傾向にあります。
たとえば、今すぐやろうとしてもうまくいかないかもしれません。
だからといって「いやだ」とか、すぐに顕在意識の範囲で評価を下してしまうのはもったいない話です。

「いい」とか「いやだ」とかに関係なく、だまされたと思って3ヵ月程度続けてみてください。
数ヵ月意識して慣らしていけば、それが普通になる。潜在意識のいいところでもあります。

◇ 口腔前庭~広角から奥歯が遠いか近いか
◇ SPEE~奥歯が手前の歯の陰に隠れてみがきにくくないか

も意識してケアすることも大事です。
何となく、たとえば(私の場合は口角から奥歯が遠いかもしれない)と思ったら、少し長めに歯ブラシを持ってみましょう。
(一番後ろの歯が隠れてみがきにくい)と思ったら、斜めから入れたり、意識して工夫してみるのも良いと思います。

何よりも、かかりつけの先生がいたら、聞いてみるのが一番手っ取り早いと思います。

こういうちょっとした工夫を積み重ねるのとしないのでは、むし歯や歯周病の発生率も大きく変わります。

今回は、写真が多く、なかなか体裁が整わず、投稿も遅れまして失礼いたしました。
どうしても、文字だけでは確り説明できない部分が大きかったので、ご容赦ください。

【今回のまとめ】

予防もまずは自分を『だましながら』。自律神経(≒潜在意識)相手なら、習慣化が有効

2014/01/09 11:53 | nemoto | No Comments