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「コタンコロカムイ」
それはアイヌ語で「村を守る神」、シマフクロウを意味する言葉。
文字を持たないアイヌ社会ではこの鳥を意味する言葉は他にも幾つもあったという。
そのどの言葉にも付けられた「カムイ」という語句からしてもこの鳥が偉大なる神として
崇められていたことがわかる。
かつてアイヌ民族はヒグマを山の神「キムンカムイ」として崇め、尊敬の念を込めて神の
世界へ送り返す儀式「クマ送り」を行っていたというが、この鳥に対しても同じような「送り」
の儀式が行われていたことはあまり知られていないようだ。
長い間口承で伝えられてきた伝説や神話は人々に対して自然に対する畏怖、尊敬の念を
抱かせ、人間の”おごり”や支配心を抑制する役割を持っていた。
しかし、多くの謎が解き明かされた今、科学的根拠や答えがなければ「受け入れられない」
時代となってしまった。
かつて「山の神」であったヒグマは今や人里に出てくると厄介者扱いをされて殺されて
しまうこともしばしば。「村の神」のシマフクロウは生活の場を奪われて絶滅の危機に追い
やられ、残された固体の多くが人間に管理される状態にある。
「古き良き」と形容される昔を肯定し、今の時代を否定するつもりはないのだが、やっぱり
どこか寂しい気がしてならない。
そして「時代の流れ」とは知りながらも、あらゆるものを人間の支配下において、物事や
自然、、そして自分達人間さえをも画一化してくことに戸惑いと不安を感じてしまうのだ。
先日の夜、撮影先で出会ったシマフクロウ。
ファインダーを覗くと鮮やかな黄色い瞳がしっかりとこちらを見据えていた。
まるで、「お前はここへ何をしにやってきたのだ・・・。」
とでも言うように、少し寂しげなまなざしで木の上に佇む姿が印象的であった。
いったい彼らは今の人間社会をどのような思いで見つめているのだろうか・・・。
きっと今夜もどこかで闇の中から私達のことを見据えていることだろう。
いつも大切なことを教えてくれる自然と森の神に感謝。